目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第2話 恐竜退治

「ベル、援護は任せたで。」

そう言うと、金髪のお兄さんは、恐竜に向かって走って行った。

「死なないで下さいよねぇ。」

そう言うと、ベルさんは、手に持っていた鈴を鳴らした。


   チリーン


すると、周りでパニックの様になっていた人々が急に静かになり、恐竜から離れる様に動いていった。

「えっ、凄っ」

驚きで声が出ない。

「これが私の力、『鈴の音』音を聞いた物や人を短い時間だけだけど、操る事が出来るの。」

そんな事を言っている間にも、恐竜は暴れ、街を破壊して行く。

「そして、炎さんの力は…」

ビルが崩れ、2人に破片が降り掛かってくる。

「危っぶな。死ぬとこやったで。」

炎さんが四肢に炎を纏って、空を歩く。そして、2人に掛かりそうだった瓦礫を弾き飛ばす。

「後輩に怖い思いさせた代償は、デカいで。吹っ飛べや、  


        

炎が弾ける様に跳び、恐竜を吹き飛ばす。

「よっし、時間も間に合ったな。二人とも、帰るで。」

「それよりも、これどうするんですか?」

そこには、黒焦げになった恐竜があった。

「うわっ、しまった。まぁ、アイツなら何とかしてくれるだろ。」

「後始末のプロがいるんですね。」

炎さんは手をヒラヒラと横に振って答える。

「あ、そりゃ普通はそう思うか。まぁ見てのお楽しみや。」

そう言うと、大きな扉が現れた。




「炎、ベル、只今メシと共に戻りましたぁ。」

「お疲れ」「ごくろーさん」「今度は何をやらかしたんだ」

様々な声が聞こえる。みんな2人の帰還を喜んでいるのだ。 多分

「なんですかぁ?これ。」

エプロンをつけたメガネの男の人が質問する。

「いいやろ、恐竜の新鮮な肉や。」

「黒焦げの肉を新鮮とは言いませんよ。」

「せやなあ、アッハッハ。」

どうやらこの2人は仲が良いらしい。

「あのぅ、炎さん、この人は?」

「あぁ、紹介するで、こっちは新入りの…何やったっけ。「佳です。」せや、ケイや。」

炎さんが、僕を近くに引き寄せて答える。

「こんにちは、ケイさん。僕は料理担当のナベです。よろしくお願いします。」

そう言うと、ナベさんは、僕の右手を取り握手してきた。

「所でケイ君は、料理ってするの?」

「まぁ、そんなに上手くないですけど。」

本当である。卵焼きくらいしか作りきれない。

「マジで、じゃあ今度料理一緒に作ろうよ。」

突然目を輝かせながら誘って来る。

すると、ベルさんは、ナベさんの首根っこを掴んで、子猫の様に持ち上げる。

「コラ、そんなに急に誘わないの。ごめんね、この子ものすんごい料理オタクなんだよね。」

「あ、いえいえ、僕も料理出来るようになりたいので。」

本当の姉弟みたいだなぁ。この2人は。

「ほら、ナベ、今から料理すんでしょ。」

ベルさんがナベさんを床に放り投げる。

「そうだった そうだった。さて、色々作ってみますか。」

「ジャ、俺も手伝うで。」

ぐへぐへと言いながら、目をらんらんとさせ、竜を丸ごと引き摺るナベさんに、炎さんがついて行く。

所で、ベルさんに気になった事を聞いてみる。

「そういえば、ベルさんとか、炎さん、ナベさんもですけど、本名なんですか?」

少し悩む様な仕草をして、ベルさんが答える。

「う〜ん、実は、この組織って、実はある理由で基本的には、コードネームで動くんだよねぇ。」

「その理由って?」

「この組織が、世界の均衡を保つための組織だって話はしたっけ?」

佳は、上の方をぼんやりとさっきまでの事を思い出す。

「何かヒーローみたいなものと言ってたのは聞きましたけど…」

「そうそう、実際そんなもんなんだけど、まず、世の中には、色々な種類の世界があって、」

そこら辺にあった紙にいくつかの丸を書く。

「そこには、ギャグの世界とか、ラブコメの世界とかがあるんだよね。」

丸の中に、可愛いキャラクターを書く。

「でもさ、ミステリーの世界に、急にゾンビが大量発生したら、どうなると思う?」

佳の方を向いて、ベルさんが問いかける。

「そりゃ、世界観が崩れちゃうじゃないですか。」

ベルさんが指を鳴らす。

「そう!そして、それを守るのが、私達の役目って訳。でも、あくまで私達は、その世界の中心たる、メインキャラにバレない様に事を進めなきゃならないの。」

佳は答える。

「そこで、偽名を使ってるってことですか。」

「そうそう、しっかし君、ほんとに頭良いな。羨ましいくらいだよ。所で、料理オタク達は大丈夫かな。」

「出来ましたよ〜。ドラゴンの卵のスクランブルエッグと、シチューです。」

2人がお盆に皿を乗せて、戻って来た。

そこには、さっきまで街を破壊しまくっていた竜で作ったとは到底思えない、美味しそうな料理が並んでいた。「「「いただきます。」」」

みんなの挨拶の声が揃う。

「そういえば、佳さんに、設備の案内ってしないでいいんですか。」

「せやな。ケイ、食べ終わったら、ここの案内したるわ。」

炎さんが、料理にがっつきながら言う。

「はひ、ははひはひた。」

佳は、余りの美味しさに、ほっぺたが伸びて、ハムスターみたいなことになっている。

「アハハハ、詰まらせないで下さいね。」

モブ達は、今日も元気である。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?