「もう終わりだな」
父さんは徐々に手に力を入れていく。嫌だ、終わりたくない…セラと出会ってからここまで来たんだ。目の前には会いたかった父さんがいる。
手と足は動く。あとは気持ちだけだ!動け、動け、私の身体。
「…だ」
「ん?」
「まだ終わらない!」
「!?」
私はお父さんの腕を力強く掴み、少しずつ頭を離した。
「どういうことだ?セラの意識は飛ばしたはず。まさかアオ……」
「……はは、やっと呼んでくれたね。お父さん!」
「なっ!?」
私は腕に魔力を全集中し、力強く投げ飛ばした。
「……はぁ、はぁ。お父さんがどんな理由で行方不明になったのかは知らない。でも、お父さんを思って慕っていた……私のセラを傷つけることは許さない!」
私は魔力を練る姿勢になり、魔力を練り始めた。
なんだろう、この感覚。湧き水のように魔力が溢れてくる。
「はぁぁぁ!」
魔力が波のように現れ、私を包み込んだ。
「この魔力量、まさかお前、覚醒したのか……」
「行くよ、父さん」
私は素早く間合いを詰め、下から拳を突き上げようとした。
「はぁぁ!」
「っつ…早い…!?」
父さんは素早く防御の術を展開したが、それは私の狙い目だ。どんなに防御が強くても、強い攻撃を与え続ければ、防御に使う魔力を削ることができる。
父さんに攻撃の隙を与えない、もっと、もっと早く!攻撃を与え続けて、やっと防御の術にヒビが入り始めた。
「これで決める!」
「させるかぁ!」
父さんは手刀で私の拳を叩き落そうと振り下ろした。
ドゴォン!と凄まじい音が鳴り響き、辺りに土煙が広がった。そして、その場に倒れていたのはアオで、立っていたのはリヴィアタンだった。
「はぁ……はぁ……お前たちがこの短期間でここまで強くなるとはな。だが、この戦いは俺が……」
リヴィアタンは勝利を確信し言いかけたその時、アオの姿が急に消えた。
「なっ!?」
リヴィアタンの足元の地面が割れ、下からアオが現れた。
「はぁぁぁぁ!」
リヴィアタンは防御の術を展開するが、アオの拳はリヴィアタンの防御術を突き破った。そして、その拳はリヴィアタンの顎に直撃した。
私の拳を直撃を食らった父さんは、身体を動かすことも出来ず、そのまま後ろへ倒れた。
「はぁ……はぁ…」
「くっ、あの状況で
「父さんと戦うって知らされたとき、セラや皆にバレないように作戦を練ったんだよ。父さんの資料を全て読んで、何万通りの作戦を考えた」
「……そうか。審判」
父さんは満足そうな表情をし、審判に話しかけた。
「俺はもう動けない。ギブアップだ」
「……勝者、セラ・クロッソ・シーラカンス!」
トリトーンの掛け声により、会場は大きな歓声に包まれた。
父さが医療班に運ばれようとしたとき、私に声を掛けてきた。
「アオ、後で医務室に来い。そこで、話すことがある」
「……分かった」
「お前の中で眠っている、セラも一緒にな」
父さんがそう言うと、そのまま医務室に運ばれていった。