その後 どうにか現在住んでいるパリ郊外の屋敷にたどり着いた柚葉
「なんて事なの!柚葉
「有栖
「そ、それに‥それに‥ああ!」涙を浮かべて柚葉が言う
「!!」「!」息を飲む そして沈黙する柚葉の主人である
言葉にならずにそっと震える手で差し出したのは
頂きもののルーヴァに薔薇のジャムまたはコンフイチュール
「美味しいジャムはどちらも無事でした!」感極まっての
「有栖様が大変お好きで‥だから、だから」涙声の
「あ、ありがとう柚葉さん でも確かに美味しいものは大好きですけど
柚葉さんが無事なのが嬉しいの」有栖
「あの、でも他の買い出しが‥」「あ、大丈夫 まだ材料はあるから」
「あ、あ、あの今から食事を作りますね ジャムは使いますから
鶏肉の煮込みにフランスパンのチーズと生ハムとレタス入り
和食も最近、材料が入りましたから何か準備します」
料理上手なので時々、料理担当の
「電話でこの話はジェローム様のお屋敷の方に知らせないと‥」
有栖は呟き 部屋の奥にある壁にかかった電話機のダイヤルを回して
耳に器械を当て それから‥
「あ、ボンジュール 交換の方 こちらの番号をお願いします‥」
「もしもし これはマドマゼール有栖さま え!」ジェロームの屋敷
執事は顔色を変える。