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第218話 『ホワッツマイケル』とタンメンを食べる

「いらっしゃいませ~、って、おお、タカシくんっ、さっそく来てくれたんだね」

「ええ、というか、もうお店に出てるんですか」

「迷宮から直帰して、すぐシフトさあ、ささ、入って入って、何人?」

「十一人かな」

「へーい、こんばわ~、おー、ヌードルスタンドだなあ」

「マイケル、先に食券を買え」

「そうか、キョウコ、ええとー」

「ぐわああっ、『ホワッツマイケル』!! 世界一のパーティが、なんでっ!」

「付いてきちゃったんですよ」


 配信冒険者の店員さん達がびびっていた。


 わりとお店が空いていたので、なんとか二パーティが入れた。

 食券制なので、先に販売機で食券を買おう。

 ええと、タンメンと、餃子と、チャーハンがあるな、あとセット。

 わりとシンプルな品揃えだな。


「わたしは大盛り三点セットだっ!」

「私は湯麺だけにしようかな、タカシくんは?」

「タンメンと餃子、ライスかな」


 みんなそれぞれ好きな物を選んで買っていた。

 鏡子ねえさんはタンメン、チャーハン、餃子の大盛りセットにチャーシューまで乗せている。


『ヌードルスタンドか、初めてだな』

『わっ、日本円がねえ、エリベルト金を貸せ』

『しょーがねえなあ、後で返せよ』


 今日は『重戦士』のエリベルトさんと、『軽戦士』のウルホさんが一緒だ。


「今日は『僧正ビショップ』のアルマさんが居ないんだね」

「ああ、『十柄』の習熟だからな、テレサのポーションと、マリアの【回復の歌】で済むからよ」


 テレサさんが、くつしたに絡んで嫌な顔をされていた。


『君は魔物なのに外に出れるんでしゅね~~、不思議でしゅね~~、ああ、『Dリンクス』から魔力を供給しているのかな、そうなのかな』

「うおんうおんっ」

「くつした、戻れっ」


 チアキが命令すると、くつしたは魔物玉に戻った。


『うおおおっ、便利ねっ、見せて見せて』

「え、なんか、この姉ちゃん圧が強いっ」

「魔物玉を見せてってさ」

「やだいっ」


 チアキはポシェットに魔物玉をしまった。

 テレサさんはしょんぼりした。


「しっかし、タカシも強くなったなあ、ドラゴンスレイヤーとはなあ」

「運が良かっただけだよ」

『俺らもアタックしてみるか、マイケル』

『やめとけやめとけ、120階のフロアボスだぞ、ブレスを封じねえと全滅だ』


 マイケルのくせに意外と戦力分析するんだな。

 真っ向勝負を挑みに行くかと思ったんだが。


『そうだな、まだドラゴン相手は厳しいだろう。飛行中にブレス吐くだろう、あのドラゴン』

『ミハエルの盾が欲しいな、ブレスを割った』

『高空から落とすのに、キャシーの爺さんのM2は使えるか?』

『【跳躍】で叩き斬れよ、マイケル』

『飛行出来る奴に【跳躍】じゃあなあ、避けられるぜ』

『【従魔創造の珠】で、六十階台のワイバーンの従魔を作るか』

『竜騎士狙えるな、良いかもしれねえ』

『色々と面白くなって来やがったぜ』


 なんだか、ファンタジー物の冒険者の酒場みたいな雰囲気になって、なんだか良いな。

 ワイバーン従魔を作ると外界でも飛べるのかな。


 お料理が運ばれて来た。

 店員さんの顔が引きつってるなあ。


「あんたら、配信冒険者やってんだろ、なんでお店もやってんだ?」

「ま、まだ二十階台だから、そ、そんなに稼げ無くて」

「そーか、大変だなあ」


 兼業配信冒険者なんだなあ。

 二十階台だと割と多い。

 休みとかに迷宮に潜って狩りをして、他の時間は普通の仕事という感じだ。

 迷宮の配信冒険者は割と稼げるけど、あまり深くに行くと大変だから、ゆっくりやっているパーティも多いんだよね。


 さて、タンメンが来たので食べよう。


「おおっ、美味しいな、これは好きな味だ」

「そうですか、鏡子さん」


 褒められたので店長もニコニコした。


 うん、塩味と野菜のバランスが良いなあ。

 美味しい。


「美味しいっ」

「うん、初めて食べたけど、美味しいわねっ」

「良い塩梅ですね」


 みんな笑顔でタンメンをすすっていた。

 餃子も美味しいね。


『おお、塩味、なんか良いな』

『うめえ、これは癖になる味だな』

『日本は美味い物多くていいよなあ』


 新しいお客が来た、と思ったらキャシーだった。


『もう、マイケル、私も呼んでよっ』

『お、わりいわりい』


 マリアさんが呼んだみたいだな。


『ハーイ、タカシ、ここはどうすんの?』

『ここはね、最初に食券を買うんだよ、キャシーちゃん』


 みのりが店の外につれて行って教えていた。

 キャシーは食券を買って、俺達のテーブルに座った。


『ワンコ見せてワンコ』

「くつしたが見たいってさ」

「お店の中では出せないよ、あとでね、キャシーねえちゃん」

『出せないから後でって、チアキちゃん言ってるよ』

『オーケーオーケー「くつした、たのしみデス」』

「日本語上手いねっ、キャシーねえちゃん」

「ベンキョ中、ネ」


 やっぱ配信冒険者の補正が掛かってるから語学習得が楽なのかな。


「ミノリ、今度、一緒に七十階から下に付き合えよ」

「え、なんでですか?」

「ミノリが居るとお宝がでるからさあ」

「駄目だ、みのりは忙しいから貸せないぞ」

「堅いこと言うなよ~、キョウコ~」

「だーめ」


 やっぱり、みのりが居る時のドロップ率は異常なんだろうなあ。

 滅茶苦茶ドロップするからな。

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