身内としては当然の感情 勿論悪気はない…。
ただ、本当はちょっとした許可が必要な事
だが、そんな許可が降りるはずはなかった
反逆者として死んでしまった兄のために神殿で祈りを捧げる。
市場(スーク)での買い物を済ませたナジュサナ
奴隷の身分では外に出る許可が降りるのも
珍しい事
そして市場の近くには神殿がある
人達に紛れて…兄の名前を織り込み 鎮魂の祈りを捧げる
「アーシャッハ、僕の可愛い妹はどうしてるかな 安全の為に 神殿に一事預けられ
その後で貴族の養女になってるはず…なんだけど」ナジュ
「あ、あれ 此処どこ? 奥に入り込んでしまった」ナジュ
それは非常にまずい事である 高位の者達だけが入る事が許される
特別な場所だった。
ぼんやり考えていると…階段で女の人にぶつかった
「すいません!」
無礼者!護衛達が詰め寄った。
「そなた…」
あでやかで 高価な絹の衣をまとった貴婦人がナジュに言う
「貴方様は…」
ゲッ まずい!心の中で叫ぶ
城の妃様の一人じやないか!ど…どうしょうか
「ふふ…そのように…怯えるでない…可愛いのう…」
金色の髪を結い上げて 緑の瞳がナジュをとらえる
妖艶な笑みを浮かべる…
「そなた達…少し下がっておれ…この予言の美しき者に話がある…」
「はっ!」
「さて…そなたは…許可を得ずに神殿に参ったな…まあ…よい…
その可愛らしい姿に免じて見逃すか…」
「あ…有難うございます」
「ふ…高くつくかも知れぬぞ…この唇…」
そう言って…唇を指先でなぞる…。
「ほんに綺麗で愛らしい…」
「あ…あの妃様!」とあせるナジュ
「美しい子じゃな・・」