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俺は最推し、イケメン仮面
俺は最推し、イケメン仮面
わさび醤油
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年04月16日
公開日
5.2万字
連載中
 突然だが、みんなはイケメン仮面を知ってるかい?  金髪碧眼。高身長でスタイル抜群。超人的な身体能力。おまけに声もかっこいい超イケメン。  ゴミ拾いに老人のお手伝い。喧嘩の仲裁や不良に拐われた少女を助け出したりと、出来る限り市民を助ける今世紀で最もイケメンな俺の最推しさ!  ──ま、そんなイケメン仮面の正体。  所謂中の人ってのもこの俺大地味太《だいちあじた》、通称|地味太《じみた》なんだけどね?    本小説は小説家になろう様、カクヨム様でも投稿しています。

イケメン仮面を知ってるかい?

 突然だが、みんなはイケメン仮面を知ってるかい?


 正義のヒーローイケメン仮面。

 街中での些細だったり窮地だったりする危機的状況。

 そんなときにどこからともなく現れて、困っている相手へ颯爽と力を貸した後、甘いマスクで微笑みながら飛び去っていく。イケメン仮面は、そんな最高にクールでフレッシュなヒーローのことさ!


 例えば不良やしつこいナンパに絡まれて困っているとき。

 例えば坂で紙袋が破け、オレンジがコロコロと坂を転がってしまったとき。

 例えば歩道橋の階段で転んでしまったときや、道路に飛び出してしまった子供が轢かれそうになったとき。


「大丈夫かい? 君が無事で良かった。では、俺はこれにて」


 颯爽と少年を救い、軽く頭を撫でて母親の下へ返した後、颯爽と跳び去っていくイケメン。


 艶やかな金の髪。

 目元を隠す仮面から覗かせる、サファイアみたいに綺麗な碧い瞳。

 スーツを着こなすモデルみたいに長い手足に、すらりとしながらも筋肉質な黄金比みたいな身長百八十センチ超えの細マッチョ。

 気障ったらしいのに嫌味のない言葉とイケボ。ついでに安らいでしまう良い匂い。


 欠点と言えばイケメン仮面なんてダサい名前を自分から名乗ってることだが、それもまたイケメン故のご愛敬ってね?


 助けられた人は語る。彼は今まで見た中で一番の、本物のイケメンであったと(想像)。

 まだ出会ったことない人は語る。最早自分から危機に陥ってでも、噂のイケメン仮面に会ってみたいと(想像)。


 白馬に乗りこなし、赤い薔薇を携えて、まだ見ぬ姫を迎えに来た他国の王子様。

 昼は正義の味方、夜は夢を与える歓楽街に君臨する夜の帝王。

 漫画やアニメから、現実を救うべく飛び出してきたヒーロー。


 多種多様な正体を挙げられ、時には突拍子もない意味不明な説さえ唱えられるイケメン仮面。


 知っている人は知っている。知らない人もいずれ知る。

 イケメンの中のイケメン。まさに最高のヒーロー、みんなに笑顔を与えるイケメン。

 俺こと大地味太だいちあじたが二次三次合わせた中で最も推しているイケメン、それこそがイケメン仮面さ!


 ──まあそんなイケメン仮面の正体、所謂中の人ってのは俺なんだけどね?

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