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第24話 おまけ 星野美紀の場合 その1

私の名前は、星野美紀。

星野模型店を経営する姉である星野つぐみと二人暮らしをしている。

今は、短期大学に行きながら、お店を手伝っている。

年は、ぴちぴちの二十歳である。

今年、無事成人しましたっ。これでタバコもお酒も合法的に吸えます、飲めます。

もっとも、吸う気も飲む気もありませんが……。

家族はというと両親とも事故でなくなってしまって、私達姉妹はおじいちゃん達に育てられた。

もっとも、おばあちゃんは2年前に亡くなってしまったし、おじいちゃんは怪我が原因でお店を経営できなくなって、すべてをお姉ちゃん(私は『つぐねぇ』と呼んでいる)に任せて引退している。

そんでもって今は模型製作を楽しみ年金生活をエンジョイしているらしい。

なんかうらやましい限りだ。

ともかく、そんなわけで美人姉妹でお店を経営しているわけだ。

看板娘が二人もいるんだから(それも美人の)お店は大繁盛してる、なんてわけがない。

今時は昔と違ってネット通販や大型小売店あたりに押されて、しがない模型屋はジリ貧で何とかやりくりしている感じだ。

でもおじいちゃんが作り上げた人脈と顧客に支えられて私達でも何とかやっている。

未来がないなんて言われているけど、おじいちゃんのお店を潰す事なんて出来ないし、なによりお客さんがいるうちはしっかりやっていこうと思っている。

まぁ、そんな感じで何とか生きているって感じなんだけど、最近大きな変化があった。

つぐねぇに思い人が出来たのだ。

見た目はぱっとしない感じだがすごく優しそうな感じで、何よりつぐねぇがうれしそうなのがいい。

以前付き合っていた許婚の時は、なんかここまでうれしそうにしていたのを見た記憶がない。

確かにうれしそうな時はあったけど、今ほどまでではなかったように思う。

それ以上に疲れた顔の方が印象に残っている。

後から聞いた事だが、許婚の母親がつぐねぇをいびっていたらしい。

それを聞いた時、私はカーッとなって殴りこみに行こうとしたらしいのだ。

なんで、らしいと言うのかというと、その時の記憶が曖昧で頭に血が上りすぎてよく覚えていない。

まぁ、南雲さん達がいたから、取り押さえられて大事には至っていないのが幸運といえば幸運だと思う。

だが、それではっきりした。

それほど私にとってつぐねぇは大事な存在なのだ。

だから、私はつぐねぇに幸せになって欲しいと思っている。

その為なら努力を惜しむつもりはない。

別に野次馬根性でそう思っているわけではないのだ。

ええ、そう、そう思ってるわけではない。

本当に。

本当だってっ。

えっと、ともかく。

私は、彼に期待している。

確かに、見た目もお金持ってそうな感じもルックスも、許婚の人より格下だ。

それもかなりのとつけていいだろう。

だけど、それでもつぐねぇが幸せそうに笑ってくれているならそれでいい。

私は、そう思っている。

えっ?!私の方はどうだって?

うーーんっ……。

そうねぇ……。

出会いがないからなぁ……。

個人的には、年上で、イケメンで、お金持ちで、そんでもって私にとても優しい人がいいなぁ。

でもそういうパーフェクトな人ってまずいないのよね。

南雲さんが結構いい感じなんだけど、年は上すぎだし、何より秋穂さんと戦って勝ち取れる自信はない。

秋穂さんのバイタリティには敵わないと思う。

そういえば、彼がこの前、美紀ちゃんの好みってどんな男の人って聞いてたな。

うーーん。何で聞いてきたんだろうか。

誰か紹介してくれるのかな?

まぁ、完全に該当しなくてもニアピンぐらいの人でもいいけど、紹介してくれるといいな。

でもなぁ……。

「ただし、年下は勘弁ね。絶対、年上じゃないと駄目だからね」

って言った時、彼、複雑そうな表情してたんだよなぁ。

これは期待できないかも。

まぁ、でも、今は私のことより、つぐねぇの事の方が大事だから、彼にはがんばってもらわないとね。

もちろん、私も全力で二人を応援しなくちゃね。

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