うっわ、こわ……虚ろな目つきがヤバい奴のそれじゃないか……。
私がドン引きしている間に、アンドレアスさんが冷静に話を進める。
この人、口調はアレだけど……中身結構クールだよね……。
「奴らが『パビルサグ』である。個別に名前があるのか等は現時点では不明であるが、個体数は少ないと我々は見ているのである。ただ……」
「ただ……なんでしょうか? アンドレアス殿」
リュドヴィックさんが先を促す。アンドレアスさんは杖を持ったまま、もう片方の手で頭を押さえた。
「奴ら、ゴブリン並みの知性はあるようでな? 小賢しいのなんの……対処魔法も構築中であるが中々データが集まらなくてな……故に。諸君らの旅路、我も同行させてもらいたいのである」
アンドレアスさんの急な申し出に、リュドヴィックさんが反応する。
「よろしいのですか? 自分達の旅はルクバト騎士団としての任務。そこにアスケラ魔道士団のお方が同行となると、それなりの手続きが必要になりますが」
「百も承知である。故に、その手続きは既に済んでいる。諸君らの上司、アルベリク・シャレット殿と交渉完了しているのである。……これが証拠である」
そう言って、アンドレアスさんがリュドヴィックさんに丸められた紙を渡した。受け取ったリュドヴィックさんは紙を開き、中身を確認しているようだった。
しばらくして、リュドヴィックさんが口を開く。
「確認致しました。では、改めて御協力の程感謝致します。何卒よろしくお願い致します」
そう言ってリュドヴィックさんが立ち上がり、アンドレアスさんに向けてルクバト式の挨拶をする。
アンドレアスさんも立ち上がると、アスケラ式の挨拶で返してくれた。
えっとつまり……これは、仲間が増えたって事でいいのかな? 増えるのは頼もしいけど……。
「では話がまとまったところで、次に……」
アンドレアスさんの声を遮るように、大会議室の扉が大きく開かれた。
「た、大変です!! 『パビルサグ』三体と魔物の群れが襲って来ています!!」
中に入って来たのは、聞き覚えのあるベニーさんかダニーさん、どっちかだろう人だった。
「このタイミングでアスケラに来るとは……油断ならないのである。ルクバト騎士団の諸君、助力頼めるか?」
アンドレアスさんの言葉に、リュドヴィックさんが頷く。
「勿論です。皆、いいな?」
「はい!」
「承知」
「は、はい……」
オクト君、ブリアック卿、私の順で答えると、全員で大会議室を後にした。