「いらっしゃいませ~、って、おお、タカシくんっ、さっそく来てくれたんだね」
「ええ、というか、もうお店に出てるんですか」
「迷宮から直帰して、すぐシフトさあ、ささ、入って入って、何人?」
「十一人かな」
「へーい、こんばわ~、おー、ヌードルスタンドだなあ」
「マイケル、先に食券を買え」
「そうか、キョウコ、ええとー」
「ぐわああっ、『ホワッツマイケル』!! 世界一のパーティが、なんでっ!」
「付いてきちゃったんですよ」
配信冒険者の店員さん達がびびっていた。
わりとお店が空いていたので、なんとか二パーティが入れた。
食券制なので、先に販売機で食券を買おう。
ええと、タンメンと、餃子と、チャーハンがあるな、あとセット。
わりとシンプルな品揃えだな。
「わたしは大盛り三点セットだっ!」
「私は湯麺だけにしようかな、タカシくんは?」
「タンメンと餃子、ライスかな」
みんなそれぞれ好きな物を選んで買っていた。
鏡子ねえさんはタンメン、チャーハン、餃子の大盛りセットにチャーシューまで乗せている。
『ヌードルスタンドか、初めてだな』
『わっ、日本円がねえ、エリベルト金を貸せ』
『しょーがねえなあ、後で返せよ』
今日は『重戦士』のエリベルトさんと、『軽戦士』のウルホさんが一緒だ。
「今日は『
「ああ、『十柄』の習熟だからな、テレサのポーションと、マリアの【回復の歌】で済むからよ」
テレサさんが、くつしたに絡んで嫌な顔をされていた。
『君は魔物なのに外に出れるんでしゅね~~、不思議でしゅね~~、ああ、『Dリンクス』から魔力を供給しているのかな、そうなのかな』
「うおんうおんっ」
「くつした、戻れっ」
チアキが命令すると、くつしたは魔物玉に戻った。
『うおおおっ、便利ねっ、見せて見せて』
「え、なんか、この姉ちゃん圧が強いっ」
「魔物玉を見せてってさ」
「やだいっ」
チアキはポシェットに魔物玉をしまった。
テレサさんはしょんぼりした。
「しっかし、タカシも強くなったなあ、ドラゴンスレイヤーとはなあ」
「運が良かっただけだよ」
『俺らもアタックしてみるか、マイケル』
『やめとけやめとけ、120階のフロアボスだぞ、ブレスを封じねえと全滅だ』
マイケルのくせに意外と戦力分析するんだな。
真っ向勝負を挑みに行くかと思ったんだが。
『そうだな、まだドラゴン相手は厳しいだろう。飛行中にブレス吐くだろう、あのドラゴン』
『ミハエルの盾が欲しいな、ブレスを割った』
『高空から落とすのに、キャシーの爺さんのM2は使えるか?』
『【跳躍】で叩き斬れよ、マイケル』
『飛行出来る奴に【跳躍】じゃあなあ、避けられるぜ』
『【従魔創造の珠】で、六十階台のワイバーンの従魔を作るか』
『竜騎士狙えるな、良いかもしれねえ』
『色々と面白くなって来やがったぜ』
なんだか、ファンタジー物の冒険者の酒場みたいな雰囲気になって、なんだか良いな。
ワイバーン従魔を作ると外界でも飛べるのかな。
お料理が運ばれて来た。
店員さんの顔が引きつってるなあ。
「あんたら、配信冒険者やってんだろ、なんでお店もやってんだ?」
「ま、まだ二十階台だから、そ、そんなに稼げ無くて」
「そーか、大変だなあ」
兼業配信冒険者なんだなあ。
二十階台だと割と多い。
休みとかに迷宮に潜って狩りをして、他の時間は普通の仕事という感じだ。
迷宮の配信冒険者は割と稼げるけど、あまり深くに行くと大変だから、ゆっくりやっているパーティも多いんだよね。
さて、タンメンが来たので食べよう。
「おおっ、美味しいな、これは好きな味だ」
「そうですか、鏡子さん」
褒められたので店長もニコニコした。
うん、塩味と野菜のバランスが良いなあ。
美味しい。
「美味しいっ」
「うん、初めて食べたけど、美味しいわねっ」
「良い塩梅ですね」
みんな笑顔でタンメンをすすっていた。
餃子も美味しいね。
『おお、塩味、なんか良いな』
『うめえ、これは癖になる味だな』
『日本は美味い物多くていいよなあ』
新しいお客が来た、と思ったらキャシーだった。
『もう、マイケル、私も呼んでよっ』
『お、わりいわりい』
マリアさんが呼んだみたいだな。
『ハーイ、タカシ、ここはどうすんの?』
『ここはね、最初に食券を買うんだよ、キャシーちゃん』
みのりが店の外につれて行って教えていた。
キャシーは食券を買って、俺達のテーブルに座った。
『ワンコ見せてワンコ』
「くつしたが見たいってさ」
「お店の中では出せないよ、あとでね、キャシーねえちゃん」
『出せないから後でって、チアキちゃん言ってるよ』
『オーケーオーケー「くつした、たのしみデス」』
「日本語上手いねっ、キャシーねえちゃん」
「ベンキョ中、ネ」
やっぱ配信冒険者の補正が掛かってるから語学習得が楽なのかな。
「ミノリ、今度、一緒に七十階から下に付き合えよ」
「え、なんでですか?」
「ミノリが居るとお宝がでるからさあ」
「駄目だ、みのりは忙しいから貸せないぞ」
「堅いこと言うなよ~、キョウコ~」
「だーめ」
やっぱり、みのりが居る時のドロップ率は異常なんだろうなあ。
滅茶苦茶ドロップするからな。