皆さんは、モブと言う人々を知っているだろうか。
そう、物語の進行に関係ないただの一般人である。
しかし、彼らには隠された秘密がある。
どうして、ラブコメでは密室殺人が起こらないのだろう。何故、サスペンスで魔法が出てこないのだろう。どうして現実では当たり前の様に起こる事が物語では起こらないのだろう。
この物語は、1人の青年が世界の均衡を守るモブ《ヒーロー》に選ばれるところから始まる。
ある晴れた夏の日 バイト帰りの高校生 三谷佳は不思議な手紙が自分の家のポストに入っているのを見つけた。
「なんだコレ、えっと、僕宛だけど…weiってなんだ。」
黒い封筒に、白い文字で、三谷佳様と書かれている。いたずらにしても酷い。いったい誰が入れたのだろう。心配になりつつも、本当に大切な物だったら悪いと思って、慎重に封を切る。それが物語の始まる合図だった。封筒から光が溢れ出てきて、佳を包む。次の瞬間、彼は不思議な空間に立っていた。
「あら、新入りさんが来ましたよ。」
「おお、兄ちゃん待ってたで。」
そこには、様々な見た目の人がいた。ドレスを着て、見るからにブルジョワの様な人。金髪で、漢字の書かれたシャツを着たニ、三十代のお兄さん。エトセトラエトセトラ…
「あなた達は一体誰なんですか、てかここどこですか。」
「おお、やけに元気やなぁ。安心してや、ここはwei 世界均衡保全機関や。 」
金髪のお兄さんが答える。
「あなたにそんな事言われても、誰も信用しないと思いますけれど。」
「せやなあ、まあ、簡単に言えば、兄ちゃんは世界を守るヒーローに選ばれたっちゅう訳や。」
「ヒーロー、ですか。」
彼は悩んでいた。この人達を信用していいのだろうか、自分がそんな事が出来るのだろうか。
[SOS、SOS、出動要請、今すぐ異常を修正して下さい。]
その場にいたうちの数人が動く、それと同時に佳と話していた2人が、その場にいた全員に聞こえる様に話す。
「「ここは俺ら(私たち)に任してくれ(ませ)んか。」」
それと同時にこちらを見る。
「丁度良え、兄ちゃんにどんな事するんか教えたるわ。」
すると2人は、佳の手を引いてドアの前に立ち、呪文を唱える。
「「此の世の理は不変にして正しき物なり。
それを崩したる者に罰を与えん。」」
するとひとりでにドアが開き、反対側は、都会のビル群だった。
「工エエェェ、どうなってるんですか。」
そんな事を言っている間に、2人は反対側に渡ろうとしていた。
「どうしたんですか。はやく行かないと。」
「ていうかその格好のまま行くつもりですか。」
2人のうち片方はドレス、もう片方はラフなシャツである。そんな格好で街をうろつくわけには行かない。
「大丈夫や。勝手に服は変わってくれる。」
そう言うと、片腕だけドアの向こうに手を入れる。すると、向こう側だけスーツに変わる。
「取り敢えずこっち来てや、話は追々するわ。」
移動しながら聞いた話によれば、彼らは、各地に現れる異常な存在を、いち早く消すのが仕事らしく、その範囲は、この世界だけでなく、並行世界と言われている物もあるらしい。
「おっ、早速お出ましや。」
そこには、都会的なビル群とはほど遠い、巨大な竜がいた。
MISSION ビル群に居るドラゴンを討伐せよ