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お花見はこっそりと《透視点》

バレンタインも終わり次なるイベントは

"雛祭り"じゃなく"お花見"だ。


ただ、四人で出掛けるとなると色々と面倒だ。


学校で俺達の関係を知ってるのは薄野先生だけだ。


学校関係者にバレれば最悪、俺達は退学、

龍也と李雄先生は学校を辞めさせられるだろう。


俺達の間に立ちはだかる教師と生徒という壁……


はぁ~


思わずため息が出た。


隣に居た桜香には聞こえていたらしい。


心配そぉに顔を覗いて来た。


今は、屋上でのランチタイム誰にも邪魔されずに四人で弁当を食べられる。


「透、何か悩み事?」


そんな深刻そぉな顔したか?


「いや、四人でお花見に行きたいけど

無理だよなぁて思ってただけさ」


本当は違うことを考えてたのだがバレないように

尤もらしい理由を付けて桜香に言った。


「そぉいえばもぉすぐ3月だもんね」


そんな話しをしていたら龍也と李雄先生が話しに入って来た。


「二人で内緒話しですか?」


「何か妬けるな」


その言葉に桜香と二人で噴き出した。


あの日を思い出すな。


「ぷっ、妬けるって

俺達が幼馴染みだって知ってるくせに」


一通り笑った後、さっき二人で話してたことを説明した。


「お花見ですか♪」


龍也が何故か嬉しそうだ。


「私、実はお花見って行ったことないんです」


訊く前に龍也が答えてくれた


「一回もか?」


李雄先生が不思議そぉに聞き返した。


「はい、昔透にはお話したと思うのですが

私の家は両親が大変厳しい人達で

兄も私もそぉ言った所には

連れて行ってもらえなかったんです」


苦笑いって感じで話してる龍也を抱きしめた。


「悪い、そんな話しさせて」


李雄先生が申し訳なさそぉに謝った。


「気にしなで下さい」


俺に抱きしめられながら今度は笑顔で言った。


「じゃぁ、九重先生の為にも

楽しいお花見にしなきゃね♪」


桜香が張り切ってる。


「そぉだな」


家族でお花見に行ったことのない龍也の為に

心に残るような楽しいお花見にしなきゃな。


「まずは、場所を決めなきゃ♪」


なるべく、学校から遠い方がいい……


俺達の関係がバレたら今みたいな

幸福しあわせな生活は送れない。


さっき考えてた事が現実になるのだけは


絶対に嫌だ……


「どの辺がいいかなぁ?」

と言いながら桜香が携帯を出した。


「やっぱり、近場が多いね……」


携帯の画面を見ながら眉間に皺を寄せている。


此処はダメあそこもダメと携帯と睨めっこしてる

その様子を俺達三人は黙って見ている。


睨めっこから三分程していい場所を見つけたらしい。


そして、お花見当日、現地集合ということで

俺と桜香は電車に揺られている。


お花見会場には最初、龍也の車で

行こうかという話しだった。


しかし、俺が電車にしようと言ったのだ。


勿論、龍也の車でも別に良かったが

電車にした理由わけは二つあった。


一つ目は龍也と李雄先生が疲れるだろうと思ったから。


二つ目は 誰かに見られたら大変だから。


俺は今が

幸福しあわせ過ぎて時々怖くなるんだ……


お弁当は桜香と龍也が作り、レジャーシートや

おやつ等は俺と李雄先生で用意した。


駅に着くと二人はもぉ着いていた。


「二人共早いな」


待ち合わせ時間より二十分程早いのに。


「早く来るのは教師の性ですよ」


つまりは習慣ってわけだ。


「何分くらい待ってた?」


龍也達はどれくらい待ってたんだろうか?


