少し時間を
佳穂は大阪駅に逆戻りし、稲ちゃんに会っていた。
「ガラケーって!!」
モノアイの言う通り、荷受け所の受付で稲ちゃんを呼び出してこのガラケーを受け取ったところだった。
「そんなん言いなや~」
「こんなん使ってんのん、
「この
稲ちゃんの声が、大阪駅に
こんなにハッキリ初対面の男にソッコーでツッコんで来る女の
しかも馴れ馴れしさを簡単に飛び越えて、早くも親近感。
「モノアイって大丈夫なん? なぁなぁ、どうなん?」
ちょートモダチ感覚。
「大丈夫やって。モノアイさんって、結界内やったら知らんヤツおらん人やで」
「へ~。それって、有名な人ってこと?」
「有名だけやのうて、結界内での実力者ってことや」
稲ちゃんの言葉に、ほ~って顔をする佳穂。
「それやったらええねんけど。こっちは妹助けなアカンから必死やねん」
「そうかそうか。知らんけど」
「知っといて!」
「ツッコミ鬼早っ」
呆れ顔の稲ちゃんは、心の中で
「ほら、電源入れたら掛かってくるから、、、」
読みもしないのに、説明書を見てるポーズの佳穂が怒る。
「解ったから、
ガラケーがゆっくり立ち上がると、ほぼ同時に着信が鳴った。
確認するまでもなく、相手はモノアイだ。
「お、ちゃんと
「貰たけど、ガラケーやで」
「ガラケーでええねん」
最新のスマホだと勝手に思い込んでた佳穂はちょっと納得できない様子だったが、文句は言えない。
モノアイは、そんな佳穂の気持ちなんてお構いなしで話しを進める。
「話す時いちいち耳当ててたら片手
素早く首を稲ちゃんに向け、無遠慮に手を伸ばしてちょーだいのポーズを取る。
「何や?」
「イヤホンちょーだい!」
「何ぃ?」
「モノアイがイヤホン貰いって」
「ホンマかぁ? もう、、、」
一旦窓口から下に消え、立ち上がってくると手にはマイク付きのイヤホンがあった。
嬉しい事に、これも箱入り新品だ。
ジャックに差して、片耳に着ける。
「ちゃんと聞こえてるか?」
モノアイの問いに、佳穂は答える。
「うん」
「ほな行こか」
佳穂の足は、再び結界内に向けられた。
大阪駅の荷受け所から出てすぐ、はじめに動画を撮影した橋の上に佳穂は居た。
「なぁ、どこ行くの?」
そう言えば、自分の目的は妹を助けることだと伝えたが、実際どうやって動くかは恥ずかしながらまったく決めて無かった。