「ふぅん、これがVTuberとやらか。だが、所詮こけおどしよ。」
鎧に身を包んだライオン獣人、魔王四天王ミヴァレオンは、神秘的な新衣装を纏った猫神ルナを見下ろしていた。
「消し炭にしてくれるわ」
「爆砕・獅子爪烈波!」
ミヴァレオンが叫ぶと、腕から黒いオーラが噴出し、弧を描く斬撃のようなエネルギー波がルナに向かって疾走する。
その勢いは家屋を吹き飛ばし、地面を抉るほどの威力だ。
しかし、ルナはシュッと軽やかに身を翻し、その攻撃を一瞬で避ける。
ミヴァレオンは目を見開き、驚愕の声を漏らした。
「なっ……避けた……だと?」
空中で宙に浮かぶルナは、凛とした瞳で相手を見据える。
画面にはにゃん民たちのコメントが次々と流れている。
にゃん民: ルナちゃんすげえ!
にゃん民: 新衣装超かっこいい!
にゃん民: あんな攻撃を避けるなんて神業!
ルナは静かに叫ぶ。
「Vは愛…」
ルナの周囲に淡い光が生まれ、分身が生まれる
「Vは希望…」
「Vは夢…」
「Vは未来…」
ルナの言葉に反応するように、分身が一人、また一人と増えていく。
「そして……Vは力!」
5体に分かれたルナは、まるで星々が瞬くようにミヴァレオンを取り囲んだ。
「な、なんだこれは……!?」
獅子の化け物は慌てて牙を剥くが、5方向から繰り出されるルナの攻撃に、なすすべなく吹き飛ばされる。
拳が、蹴りが、光の奔流が、ミヴァレオンを徹底的に叩きのめす。
「グオオオオオオッ!」
ミヴァレオンは轟音と共に地面をえぐりながら倒れ込む。
黒いオーラが揺らめき、ヨロヨロと立ち上がろうとするが、もう手遅れだ。
「くっ……だが、すでにエナジーは魔王様へ送っている!
貴様らVTuberも人間どもも、根絶やしにしてくれるわーーー!」
叫び声を残してミヴァレオンは消えていく。
雑然としたエルフの里は静寂に包まれ、エルフたちは呆然としている。
にゃん民: やったああああ!
にゃん民: ルナちゃん最強!
にゃん民: 熱すぎる展開!
にゃん民: 感動で泣きそう!
ルナは地上へゆっくりと降り立つ。
光に包まれると、その神秘的な新衣装は徐々に溶けるように消え、元のルナの通常衣装へ戻っていく。
優しい微笑みが、彼女の唇に浮かんだ。
「みにゃさん、お疲れ様ですにゃ。
お掃除は、終了しましたにゃ。」
再び和やかな空気が里に戻り、コメント欄は歓喜と拍手で満ちている。
この瞬間、ルナはVTuberとして、再び夢を届ける力を取り戻したのだった。