時計は午後11時を少し過ぎたところだ。
女の子二人は仲良く入浴中。
「俺、真琴とお風呂入りたかったな……うう、やばい。緊張する」
実はさっき相談していて今日新菜は一人で寝ることになっていた。
明日大阪への出張で朝早いからね。
つまり今日。
俺はちらりと新品の例の箱を確認した。
「準備はOK。うあ、うまくできるかな……うう、やばい、考えただけで興奮する」
俺が枕を抱え悶絶していると、ドアをノックしてお風呂上がりの真琴が俺の部屋に入ってきた。
しっとりとした髪が色っぽい。
「あ、あの、誠。……そ、その……あう」
「お、おう、えっと……す、座ったら?」
「う、うん」
俺の隣に腰掛ける真琴。
お風呂上がりで凄くいい匂いがする。
まるで心臓の鼓動が聞こえそうなほどドキドキとしている。
俺は隣の真琴を見ようと顔を向けた。
目が合う。
「「っ!?」」
顔がほんのり赤く色づいて、目が潤んでいる。
ああ、凄く可愛い。
俺はそっと真琴の頬に手を伸ばす。
「ひゃん♡」
「うあ」
いきなり声を出す真琴。
心臓が飛び出るかと思った。
「あ、あのさ、そ、その……愛してる」
「っ!?……うん♡……嬉しい」
「えっと、電気、消した方が良いかな」
「う、うん。……恥ずかしいから……お願い」
「うん」
俺は電気を消して、真琴を優しく抱きしめた。
柔らかい女の子の感触に俺の胸が高鳴っていく。
「ん♡……もう、やさしく、だよ?うあっ」
そしてそのままベッドへ倒れ込む。
真琴を早く感じたい。
「あう、こ、こら、もう……んあ、エッチ、ちょっ、ちょっと、あう」
「ああ、真琴、可愛い……良い匂い、ああ、柔らかい……真琴…」
俺はもう止まれない。
真琴を感じるように手を動かし続けていく。
「あん♡……もう、焦らないで……今、服脱ぐから……」
「お、おう……俺も脱ぐ」
薄暗いベッドの上で二人の服がこすれる音が響いている。
暗くてよく見えないのが残念だけど、薄っすらと真琴の美しい白い体が認識できた。
凄くキレイだ。
「真琴……奇麗だ……」
「もう……エッチ♡」
ああ、ついに今日、俺は真琴と結ばれるんだ。
感動が俺の胸に押し寄せていく。
そおっと真琴に触れる。
吸い付くような感触に俺はますます興奮していく。
「ねえ、キスして?……いきなり触るのは……怖いよ?」
「う、うん。……ん」
「ん♡……はあ、誠………好き」
「俺も大好きだよ」
ああ、もう好きすぎる。
もう止まれないよ……
再び俺は真琴に触れながら、彼女を優しくベッドへ寝かせ、覆いかぶさる。
真琴の吐息が俺の興奮を誘う。
そんなタイミングで突然音を立て開くドア。
二人の時が止まる。
「わーん。やっぱり無理―。一緒に寝るの―」
「「は?」」
「もう、ズルい二人。私も混ぜろー」
そしていきなり明るくなる俺の部屋。
素っ裸の二人は慌てて服で体を隠す。
「あっ!?……ごめん。邪魔しちゃった?てへっ♡」
「「……」」
「もう、明日出張で早いの。早く寝よ」
「「……」」
「明日私居ないんだからさ、明日にしてよね。まったく」
「「……」」
「ほら、早く寝るよ。おやすみー」
そして再び消される電気。
なぜか俺と真琴の間にねじ込んでくる新菜。
俺は心で泣いた。
真琴はどうだろうか。
明日こそ頑張ろう!!
こうして夜は更けていった。
※※※※※
「ピピピ…ピピピ…ピピピ…」
新菜の携帯が鳴り始める。
どうやら朝が来たようだ。
「うーん。良く寝た。……急がなくちゃね。誠、起きて」
「う、うん……えっ?まだ4時半じゃん!?」
「うん。だって6時に会社だよ?急がないとじゃん。ご飯お願いね」
「あー、そうだった。分かったよ。新菜準備は大丈夫?」
「うん。ばっちり。だから後は身だしなみと御飯だけだよ」
「よし、任せろ。あっ、真琴はまだ寝かせてあげような」
「うん」
あわただしく俺と新菜は準備に追われていく。
でもこういうのなんか楽しいんだよね。
どうにかご飯が出来たくらいで真琴が起きてきた。
凄い寝癖だ。
「おはよう誠。新菜は?」
「ああ、もう来ると思うよ。おーい、ご飯できたよ」
「はーい」
ばっちりスーツを着込んだ新菜。
うん凄い美人だ。
「あーお腹空いた。あっ、おはよう真琴」
「おはよ。新菜朝から元気だね」
「うん。今日は大阪だからね。頑張っちゃうよ」
俺は新菜にご飯をよそってやる。
卵焼きとウインナー。
みそ汁とレタスサラダ。
まあまあだよね?
「いっただきまーす」
※※※※※
5時20分くらいに新菜はあわただしく出ていった。
頑張れ。
「真琴ご飯どうする?」
「うん、食べたいかな。……お腹空いた」
「ははっ、わかった」
俺達は二人でご飯を食べる。
何気に二人きりでご飯を食べるの久しぶりだ。
ああ、いいな。
こういうの。
真琴、可愛い。
思わず見つめていると目が合う。
俺、見過ぎかもだね。
「もう、そんなに見られると食べられないよ?……せっかく美味しいのにさ」
「ごめん。そうだな、俺も食べよっと」
「ふふっ、なんか久しぶりだね」
「うん。俺もそう思ってた」
二人で食べるご飯は、すごくおいしかった。
※※※※※
まだエッチは出来ていないけど。
俺達らしいって思っちゃった。
もちろん今夜は頑張るつもりだけどね。
早く真琴と結婚したい。
俺は心から想っていたんだ。