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16 ルルビアの家


荷車に帰った俺たちは事情を話し、数日の間、ベジハイドへ滞在することにした。

中には都市に入るのが怖いという獣人もいたので荷車はそのままにすることに、他の者はベジハイドで観光することになった。

念のために獣人のみんなには人間に見えるよう、スキル『隠蔽変化』をかけておいた。これで自由に観光できるだろう。

念のためにルルビアさんにも伝えておこう。ルルビアさん宅にテレポートっと。


「あ、すみません、ルルビアさん!」


「んー、あぁあんたかい。どうしたんだい?」


「数日の間、観光で滞在することにしたのでお知らせしようと。」


「そんなことかい、まぁいいよ。獣人の人達はどうするんだい?」


「俺のスキルで人間に見えるようにしてあるので大丈夫かと。」


「そんなスキル持ってるのかい。それにさっきのは転移魔法かい?」


「そうですが・・・。」


「それは古代魔法の一種、あまり見せるもんじゃないよ。それにしても驚きだね。その歳で転移魔法を取得しているとは。古代魔法を知ってるものはごくわずかだが・・・どうやって知ったんだい?」


「あー、それはー、故郷の技と言いますか・・・。」


「ふん。まぁいい。滞在するならあたしの家の2階より上の階を使うといいよ。」


「え、この家、2階までしかないような。」


「こうするんだよ。」


「『空間魔法 拡大スタイハカ』。」


「家がでかくなった??これも空間魔法の一種ですか??」


「あ主、空間魔法も使うのじゃろうて、なぜ知らぬ。」


空間魔法?そんな魔法あったかな・・・俺は急いで『禁忌録』にある魔法の項目を調べた。あぁ確かに書いてある、空間魔法。それもかなり種類がある。結界魔法と似た感じなのかな。


「わ、忘れてました~。でもこれでは、家の外見が変わるのでは?」


「見た目は2階建てのままじゃ。この魔法はこの家の中を改造したと言うことじゃ。それに認識阻害と結界魔法の類は敷地にかけておるから大丈夫じゃ。」


そ、そんな魔法!?あー、書いてあるわ。完全に見落としてたわ〜。


「これで一旦数日はここに住むといい。みんなにも知らせてこい!」


「わ、わかりました!!」


テレポートで荷車に戻って事の次第を説明すると反対していた獣人のみんなも来るようで、結局全員、ルルビアさん宅にお邪魔する形になった。


「それじゃここからはみんな自由行動で!危険な事があればすぐ知らせるように!あ、ルルビアさん家を紹介しておくね。」


修学旅行で引率する先生のような気分だ。

荷車とカメ吉を隠してルルビアさん宅にワープさせた。


「あれ、また来たのかい?これはまた大所帯だね、獣人のみんなは3階を使いな。4階はお主らと仲間で。イーゴリは部屋はいるんかい?」


「いるわい!!暫く世話になるしな!」


「しょーがないねぇ。2階の部屋を使うといい。」


「ありがとな!ルルばば!」


あ、まーたバチバチになっている。犬猿の仲なのか、仲良しなのか。


「ほう、ロータスの他にもこんなに美人の仲間がいるとはねぇ。お主、なかなかやるの。」


「いや、そんなことは・・・。あ、紹介しますね。ハーフエルフのルーナ、黒猫の獣人リア、ラミアのセリーヌ、ドワーフのアーロです。それにロータスとアルファスを加えて、荷車をいつも引っ張ってくれてるガルゲゾのカメ吉です!今は小さくしてますが!」


「ほほー。これはまた珍しいガルゲゾじゃ。どこで見つけた?」


「カメ吉は確か・・・ルーナと出会って旅を始めた頃に・・・。大森林 エルフの樹海側にある集合都市 プメールに向かう途中で見つけました。」


「ふむ。それはおかしいの。そこにはガルゲゾの生息地ではないからの。」


「あ、聞いてみましょうか?」


「お主念話も使えるのか。底知れぬなぁ。」


笑ってごまかした。この魔法の知恵は転生した時の産物だということを。


「カメ吉?出会った時、どうしてあの時あそこにいたんだい?」


「人間に飼われたんですがねぇ。あの場所で荷物を運んでいたらゴブリンに襲われましてねぇ。すぐ逃げ出したんですわぁ!」


ん?それって・・・。


「荷物はもしかして獣人だったかい?」


「だったかも知れないでさぁ。」


なるほど、リアを乗っけていた荷馬車を引っ張っていたのがカメ吉で、そこから逃げてあの場所にいたと。

何か繋がっているような感じがするな。そこでリアにも出会ったのだから。


「あの場所で荷物を運んでいたらゴブリンに襲われてすぐ逃げたそうです。その先で俺たちと出会ったと。」


「ふん。そうかい。ま、ちっさいままだったら居てもいいよ。」


「ゲララララ!(ありがとでせぇ!)」


「ありがとう、って言ってます。」


ルルビアさんはニコっと笑って、ロータスを連れて作業に取り掛かった。


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