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稚知謀大 弐 その1

 EG使いたちを捕獲(?)し、フツーの警察が来たのでそいつらに任せたと言い残しトンズラーしようとしてたら、楓から連絡が入った。


 「何よ」

 「何よちゃうわ。仕事やっちゅうぅねん」


 楓と会話が出来てるってことは、さっき道路に捨てたヘッドフォンをしっかり回収したってことだ。

 ルネ、エラいぞw


 「え、マジ?」

 「マジやマジ」


 整った鼻孔が、ぷっくりふくらんできた。


 「頂戴。情報をちょーだい♡」


 デンタイの部屋で起こった大下係長と波働課長のやり取りをつまんで話し、アップされた宮崎佳穂の動画を送った。


 「や~~んw このカワイイ♡」

 「何を観とんねん!」

 「っさい! 言ってるでしょ、私はキレイなものが好きなの」

 「はいはい」


 いつものごとくアイドリングトークが終わって、やっと本題に入る楓。


 「動画の、大阪駅から出発して妹を探すみたいやねん」

 「そうみたいね」

 「ウチはカメラで追うけど、ルネは取り敢えず1号線まで出て、そっから大阪駅向かってくれる?」

 「おkマル」

 「途中で確認出来たら、無線入れるし」

 「そんじゃ1号線から、まずは桜宮橋に行くわね」

 「うん、それで頼むで~」


 ルネは早速、頭の中で地図を広げた。

 ちょうど車で来た道を戻る恰好かっこうになる。

 、、、が、もう車は使えない。

 EG波が大量に発生し始め、エレクトリック・ゴーストが湧き出る時間だ。


 チンクェチェントは結界外そとの署で預かってもらうよう、フツーの警察官に頼んだ。

 シートは絶対動かすんじゃないわよと、念入りにするルネ。

 さてさて、それじゃあ行きますかって歩き出したら楓の声が聞こえて来た。


 「桜宮橋に着いたくらいに、一回連絡入れてや」


 何で?

 と思ったが、考えるの苦手。

 悩む前に、楓に聞く。


 「橋に着いたら、どうするって?」

 「そこ通り過ぎて、東天満の交差点で一回連絡ちょーだい。それまでに映像の女の見つけもスグ連絡してや!」


 そう言って返事を待つと、マイク越しに湿った音が聞こえた。

 ルネが唇を舐めた音だ。


 「邪魔するヤツが出たら?」


 緊急事態だ。

 ちょっとくらいのサービス精神を、楓は持っている。


 「好きにしたらええ」

 「YES!」


 返事をすると、ルネは小さくガッツポーズ。

 転倒したワゴン車を背に、京橋駅方面へ歩き出す。

 すぐ右手に、京橋駅が見える。

 そこを通り過ぎる時、頭上にはJR大阪環状線の線路が走っている。


 くぐる。

 全身に、


 皮膚のブツブツが、気持ち悪くてちょっと興奮させる。

 結界の中に入る瞬間の、この感覚が好きだ。


 左眼が、熱い。

 うずいてる。


 身体のいろんな場所が、疼く。

 いつも、この瞬間は興奮する。

 何せここから先はEG使いが相手、最悪の場合、殺しても仕方ないのだから、、、。





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