“抱いてください”
という割には、こういう所がある。
格好いいよな。
実は、“抱いてください”
と言われた日からその方法を
こっそり勉強していた。
最初に見た時は驚いたけど頭の中で
俺と多佳良に置き換えてみた。
『⟬ ぁん、蒼介さん……乳首ダメぇ……!!⟭』
俺の手で愛撫されて可愛らしい声で
俺のモノが痛い程反応してしまったのを覚えている(苦笑)
そんな回想をしている間に夕飯の用意ができたらしい。
「父さん、エロい妄想でもしてたの?」
「そんなエロ妄想しちゃう父さんに
俺と母さんからプレゼントがあるんだよ(笑)」
プレゼント?
「まぁ、それは後のお楽しみ
ってことで先に夕飯を食べよう」
気になるがとりあえずは夕飯が先だ。
他愛もない話をする時間は幸せだ。
┈┈┈┈
夕飯後、俺が洗い物を済ませて
ソファーに戻る妻がテーブルの上に
商品券などを入れる袋を置いた。
「実はね、福引で二等の温泉旅行を当てたの」
声が弾んでいる。
「それで、母さんと二人で話してたんだけど
次の連休に父さんと多佳良で行ってきたらどうかと思ったんだ」
成る程、{プレゼント}
って言ってたのはこのことだったのか。
『待て待て、それを当てたのは#遙緋__はるひ__#だろう?
だったら、皆で行くべきだと思うが……』
「いいのよ。
折角、恋人同士になれたのに
私達に気を使って、“そういう”こと
未だにできていないでしょう?」
なんと言うか、息子はともかく
妻から所謂、{夜の営み}について
指摘されるのはなんだか居たたまれない……
「だから、今度の連休に
二人で行ってらっしゃい」
『わかった、ありがたく行かせてもらうから
二人も好きなことをして過ごしてほしい』
俺達は基本的にはお互いを干渉しない家族だ。
だからといって、冷めてるわけではなく
程よい距離感を保っているだけだ。
それぞれ趣味があり、普段から食事の時以外は比較的
自由に過ごしているから
多佳良のことも受け入れてくれたのかもしれない。
「勿論そのつもりだよ。
母さん、母さん、これで行けるね」
何処にだ?
「そうね、夏コミに間に合うように私も書こうかしら?
目の前に題材がいることだし」
全くもって話についていけない……
「母さん、わかんなくもないけど
本人達を前にしつ題材って(笑)」
『えぇと、二人は{腐}だったりする?
そして、二人でコミケに行きたい感じ?』
多佳良は何か気付いたらしい。
「当たりよ」
俺には話の内容はさっぱりわからないが
二人で出掛けたいことだけはわかった。
「お土産よろしくね」
ちゃっかり、土産の催促をされた。
『あ、あぁ、わかった』
なんとなく狼狽えてしまったが
息子と妻が仲のいい