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八重山昔話「人魚の話」


 石垣島には、人魚にまつわる伝説が2つあります。


 1つは、津波つなみがくることを人々に教えた人魚のお話。

 これは、1771年に起きた「明和めいわ大津波おおつなみ」にまつわる伝説です。

 海で魚をとっていた漁師のあみに、人魚がかかりました。


「おねがいします、どうか逃がしてください」


 人魚は食べられたくないので、必死に命ごいをします。

 漁師は人魚をかわいそうに思い、にがしてあげました。


「ありがとうございます。お礼に大切なことを教えます」


 人魚は助けられたことを喜んで、漁師にあることを教えました。

 それは、近いうちに大きな波がきて、海の近くの村は流されてしまうから、山へにげたほうがいいというもの。

 漁師はその話を信じて、村人に伝えました。

 村人も、ふしぎな生き物が言うことならばと信じて、みんなで山へにげました。

 漁師はとなりの村にも知らせに行きましたが、なにをバカなことをと笑われて、信じてもらえなかったそうです。


 やがて、人魚が言うとおり、大きな波がおそってきました。

 人魚の言葉を信じて山へにげた漁師と村人たちは、全員助かったそうです。

 でも、信じなかったとなり村の人々は、にげなかったので家といっしょに流されてしまったのでした。



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 画像は、石垣島いしがきじま川平湾かびらわんにある人魚の母子の像です。

 この像はもう1つの人魚伝説、人魚が人間とこいをして、結婚けっこんする話をもとに作られた物。


 漁師の若者が海で魚をとっていると、美しい人魚があみにかかりました。

 人魚は不老長寿ふろうちょうじゅの薬になるので村へ持ち帰ればみんなに喜ばれるはずでしたが、若者は人魚をかわいそうに思ってにがしてあげたのです。

 それを知った村人たちはおこり、若者は村から追放されてしまいました。

 ひとりぼっちでトボトボと海辺を歩いている若者に、かくれていた人魚が声をかけました。


「わたしと、いっしょに暮らしませんか?」


 人魚は、助けてくれた若者を好きになっていたのです。

 自分を助けたせいで村から追い出されたのなら、2人で暮らそうと声をかけたのでした。


 若者も美しい人魚が好きになり、仲良く暮らしたそうです。

 人魚は若者との間にできた子供を産みました。

 2人が住んだ場所は、川平の辺りだと言い伝えられています。

 若者は人魚を助けたお礼に、人魚の長老から黒蝶真珠くろちょうしんじゅを授かりました。

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