傷ついた王子は森の奥で、枯れかけた薔薇に出会った。
王子から零れ落ちた血で、薔薇は息を吹き返した。
薔薇は、貪欲に血を求めた。
王子は命を手放しかけたが、魔を操る従者が立ちふさがった。
王子を救うため、従者は薔薇に契約を持ち掛けた。
薔薇はこれに応じた。
王子は血の対価として薔薇の魔力を得た。
契約により得た力で、薔薇と森は大いなる渇きを乗り越えた。
王子は森の王となった。
契約は、次代に引き継がれた。
従者は魔法人形に契約を託した。
薔薇もこれを了承し、魔法人形の心臓部には、王の血を吸った薔薇が埋め込まれた。
主命により、魔法人形は血と契約の守り人となった。
薔薇は、渇きを生き延びるための血を求めた。
従者は王家の存続を、何よりも願った。
魔法人形は、主命を忠実に果たした。