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狩人-4


【本文】

ジャパンカップ・ダート(GⅠ 東京競馬場 ダート2000m)


『ジャパンカップダート!ユリノアマゾンが堂々の1番人気!

海外遠征では惜敗続きでしたが日本のレースでは負けられません!

河内洋一は今年で引退。来年から調教師として新たなスタートを切ります!

弾丸ユリノアマゾン連覇なるか!?




5番人気ファイナルアンサー!大井競馬場日ノ丸厩舎所属の地方馬!地方の星に浦河美幸が股がります!』



美幸は今日まで、追い込んでくるだろうユリノアマゾンに対して対策を練っていた。しかし力の差は歴然。騎乗方に迷っていた美幸。

そんな時、師匠の坂田が一言いった。

「着を拾う騎乗なんてするな。勝つ騎乗をしろ!」


『さぁゲートが開いてスタートしました!

ファイナルアンサーが一気に前に出る!これは大きく逃げる展開のファイナルアンサー!

思いきって行きます浦河美幸!



最後方にユリノアマゾン!いつもの位置で待機します!』


レース前に馬主である結城氏と日ノ丸調教師から騎乗方はすべて任せると言われた美幸は「勝つために2着や3着は捨てます!」と言い切った。1着か最下位。前からの競馬を得意とするファイナルアンサーをとにかく大きく逃がすと言う大勝負に出たのだ。



先頭から遥か最後尾へのプレッシャー。

これはある意味マーク戦法。

美幸は確実に覚醒し始めていた。


『ファイナルアンサー15馬身のリード!

ハイペースでひたすら逃げます!』

美幸が競馬学校最後の年に見た天皇賞秋。グレイエスケープの大逃げ。それを凄まじい末脚で差しきったドラゴンアロー。

位置関係は今のファイナルアンサーとユリノアマゾンにそっくりだ。いや、直線一気のユリノアマゾンはあの時のドラゴンアローより後ろに位置取っている。何回も見直したレースのDVD。たとえ鼻先でも先にゴールすればいい。1cmでも1mmでも先に…。美幸は頭の中で何度もシミュレーションを重ねてきた。



『ファイナルアンサー先頭で800mを通過!

後ろも一気に差を詰めてきた!

ユリノアマゾンも位置を上げ始めたぞ!』


直線に向いた時ファイナルアンサーのリードは7馬身。


よし!ハマッた!!


美幸はムチを入れて必死に手綱をしごく。


『ファイナルアンサー!これは逃げきるか!?

ユリノアマゾンも一気に追い込んできたぞ!』


がんばって!!ファイナルアンサー!!


ファイナルアンサーはすでに一杯。しかし美幸は何度もムチを入れて闘志を注入する。


『ファイナルアンサー残り200でまだ5馬身のリード!

後続は迫っているがセーフティーリードになるか!?

ユリノアマゾンは一気に!一気に!2番手に上がった!

凄まじい脚だ!

凄まじい脚だ!


ファイナルアンサーは100を切ったぞ!

ユリノアマゾンが迫る!


ファイナルアンサーは限界!

ユリノアマゾン!ゴール前でわずかにかわして1着!

やはりユリノアマゾン強い!

これで中央GⅠ5勝目!

昨年の最強クラシック世代の一角!暮れは有馬でロンバルディアとファンタジスタが待っています!


そしてファイナルアンサーは素晴らしい大逃げで2着!

地方の星!大健闘の2着です!』



1着ユリノアマゾン

河内洋一騎手のコメント

『素晴らしい脚だったね。次の有馬は僕のラストレースだからアマゾンと一緒にベストをつくしたいね。』


馬主:相羽ゆり氏のコメント

『オ~ホホホ!まだまだこんなもんじゃございませんことよ!

暮れの有馬記念も来年のドバイも全部いただきますわ!』



2着ファイナルアンサー

浦河美幸騎手のコメント

『いいレースでした。来年のフェブラリーSに繋がる結果だと思います。』



馬主:(有)ユーキ代表 結城氏

『浦河騎手の好騎乗だった。今後も彼女に騎乗をお願いしたい。』



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