「ルディ、昨日出した課題の調子はどうかな?」
「まだまだです。でも、何か掴めそうな感じはします!」
「うんうん!いい兆候だね!そのまま引き続き挑戦してみて!」
「はい!先生!」
「ルーナ、セリンダはどうだい?」
「昨日よりも命中率が高くなってます。矢の装填も昨日より素早くなってます。」
「いいね。セリンダ、どんな感じだい?」
「あたしも昨日より上手くできてるっす。でもなんか違うっていうか、ん~なんて表現していいかわからないっすね・・・。」
「命中率も矢の装填も早くなっているのにしっくりこないか。そうだな。じゃぁ、今度は1本ずつ丁寧に射ってみてくれる?」
「1本ずつっすか?わかりました!」
あれ、今度は命中率が下がった・・・これは何か・・・基本的なことが抜けているような・・・。
「ちょっと今から言うこと試してくれる?あ、ルーナもやってみて。」
「わかったす!」「分かりました!!」
「基本的に常に呼吸を忘れないこと。足を肩幅に開いてしっかり地面に足を付けて腰から下を固める。弓に矢をかけながら弓を上に起こしながら右手と左手が均等な位置になるよう弾きながら肩の位置に。」
「こんな感じでしょうか・・・。」「これほんとにあってるっすか~?」
「そうそう。そんな感じ。準備はこれで整った、後は自分が打つタイミングを見る。」
いい感じに射てている。2人とも不慣れなりにいい感じだ。
「そのまま矢を射った的を見てその感覚を保ちつつ元の姿勢に戻す。どう?」
「これすっごいきついっすね!精神的に疲れるっていうか。」
「でも集中力が研ぎ澄まされた感じがします!」
「そう!それだよルーナ!集中力が必要だったんだよ。」
「2人とも、慣れないと思うけどしばらくこの方法で試してみてくれる?」
「はいです!」「分かりました!!」
次はアルファスのところか。
「調子はどう?アルファス。」
「2人ともなかなかですな。特にアースラン、剣術も魔法もあの歳でここまでとは面白い子で。」
「君がそこまで言うか、それじゃアースランは君に任せるよ。俺は昨日見れなかったギドの様子を見るよ。」
「分かった!」
「ということで、ギド、今度は俺が相手をしよう。」
「わかりましたー!!」
ギドは武術が基本攻撃だ。『アトリエ』の書庫で体術や武道の本を読んどいてよかったぁ。
実践は初めてだが・・・。これは結界魔法は使わなくていいだろう。
「よし!いつでもいいぞ!」
獣人だけあって動きが速い。リアと同じくらいの早さか。
速いだけじゃなくちょいちょい攻撃をしてくるのも厄介。でも・・・。
「そぉ~れっと。」
「ん!?今の、交わしたんですか??この速さで!?」
「まぁね、ほら、どんどん来な!」
「はい!!これでも獣人の端くれ!武術では負けられないですよー!!」
俺がやっているのはただの受け流し。攻撃の当たる瞬間、その軸をそらすやり方だ。なので一度も攻撃が当たらないのである。そして相手の弱い部分を、隙がある部分をつついてやればっと。
「はい!ここまで!」
「え~!なんで!?この速さなのに急所に!?なんで全然当たらないんすか~!?」
「君は速さにばかり集中して、武術の基本がおろそかだよ。その速さは獣人特有なのかもしれないけど、その速さが見れる人には弱点にもなり得る。」
「じゃぁ~どうすればぁ・・・。」
「さっき俺がやったのはただの受け流しだよ。必要最低限の力で攻撃をそらした。相手が攻撃をしてくるってことは相手に隙が生まれるということ、その一瞬でこちらも攻撃ができる。まずは速さを置いといて、単に武術だけやってみるといいよ。」
「はは~そんなことができるんすね!わかりました!ちょっとやってみます!!」
少し練習の時間をみて、
「はーい!それじゃ休憩して午後から模擬戦にするよー!」
どんな戦い方が見られるか楽しみだ。