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第3話 ゾンビパニック 前編

それから2週間後、今日もモブ達は各々仕事に勤しんでいた。

「はぁ~、報告書終わんねえ,影、手伝ってくれん。」

炎は机に覆い被さりながら溜息をつく。

「それはあなたがビルを破壊しまくった上に竜を黒焦げにして持ち帰ったからでしょう。私は手伝いませんよ。」

メガネをかけたサラリーマンの様な姿の男、影は答える。

「まあ、もし、貴方がこの任務をしてくれると言うなら、話は別ですが。」

影は手に持った1枚の紙を炎の顔の前でチラつかせる。

「あ、他の方でも、やってくれたら、報酬弾みますよ。」

その言葉に他の職員は一斉に振り向くが、内容をみた瞬間に何もなかったように顔を戻す。

「なんで皆さんそんなにやりたがらないんですか?」

佳は心底不思議そうな表情をしながら、となりの席のベルにヒソヒソと聞く。

「ああ~、それはn」「おや、ケイさん、やってくれるのですか。」ベルが答えようとしたところを、影が遮るように話す。

「それなら良かった。それではおねがi」「ちょっと待ってください。あまりにも危険すぎます。」

今度は逆に、ベルが言葉を遮った。

「いいじゃないですか。才能のある彼にならできます。」「彼はまだ、高校生なんですよ。」「もうほぼ大人じゃないですか。」「しかも、彼はまだ能力(スキル)も開花していないんですよ。」「丁度いいじゃないですか。これを期に発動するかもしれませんよ。」「「ぐぬぬぬぬ。」」

2人はかなり仲が悪いのか、睨み合いを始めた。

「あのぅ、任務は一体どういうものなんですか。」

言い争いの対象の佳がずっと気になっていた事を聞く。

「ある置物の回収よ。」

ベルが振り返って答える。「ほら、簡単じゃないか。」「アンタはちょっと黙ってなさい。」影が首を突き出して話すが、ベルが手のひらに力を込めて押し戻す。

「何が皆さん嫌なんですか?」  

佳は首を傾げる。

「確かに、置物の回収だけなら、みんなすぐ取り掛かって、あっという間に終わっているでしょう。」

ベルは、用紙の場所の欄を指さす。

「12953−6321 ってどこですか。」

見たことの無い数字に首を傾げる。

「ああ、それは、世界識別番号と言って、それと対応する番号の世界のロードマップには、その世界の、古今東西の事がわかるんだけどね…」

ベルがすごく申し訳なさそうにその番号の冊子を手渡す。

「えーっと、この世界は…」

数ページめくってみて、なにかに気づいたのか、言葉を失う。

「そう、その世界、ゾンビパンデミックが起こってて至る所にゾンビが溢れかえってるの。」

考えたくもない話だ。それなら誰もいきたがらない訳にも合点がいく。

「分かりました、僕、行きます。」

その場の全員が、一斉に振り向く。

「マジで行くんか。」

炎が確認を取る。 

「はい、だって、仕事は終わらせないと意味が無いですから。」

佳の瞳は、キラキラと光り輝いていた。

「よし、わかった、私達も行く。」

ベルは覚悟を決めたように話す。

「達…たち?」

影は、ベルが達といった意味に薄々気付いていた。

「そう、アンタも行くわよ。」

ベルは、影を指さす。

「分かりましたよ、どちらにしろ、私は行くつもりでしたから。」影は、ニヤニヤしながらズレたメガネを直しながら言う。

「よし、それじゃあ行くよ。」

ベルが声をかける。

「はい」

「はぁ~い」

「了解」3人は、三者三様の返事をする。


4人はドアを開ける。



MISSION ゾンビだらけの世界から、置物を回収しろ

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