シアに案内されて、ルナは湿った森を抜けて歩いていた。
木々の背が低くなり、視界が開ける。
遠くに見える灰色の石壁、それは異世界の街を囲む城壁のようだった。
「わぁ……あれが街ですかにゃ!?」
ルナは目を輝かせ、コメント欄にも興奮が走る。
にゃん民: な、なーろっぱの街だ!
にゃん民: ついに異世界っぽい都市来たぞ!!
にゃん民: この壁の感じ、本格的すぎる…VRでここまで再現可能か?
「みにゃさん、見てくださいですにゃ!
ちゃんとした街がある……嬉しいですにゃ!」
シアは微笑みを浮かべ、足を早める。
「ここが『バズリディア』という街です。
冒険者が集まるギルドもあるし、宿屋や商店も揃ってますよ」
「バズリディア……覚えましたにゃ!」
ルナは胸が高鳴る。
異世界の街、ここで必要な情報や物資を手に入れられるはずだ。
城壁の近くには、大きな木製の門があり、その前に二人の門番が立っていた。
門番は槍を持ち、鋭い眼差しで通行人を見つめている。
「えっと……この人は私の知り合いで……」
シアはルナを指しながら門番に説明する。
門番たちは怪訝な顔をしてルナを上から下まで眺めた。
「その者、見かけない顔だが……身分証はあるのか?」
「す、すみませんですにゃ、身分証は持っていませんにゃ」
ルナが頭を下げると、にゃん民がコメントでざわつく。
にゃん民: 身分証とかあるんだ
にゃん民: やっぱファンタジーRPGの定番設定
にゃん民: これで追い返されたらどうするんだ?
「この方は私の恩人なんです!
襲われていたところを助けてもらって……
私が保証しますので、入れてくださいませんか?」
シアが一生懸命に訴えると、門番は互いに顔を見合わせ、少し考え込む。
「シア……確か街の薬屋さんの子だったな。お前が保証するならいいだろう」
門番は仕方なさそうに槍を横へずらし、門を開く。
「ありがとうですにゃ!
みにゃさん、これで街に入れましたにゃ!」
にゃん民: おお、通った
にゃん民: シアちゃんナイス交渉
にゃん民: マジでRPGの入り口イベントみたいだなw
門をくぐると、石畳の道が続き、両脇には木造の家々。
行き交う人々は多種多様な服装を纏い、荷車を押した商人や剣を携えた冒険者らしき人々も見える。
「わぁ……本当に異世界ですにゃ……!」
感動するルナに、シアは笑いかける。
「身分証がないと、この街では何かと不便です。
まずはギルドへ行って、冒険者登録をするといいかもしれません」
「ギルド……冒険者登録……
みにゃさん、聞きましたかにゃ?
冒険者といえばRPG定番イベントですにゃ!」
にゃん民: ギルドキター!
にゃん民: 本格的に冒険者として活躍なるか
にゃん民: 街中もリアル…どこまで再現してるんだ
「ありがとうございます、シアさん。
では、ギルドへ行ってみますにゃ!
みにゃさん、これからギルド初体験ですよ!」
ルナはワクワクしながら、シアと共に石畳の道を進む。
異世界の街が、いま目の前に広がっている。