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第28話 階級について

 部屋に戻ると、オクト君が椅子に座る。私も対角の椅子に座ると、説明をはじめてくれた。


「ルクバト聖騎士団には、ちゃんと階級があってな? 上から、『聖騎士団長』、『聖騎士副団長 』、『聖騎士元帥』、『聖騎士軍帥』、『聖騎士参謀』、『聖騎士副参謀』、『聖騎士広報』、『聖騎士一等騎士』、『聖騎士二等騎士』、『上級一等騎士』、『上級二等騎士』、『中級一等騎士』、『中級二等騎士』、『下級一等騎士』、『下級二等騎士』があるんだ」


 うわぁ……結構あるんだ……。覚えられるかなぁ? っていうか、聖騎士なんとか騎士って、騎士重複してない? なにか意味があるのかな……?


「あれ? この場合、私はどこに入るのかな?」


「それなら、俺と同じ『下級二等騎士』だな!」


 そうなんだ……。って、えっ?


「お、同じ?」


 驚く私に、オクト君が笑顔で返す。


「おう! 俺もまだ入りたての新人だからな!」


 ええぇぇえ!?


「そ、それであの強さなの……かい!?」


「よせよ〜! 俺なんてまだまだなんだからよ!」


 信じられない。あんなに私をボコボコにした人が新米? じゃあ、私は一体どうなるのさ!?


 動揺を隠せない私を、どう勘違いしたのかオクト君がさわやかな笑顔で言う。


「ま、あのリュドヴィック卿に鍛えられてんだ! そのうち、お前も強くなれるって!」


 なんのフォローなのかわからないんだけど……?


「っていうか、リュドヴィックさんってそんなに有名な人なの……かい?」


 私の問いに、オクト君が目を丸くする。


「お前、あれだけ世話になってるのになんも知らねぇーの? リュドヴィック卿、またの名を『黒剣のリュドヴィック』。俺達新米の教育係をされているお方でな? 階級は……『聖騎士二等騎士』だったはずだぜ?」


 はずだぜ? って……。そっか、リュドヴィックさんってそんなに凄い人だったんだ……。


「私、馴れ馴れしかった、かな……?」


「いーんじゃね? リュドヴィック卿が許してんならよ!」


 そう言ってニカッと笑うオクト君が、なんだか頼りがいがあって安心する。


「う、うん。ありがとう!」


 すると、オクト君が話題を変えた。


「んじゃ、この話はここまでとしてだ。明日は休日だけど、どーするよ?」


「そうなんだ……どうしようかな?」


 私は考える。そう言われてみると、この世界に来てから休日らしい休日なんてなかった。……単にスパルタリュドヴィック先生の影響だろうけど。


「う〜ん、まだこの都市に慣れてないから、色々巡ってみたいかな?」


 思ったことを素直に言うと、オクト君が口を再度開いた。


「お! なら、俺が案内してやるよ!」


「え、いいのかい?」


「おうよ!」


 右手の親指を立てて言ってくれるオクト君に、私は素直に甘えることにした。


「うん! よろしく!」


「おっし、そうと決まれば……もう寝ようぜ? お前も疲れたろ?」


 言われてみれば確かに疲れている。というか、自覚したら途端に疲れがドッときた。


「そうだね……じゃあ、休もうかな」


「了解〜」


 こうして私達は寝る準備をして、床についた。


 まぁ、案の定、私は慣れない環境でなかなか寝付けなかったんだけどね……。

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