むかしむかし、
娘は、遠くはなれた
その
娘はどうしてもいきたくないと言いましたが、聞き入れてはもらえません。
むかしの結婚は、ほとんどがそういうものでした。
どんなにイヤだと言っても、親が決めたらそのとおりにするしかなかったのです。
やがて、結婚の日がやってきました。
「ちょっと用を足してくるわ」
そう言うと花嫁は馬をおりて、森の中へと入っていきました。
そのまま、いくらまってももどってきません。
心配したお供の者たちがあたりを探しましたが、花嫁の姿はどこにもありません。
森の中に、 花嫁がすわったような形の冷たい石がひっそりと立っているばかりでした。
いなくなった花嫁は、見つからないままだったそうです。
花嫁はどこへ行ってしまったのでしょうか。
花嫁は結婚したくなくて、石になったのでしょうか。
いつしか人びとはこの石のことをアイナマ(かわいい花嫁)石と呼ぶようになりました。