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第44話 結ばれる二人

俺が軽トラックで家の敷地に入ると、すでに真琴の乗る軽乗用車が車庫に入っていた。

俺はウキウキで玄関に入る。


「ただいま」

「おかえり」


軽トラックの音が聞こえたのだろう、真琴が玄関で迎えてくれる。

幸せ過ぎる。


俺は真琴を抱き寄せた。

ただいまのキスで俺はすごくテンションが上がってしまう。


「うん、もう♡……今日は、そ、その……二人きりだね♡」

「う、うん。えっと、ご、ご飯作るね。真琴、疲れたでしょ?休んでいて」


俺は何だか恥ずかしくなり、レジ袋片手に急ぎ足でキッチンへと向かった。

少し落ち着かないといきなり襲い掛かってしまいそうだ。


しかし何故か付いてくる真琴。


「ねえ、私も手伝うよ?今日は何作るの?」


見れば真琴は可愛いエプロンをしていた。

手伝う気満々のようだ。

うれしい。


「うん、今日はさ、ニシンが安かったから素揚げにしようと思ってさ。あとは大根の味噌汁かな」

「わあー、美味しそうだね。誠、本当にいいお嫁さんになれるね♡」

「主夫なっ!」

「ふふっ」


うあー、やばい。

凄く幸せだ俺。



※※※※※



時計は午後8時。

晩御飯も済んで、今俺たちはリビングで寛いでいた。

邪魔されないようにもちろん新菜にはメールを送信済みだ。


最近あの爺さん、子猫はいない。

どうやら色々と忙しいみたいだ。


寛いでいる警戒心のない真琴を見て俺は思わずつばを飲み込んだ。

つい彼女の柔らかそうな胸に目が行ってしまう。


「な、なあ、真琴。……お風呂……い、一緒に入る?」


ぐうっ、は、恥ずかしすぎる。

俺多分真っ赤だろ!?


「っ!?……う、うん。……入る♡」


顔を赤らめ上目遣いで真琴がつぶやく。

ぐはっ、くうっ、可愛すぎか!?


そして立ち上がり俺の服のそでをちょこんとつまむ真琴。

俺はもう限界だ。


「じゃ、じゃあ、い、いこうか」

「………うん」



※※※※※



俺達は幼馴染で、それこそ生まれて物心ついたころから一緒にいた。

お風呂だってたぶん5年生くらいまで一緒に入っていたはずだ。


実は俺が恥ずかしくなっちゃって、いつの間にか一緒に入らなくなったんだよね。


だって、あの時に少しだけ成長した体の真琴に、異性を感じた俺は彼女の事を『女の子』として好きになっていた事に気づいてしまったから。


世の中には幼馴染で恋に落ちる人はいるのだろうけど、意外と少ないと思う。

だって、近すぎるんだよね。

もう、家族みたいに。


でも俺はさ。

たぶんもっと前から真琴の事が好きだった。

今思えば俺はいつでも真琴を目で追っていたと思う。

少し気持ち悪い奴だったかもしれないけど。


だから今日の事は忘れない。

美しく成長した真琴は俺にとって本当に女神の様だった。


真琴の顔も、声も、髪も、肌も、もちろん心も……俺はすべてが好きだって思い知らされた。

俺達はお互いを思いやりながら、深くつながったんだ。


爺さんの心配は杞憂だったよ?

恥ずかしいけど俺たち体の相性はばっちりの様だった。

幸せ過ぎです。


真琴最初は痛がっていたけど……

すぐに幸せそうに感じてくれていた。

俺を求めてくれた。


そんな可愛い真琴に俺は感動の波に包まれ、愛おしさが限界を超えたんだ。


今の俺は男だからさ。

あの時みたいな『在り得ないような快感』はもちろん感じない。

でも、違うんだよね。


俺は満たされたんだ。

心の底から。


そして思う。

絶対に真琴を幸せにしたいって。

一緒に幸せに暮らしていきたいって。


俺の横で可愛い寝息を立てている真琴。

恥ずかしくて言えないんだろうけど……


真琴は俺の宝物だ。

もう絶対に離さない。


愛しているよ。

結婚しよう。


俺は明日起きたら真琴に伝えると心に決め、幸せな香りに包まれ、目を閉じた。



※※※※※



翌朝、5月2日午前6時。

俺は昨日の決意を真琴に伝えた。


「真琴、結婚しよう」

「っ!?……はい。……嬉しい」


二人して寝癖で、ぼんやりまなこ

俺達らしくて良いよね?


俺は自然に真琴を抱きしめた。

もう真琴は俺のものだ。

誰にも渡さない。


「ん♡もう……ムードなさすぎでしょ?……誠らしいね♡」

「ははっ、そうかも。……新菜帰ってきたら教えような」

「うん」



※※※※※



俺と真琴は一応これでケリがついた形だ。

後は8日後。


それで取り敢えず色々と決着がつくことになる。

新菜、いやニーナさん。


彼女の選択を俺は尊重しようと思う。

もう真琴も知っている。


8日後のミッションの後選択肢があることを。


色々な運命が渦巻いていたとさやかさんは言っていた。

でも俺たちはその運命に感謝していたんだ。


だって。


もう二度と会えないと思っていた真琴に合わせてくれたこの運命に、俺は感謝しかないんだから。


なあじいさん。

きっと貴方は色々考えたんだろうね。

そして悩みぬいたんだろう。


でもさ、俺はありがとうって言うよ?

だからさ、任せて欲しい。


必ずケリをつけるから。


よしっ、心が決まったことだし、朝ごはんとお弁当作りますかね。

今日行けばそのあとは連休だ。


真琴といっぱい遊ぼう!!

もちろん新菜もね。


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