かげりよの
現代ファンタジー異能バトル
2025年04月22日
公開日
7.2万字
連載中
マーダーゲノム―――それは斬殺、銃殺などの《殺人技術》が血の記憶として遺伝する、忌まわしき二重螺旋の呪い。
舞台は、暴力性遺伝子抑制(VGS)手術によって暴力、殺人事件数が激減した近未来の日本。
高校一年生、葉島眞咲は、自身が幕末の人斬りからゲノムを継いだ《人斬りゲノム》であることを告げられる。
遺伝子工学に反対する過激なテロ組織から国を守るため、眞咲は半ば強引に《等活部隊》に入隊させられる。それは《刺殺ゲノム》に《撲殺ゲノム》、果ては《絞殺ゲノム》まで、あらゆる種類のマーダーゲノム保因者たちが集う等活地獄さながらの部隊だった。
果たして眞咲は遺伝子に従ってプラズマブレードを血に染めるのか、それとも遺伝子に背を向けて逃げおおせるのか、はたまた遺伝子を真に己が物として新たな道へ踏み出すのか――
退けば地獄の罪人が、進めば地獄の獄卒へ
二重螺旋の連枝の果てに、望まず咲いた徒花よ
殺陣殺調血風惨雨、地獄の釜は開かれた
※カクヨム様、ノベルアップ+様にも投稿させて頂いております。
序文 ヒトキリ講談
時はあたかも夕暮れの、渋谷駅前交差点
人の喧騒、車の往来、いずれも今はそこに無く
時折響く銃声は、鐘の音に似て物凄く
残虐非道のテロが今、東京都内で起きていた
十字の道路の中央に、一人佇むその隻影
白皙、茶髪、剣は二本、あれぞ異国の女騎士
此度のテロを企てた、イノセンティストの一味なり
女は静かな闘志秘め、今か今かと敵を待つ
果たして道の向こうから、歩き来たれる姿あり
制帽制服深緑、獄吏のような服装で
その服その顔血に濡らし、凄惨極まる格好の
歳は弱冠十六歳、容貌秀麗好男子
温厚柔和を絵に描いた、沁み入るような笑み浮かべ
白鉄三尺機械の刀、プラズマブレード腰に差し
歩き来たるは血風惨雨、人斬りゲノムに相違なし
青年ぴたりと足を止め、笑顔で騎士に言葉を告げる
騎士は言葉は不要とばかり、腰から二本の剣を抜く
右にサーベル左にレイピア、攻防一如のその構え
温和に微笑む青年も、得物の柄に手を掛けて
焦熱プラズマ迸る、紫焔の刃を抜き放つ
斜陽の赤光照らす中、二つの影は激突す
炎刃一閃プラズマブレード、光跡描いて斬り込むが
対する騎士は縦横無尽、演舞が如く身をかわす
東京華場の大辻で、騎士と人斬り大立ち回り
一波動いて万波が動く、ゲノムの死闘の幕が開く