さっきよりボリュームが大きかったので、誰かに聞かれてないかってのもちょっと気になって首を振る。
ついでに再度確認。
睨む女生徒はまだ、後の扉にいる。
鞄を奪うように引っ
開けっ放しの扉にあと一歩というところで、まゆらは動けなくなった。
山下
後ろの扉で睨んでいたハズの女生徒が、そこに立っていたから。
見た目、多分こういう子を男子生徒は圧倒的に可愛いと思うのだろう。
真面目そうな黒髪と、ハッキリとした二重。
大きな、潤んだ瞳。
制服も乱れてないし、姿勢も良い。
フリー素材で“女子高生”と検索掛けると、彼女が出て来るんじゃないかと思う。
何を言うでもなく、邪魔するでもなく、ただ、まゆらを睨む。
扉の前に、少しだけ離れて。
少しだけ、通れる隙間を空けて。
通せんぼはしていない。
通りたかったら、通れば?
と、、、。
その代わりちょっとでも触れたら、容赦しない。
言い掛かりは付けないが、キッカケがあればスグに何か言ってやる!
そんな空気を、ガンガンに
まゆらの視線は、その山下の後ろに居る仲間らしき女子生徒二人と男子生徒が三人、こちらを同じく睨んでいるのを確認していた。
――なんでよ、何でよ!
理不尽な山下たちの行動に、爆発しそうになる。
ビクン!
また、左掌が震えた。
我に返った。
それでちょっと、冷静になれた。
横を、身体が触れないようにすり抜けるまゆら。
「あんたが入院すれば良かってん」
右の後頭部に、山下彩那の言葉が張り付いた。
瞬間的に、左拳を握る。
掌が“
それでも、足を止めてしまったのはまずかった。
「聞いたで」
首をちょっと前に出し、その一言を吐いたのは仲間らしき、、、ってか仲間の女生徒の片割れ。
まゆらが足を止めたので、