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STARTING OVER
STARTING OVER
烏丸千弦
現実世界現代ドラマ
2025年04月15日
公開日
12.2万字
完結済
【ZDV series #7】 リハーサル中の事故で記憶を失ってしまったテディ。ルカは献身的にテディの世話をするが、催眠療法がうまくいかず記憶が戻る兆しはまったく見られない。ユーリは、無理に思いださせる必要があるのか、過去の辛い出来事を忘れた今のままのほうがテディのためなんじゃないかと云いだす。 自分たちの関係や積み重ねてきたもの、バンドの存続。記憶は戻るのか、戻らないままなら自分たちはどうなるのか――とても素直な、まるで子供のようなテディに途惑いながらルカは自分の所為だと後悔し、思い悩むが――。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ZDVシリーズ、三作めの長篇です。 他作品についてはこちら↙でご案内しております。 碧柘榴庵 -aozakuro an- ≫ https://karasumachizuru.tumblr.com 物語の中盤あたり、豪雨による洪水警報や非常事態宣言など、災害の危機が迫る描写が出てきますが、人が直接被害に遭ったりするシーンは描かず、背景として状況を伝える程度の描写に留めています。 ※【カクヨム】【pixiv】でも公開しています。 ※ 作者は未熟です。加筆修正については随時、気づいた折々に断りなく行います。が、もちろんそれによって物語の展開が変わるようなことはありません。 ※ この物語はフィクションです。作中に登場する実在の人物・団体等と一切関係はなく、描かれているのは作者のリアリティのある夢に過ぎません。 ※ この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

prologue. ルカ・ブランドン単独インタビュー

――こんなふうに、おひとりでインタビューを受けられることって、けっこうあるんですか?


Luka Brandonルカ・ブランドン (以下L):まあ、あるよ。俺ひとりだけっていうより、ひとりずつ順番にってことのほうが多いけど。単独で取材を受けるのは俺よりも、ユーリとかテディたち、楽器を弾くメンバーのほうが多いね。やっぱり専門誌があるからね。


――なるほど、そう云われればそうですよね。でも、今日のように女性誌などだと、やはりルカ、あなたがクローズアップされることが多いのでは?


L:そうだね。俺がフロントマンだからね(笑)


――モデルとしても活躍されていて、最近では映画にご出演されることも増えてきましたね。しかし今日はそういった、音楽や映画など以外についてお話を伺っていきたいと思います……このインタビューが載る号は、ちょうど恋愛特集号なんですよ(笑)


L:ちょうど? ってどういうことかな(笑)


――そういうことです(笑)


L:俺、恋愛経験はちっとも豊富じゃないよ。なにしろ初めてつきあった相手がテディだからね(笑)


――では、そこを詳しく伺っていきたいと思います(笑) あなたが彼と出逢ったエピソードはもう既にあちこちで語られていて、私もいろいろ読ませていただいているんですが……


L:じゃあもういいんじゃない?(笑)


――そういうわけには(笑) 初めてテディと会ったときの印象って、どんなでしたか? よく云われているのは、人見知りがすごかったって……


L:うん。最初は一言も口を利かなくて、ずっと俯いてる感じで、なんだか暗い奴だなって思ったよ。でも握手をするとき、一瞬だけ目が合ったんだ……そしたら、あの顔さ(笑) そのときは整ってるなーってだけで特になんとも思わなかったけど、あとからひょっとしたら一目惚れしてたのかもしれないって思ったね。


――テディのほうはどうだったんでしょう? 彼はいったいいつ、どんなことをきっかけにあなたに好意を寄せるようになったのか、訊いてみたことあります?


L:……さあ、いつかな。訊いてみたことはないね。


――じゃあ、自分たちがもう、相思相愛だなって感じた、最初に幸せいっぱいだったのはいつですか?


L:ははっ、相思相愛かあ。そんな時期、あったかな?(笑)


――もう、はぐらかさないで教えてくださいよ(笑)


L:うーん、そうだな……ひょっとしたら――


――うんうん(笑)


L:テディの奴がほんとに本気で俺に惚れてたことなんて、今まで一度もないのかもよ?





――ロンドン発、最新のファッションとカルチャーの情報誌

     〈CRAVELクレイヴェル〉 二〇一三年四月発売号より――

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