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稚知謀大 参 その6

 佳穂の理解度はなかなかに速い。


 「ほんでな、そうやって大きなったEG波は何かのキッカケで、二つに分かれるんや」

 「分かれる? 波長が二つに、、、?」

 「ちゃうちゃう、EG波のタイプや。貪欲に負の波長を出している人間を求め彷徨さまようのか、その場にとどまり似た波長の人間が通るのをじっくり待つのか」

 「あ、それってもしかして、、、」

 「もしかして、何や?」

 「浮遊霊タイプと地縛霊タイプに分かれるやつのこと?」

 「正解や! ジブンよう解んな。詳しいやん」

 「まぁ一応いちよ結界内ココに入ろうと思った時にちょこっと調べた」


 照れながら、自慢の佳穂。


 「エラいエラい。ほんでな、どっちも言えるんは引っ付いて大きくなるとは明確なっていうこと。意志を持って動き出すEG波、これをな、、、」

 「エレクトリック・ゴーストと呼ぶ!」


 最後の決め台詞を、モノアイから佳穂が奪っていた。


 「座布団持って来なアカンな。理解が早いわ」

 「ま~ね~w」


 と、髪をかき上げる。


 「EG波が意思を持ってエレクトリック・ゴーストになったら、今度は鬱憤うっぷんを晴らすように人間にちょっかいを出して来よる」

 「お、本題っぽいやん」


 佳穂、ちょける。

 小さく笑い、モノアイが話しを続けた。


 「関係の無い奴にでも取り敢えず嫌な事をして、“嫌な気持ち”とはどんなものかを“伝え”たくなりよる」

 「それこそなんでなん? やわ」

 「何でなんやろな。何でなんかは知らんけどそうなんや。知能の低いエレクトリック・ゴーストは小学生のイタズラ程度。電気体やから触れてしびれさすとかで済むんやけど、それでもEGの特性で電気関係は簡単に乗っ取られるで」

 「痺れさせられる時点で嫌やわ」

 「そやろ? “嫌な気持ち”になるやろ? それがどんどん重なって大きなって、ちょっと考えることが出来るようになりよんねん」

 「!」

 「やられたら“嫌な気持ち”になる事を、喜んでするようになりよんねん。そうなるとな、人が“嫌な気持ち”になった顔や態度を見せると嬉しそうに鳴き声を上げよんねん」

 「鳴き声、、、?」

 「そや、キキっ、とかギャアとか、嘲笑あざわらうみたいにな、、、」

 「怖っ、、、」

 「ま、そんな奴らの集りやから、油断してたらドンドン悪さしよる訳や」


 少しの、、、。

 ちょっと考え、やっぱ聞く。


 「悪さって?」

 「分からんか? 走ってる車をぶつけたり、勝手に電気もんの操作したり。しゃーから家電量販店は全ての電源を落としておかんと、次の日出勤したらエラい事になっとる」

 「なんやろ、ちょっと見てみたい気もするけど」

 「アホな事言いないな、大迷惑やで」

 「てへ」

 「電気もんは家電量販店に限らず、一般の家でもコンセント繋がっとったらやられる。電池で動くもんもやられる。結界内では夜、機械は絶対通電しないようにしておくのが常識になったわ」

 「大変やな」

 「メチャクチャ大変」


 あれ? CP関係は? と聞こうと思ったがその話題をスルーさせるほど、モノアイから興味を惹かれる話しが続いた。

 結界の外では知ることが出来なかったであろう話しだ。


 「でな、本来はのが、使やってん」

 「ええ? どゆこと?」


 佳穂にしてみれば、マジで意味不明。





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