「おお、こんな感じなんやなあ。」
炎さんが呑気な声で言う。
3人が同時に振り向く。
「「「なんでいる(んですか)の」」」
炎さんが頭をかきながら答える。
「いやぁ、この任務やったら影が書類手伝ってくれるらしいし。良いかなって。」
マジで言ってんのか、この人
「とにかく、作戦を考えましょう。」
ぅ゙ぁぁ
遠くからうめき声が聞こえる。
「マズイ、ですよね。」
顔が強張っていくのが分かる。皆の顔から血の気が失せる。
「『(ゥ゙ぁァカ゚)』」
「「「「ぞ、ゾンビだあぁ。」」」」ギャァァァ
そこからのことは、余り覚えていない。
4人でゾンビを無我夢中になって倒しながら、人気のあるところまで逃げようとした。
「こ、ここまでくれば大丈夫 でしょう。」
ベルさんが汗をダラダラながしながら話す。
「冗談じゃない。こんな所で、フラグなんて、作らないでくださいよ。」影さんがメガネを押さえながらながら答える。
カタッ
物音がする。全員その方向を見ると、そこにいたのは、全身武装した、ただの人だった。
「良かった。まだ生きてる人間がいたんだ。」
その人は嬉しそうにしながら、武器を下ろす。
「取り敢えず、こっちに来てください。こんな所じゃ危ない、死んじゃいますよ。」
彼は、僕らを、彼らの拠点に案内してくれた。彼が、厳重に閉じられた扉を開く。そこには、機関の部屋ほどでないにしても、かなりの広さがあった。
「おう、お疲れ。」
「お疲れ様。しかし、外でまだ生きてる人がいたんだな。びっくりしてるよ。」
拠点に案内してくれた人が、部屋の中で武器の手入れをしていた人と挨拶をかわす。
ベルさんがヒソヒソと話しかけて来る。
「そういえば、私達、こっちに来てから、服装が何か、軍人みたいになってたよね。」
「やはり、こっちの人達は、日常的にゾンビと戦っていたのでしょう。」影さんが、ヒソヒソと答える。
「所で、お前さん達はどうして外に居たんだい?」
サバゲーの様な格好をしたおじさんが、不思議そうな顔で聞いてくる。
たしかにそうだ。こんな人がほぼ全滅した様な状況で、4人も揃って街をノコノコ歩いて居るんだ。そりゃ不審がられるだろう。
「えっと…」僕がどう答えようかと、口をゴニョゴニョさせていると、炎さんが助け舟を出す。
「実は、知り合いと逃げる時にはぐれちまってな、そいつを探してるんだよ。所で、こんな置物を知らないかい。」炎さんは、胸ポケットから、書類に付いていた、今回回収する置物の写真を取り出した。
いい感じにボロくなって、ずっと探してる感がでている。
「そうだったのか、なんだかすまねえが、生憎そんな置物は見たことが無ぇ。」すまねえな と言って、おじさんが頭を下げる。
「情報無し。か、まあそんなもんだよな。」
影さんが、ボソリとつぶやく。
「そうだ。お前さん達、名前はなんて言うんだ。
俺は太郎。そして、こっちは三太だ。よろしくな。」太郎さんが手をさし出した。
「炎です。こっちは、右から、影、ベル、佳の4人です。」
そこから、作戦会議をした。
「ゾンビって言うのが嫌いなもんは、炎などの明るいもんなんや。」三太さんが、淡々と説明して行く。
「じゃあ、まずは、ワイが道を作ればいいっちゅう訳やな。」
太郎さんと、三太さんが、どういう意味だと言う顔で炎さんを見る。
ぼぅっ
炎さんの手から、美しい炎が燃え上がる。
途端に、真っ暗だった部屋が明るくなった。
「すげぇ。」
太郎さんは、花火を初めてみた子どもの様に 目をキラキラさせ、三太さんは、あまりにびっくりして、開いた口がふさがっていなかった。
「「お前(さん)、魔法使いなのか?」」
二人の質問が重なる。
「さあ、どうだろうねぇ。」
炎さんは、いたずらが成功した子供の様な顔をする。
取り敢えず、考えは纏まった。
やっぱり、自由に動くためには、ゾンビを倒すしか無い様だ。
「とは言っても、これどうするんだよ。」
影が頭を抱える。
「つまり、ざっくりとした計算でも、ゾンビは、だいたい、2、3万人入るんですね。」
ベルさんが電卓を睨みつけながら答える。
「も、もっかい計算しましょう。」
この事実を認めたくない佳は、もう一回計算を始める。
そんな中、炎だけは、なるべく早くゾンビを倒す方法を考えていた。
「なあ、これで行けるんじゃないか?」