あとは普通に見た事のある
戦士系からのジョブツリーは『軽戦士』『重戦士』である。
敏捷性で敵の攻撃を避けて斬る『軽戦士』
防御力とHPで相手の攻撃を受けてパーティを守る『重戦士』
の二択だね。
『暁』と『浦波』を生かすならば『軽戦士』か。
斥候系のスキルとか、回避系のスキルとかが取りやすくなる。
とりあえず『軽戦士』を取ってみるか。
俺は『軽戦士』のパネルのスイッチを押した。
『あー、タカシ『軽戦士』かあ』
『まあ、ジョブチェンジ時にデメリットは無いから出たら取ってもいいやな』
『将来的には『
ドーンドーンとどこかから腹に響く太鼓の音が聞こえてきた。
祭壇の前に業火が立ち上がり、見上げるような甲冑の巨人が現れる。
『異世界の戦士よ、よくぞ精神と肉体を鍛え上げた。お前は『
俺は床に正座をし、頭を下げた。
『戦いの一瞬の狭間で身をかわし、間合いを詰め切り裂け。シングウタカシよ、飢えた鷹のように戦場を見渡し駆け抜けよ』
「はいっ」
土下座している俺の背中に、どかんどかんと熱い何かがぶつかり入ってくる。
レベルアップの時のように体が膨らむ感じがする。
『では、励めよ若き戦士よ』
ぱあっと光輝いてドグルド様は消えていった。
ふう。
俺は太い息を吐いて立ち上がった。
うん、なんだか、運動の線を感じる力が上がった感じがする。
「おー……、あんま劇的な変化はないのだな」
「まあ、軽戦士は戦士とほぼ一緒だからね」
『重戦士』だと守りの感じが強くなるので少し変わるのだが、軽戦士だと延長線上だからね。
「タカシ兄ちゃん、上級職だ!」
「中級だね、上級はもっと上だよ、チアキ」
「そうかー」
『
『怪盗』とかもあるらしいんだけど、まだジョブ解放条件が解っていない。
『アサシンの条件って出たっけか?』
『アラブの方で出たって聞いたぜ、アラブはアサシンの本場だしな』
『『忍者』の条件、はよ割れろ~~』
「タカシくん、格好いい」
「同じだ、同じ」
それでも敏捷性にボーナスがついたり、上級スキルが取りやすくなったりするらしい。
回避系のスキルが欲しいなあ。
あと、【盾術】を上げたい。
「わ、私も上級職ほしいなあ」
「噂だと【シンガー】と【ダンサー】の上級職があるらしいけど、まだ解放条件がわかってないな」
「そうなのね、歌か踊りになるんだね」
「ダンサーは踊りながら近接格闘が出来るらしい。シンガーはバードの強化型だな」
「マリアさんはシンガーかなあ、私は……、『アイドル』って無いのかな?」
「しらん」
みのりとチアキ以外は中級ジョブになったな。
これでしばらく戦えるはずだ。
「よしよし、面白くなってきたぜ」
鏡子ねえさんがガチーンと『金時の籠手』を打ち鳴らした。
「ゴーゴンさまありがとうございました」
「いいのよ、がんばってねタカシくん」
応援まで頂いたぞ、ありがたいありがたい。
悪魔神殿を出る。
あ、ちょっと体の動きが違うな。
動きが良くなった気がする。
「きゃっ」
みのりがチアキとぶつかりそうになって、ムカデ鞭で支えられた。
「ご、ごめん、みのりねえちゃん」
「きゅ、急にチアキちゃん出た」
「【気配消し】してた」
ああ、それでか。
『おー、動画上でも消えるなあ』
『【気配消し】良いなあ、俺も欲しい』
『『
みのりが立ち上がって目をキラキラさせた。
「えー、やってみてやってみて」
「こうだよ」
チアキが【気配消し】を使うと存在感が希薄になった。
が、俺と鏡子ねえさんは離れて行く彼女を目で追う。
「な、なんだよ、鏡子とタカシにいちゃん、なんで効かないんだよ」
「「【気配察知】」」
両方一レベルだから、相殺されてるっぽいな。
みのりと泥舟は見失って、俺たちの声で気が付いたようだ。
「わあ、本当に消える、すごーい」
「うん、消えたように見えた」
パティさんの【気配消し】はレベルが高かったから、俺も騙されたけどな。
騙されなかったのは【危険察知】さんだけだった。
「もっと使ってスキルレベルを上げ無くては」
「斥候用に良いスキルだな」
「でしょでしょ~」
「私もちょっと欲しい」
『
「ねえさんは【威圧】をいっぱい使って生やした方が良いかも」
「あ、それもいいな」
「アイテムのスキルって更に生えるの?」
「生えると思う、生えるとレベル二に上がるんじゃないかな」
「【平衡感覚】を上げよう」
「みんな色々強くなっていくわ」
「みのりも頑張れ」
「が、がんばるよう」
がんばれ、みのり。