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6-12 Vは...

「ふぅん、これがVTuberとやらか。だが、所詮こけおどしよ。」


 鎧に身を包んだライオン獣人、魔王四天王ミヴァレオンは、神秘的な新衣装を纏った猫神ルナを見下ろしていた。


「消し炭にしてくれるわ」


「爆砕・獅子爪烈波!」


 ミヴァレオンが叫ぶと、腕から黒いオーラが噴出し、弧を描く斬撃のようなエネルギー波がルナに向かって疾走する。

 その勢いは家屋を吹き飛ばし、地面を抉るほどの威力だ。


 しかし、ルナはシュッと軽やかに身を翻し、その攻撃を一瞬で避ける。

 ミヴァレオンは目を見開き、驚愕の声を漏らした。


「なっ……避けた……だと?」


 空中で宙に浮かぶルナは、凛とした瞳で相手を見据える。

 画面にはにゃん民たちのコメントが次々と流れている。


にゃん民: ルナちゃんすげえ!

にゃん民: 新衣装超かっこいい!

にゃん民: あんな攻撃を避けるなんて神業!


 ルナは静かに叫ぶ。


「Vは愛…」


ルナの周囲に淡い光が生まれ、分身が生まれる


「Vは希望…」


「Vは夢…」


「Vは未来…」


ルナの言葉に反応するように、分身が一人、また一人と増えていく。


「そして……Vは力!」


 5体に分かれたルナは、まるで星々が瞬くようにミヴァレオンを取り囲んだ。


「な、なんだこれは……!?」


 獅子の化け物は慌てて牙を剥くが、5方向から繰り出されるルナの攻撃に、なすすべなく吹き飛ばされる。


拳が、蹴りが、光の奔流が、ミヴァレオンを徹底的に叩きのめす。


「グオオオオオオッ!」


 ミヴァレオンは轟音と共に地面をえぐりながら倒れ込む。

 黒いオーラが揺らめき、ヨロヨロと立ち上がろうとするが、もう手遅れだ。


「くっ……だが、すでにエナジーは魔王様へ送っている!

 貴様らVTuberも人間どもも、根絶やしにしてくれるわーーー!」


 叫び声を残してミヴァレオンは消えていく。

 雑然としたエルフの里は静寂に包まれ、エルフたちは呆然としている。


にゃん民: やったああああ!

にゃん民: ルナちゃん最強!

にゃん民: 熱すぎる展開!

にゃん民: 感動で泣きそう!


 ルナは地上へゆっくりと降り立つ。

 光に包まれると、その神秘的な新衣装は徐々に溶けるように消え、元のルナの通常衣装へ戻っていく。

 優しい微笑みが、彼女の唇に浮かんだ。


「みにゃさん、お疲れ様ですにゃ。

 お掃除は、終了しましたにゃ。」


 再び和やかな空気が里に戻り、コメント欄は歓喜と拍手で満ちている。

 この瞬間、ルナはVTuberとして、再び夢を届ける力を取り戻したのだった。



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