「そんなに待ってないさ」


李雄先生から少し曖昧な答えが返って来た。


こりゃ十分以上待ってたな……


まぁいいかと心の中で完結させ、四人で目的地であるお花見会場に

向かったのはいいが今、俺と桜香は現在進行形で不機嫌である。


何故かというと龍也と李雄先生が逆ナンにあってるからだ。


周りから見れば俺達がカップルに見えないことは

百も承知だがムカツクものはムカツクのである。


龍也と李雄先生が困りながらも必死で

断ってるにも関わらずしつこい!!


せっかくのダブルデートが台なしだ……


イライラしながらその光景を見ていたら龍也がこっちに歩いて来た。


「どぉした?」


あまりのしつこさに嫌気がさしたのか?

と思っていたら俺にキスをした。


ぇ? おい龍也……


まさか、外でキスされるとは予想外だった……


ポカーンとなったのはナンパして来た女性二人と俺。


笑い出したのは桜香と李雄先生だ。


普段、龍也ん家でイチャラブしてるし

お互い様だから二人が笑い出すのも分かるが……


だけど、龍也が此処まで大胆だったとは知らなかった。


「なぁ桜香、俺は龍也があんなに大胆だったなんて知らなかったぜ」


李雄先生も俺と同じ事を思ったみたいだ。


「そぉだね、僕もビックリした」


なんて言っているがまだ二人共笑ってる。


放心状態の俺達を引き戻したのはまたしても龍也だった。


「これでお分かりでしょう?


私達はデート中なんです」


その言葉に今度は俺も加わり笑い出す。


「まっ、そぉいう事だから悪いね」


今度は李雄先生が桜香をギュッと抱きしめながら言った。


そして、放心状態になったままの

女性を置いて俺達はお花見会場に向かった。


ちょっとしたアクシデントがあったけど、無事に会場に着いた。


「綺麗ですね」


龍也が喜んでくれて良かった。


「あの、向こうの方も見て来ていいですか?」


少し、遠くを指して訊く龍也に二人が俺に言った。


「透も一緒に行って来なよ」


最後に龍也先生が一人だと心配だからと。


「此処は俺達が用意しとくから二人で見て来い」


李雄先生にも背中を押された。


*------------------*


ー桜香視点ー


透達を見送って、今は李雄と二人っきり。


なんか久しぶりだなぁ~


隣でお弁当を広げようとしてる李雄に後ろから抱き着いた。


「桜香!?」


いきなり抱き着いたから李雄は驚いたみたい。


「二人っきりって久しぶりで抱き着きたくなったの」


ちょっと恥ずかしくなった//////


「確かに久しぶりだな」


笑顔で抱きしめ返された。


周りはお花見のお客さんでいっぱいだけど気にしない。


だって、久々の外でのデートだもんね♪


「透達はゆっくり見られてるかな?」


今日はお花見が初めてって言ってた龍也先生に楽しんでもらわなきゃね。


「李雄は家族でお花見来たことある?」


何気なく聞いてみた。


「中二までは毎年来てたな

中三からは受験だなんだで来なくなったけどな」


「桜香は?」


やっぱり聞き返されるよね。


「僕は毎年、うちの家族と透の五人で来てたんだよ」


透のお父さんは出張が多いから子供の頃から

毎年イベント事は五人でして来た。


*------------------*


ー李雄視点ー


龍也達を見送って今は桜香と二人っきり。


久しぶりだよなと思いながら弁当を

広げようとしたらいきなり桜香に抱き着かれた。


「桜香!?」


何の前触れもなく抱き着かれて

驚いてたら、桜香が頬を赤くしながら

「二人っきりって久しぶりで

抱き着きたくなったの」

と言って来た。


確かに久しぶりだなと改めて思ったら

無意識に笑顔で抱きしめ返してた。


周りはお花見客でいっぱいだけど気にしない。


だって、久々の外でのデートだからな。


「透達はゆっくり見られてるかな?」


未だに抱き着いたままの桜香が言った。


そぉ、さっき透達を行かせたのは

二人っきりでゆっくりして欲しかっからだ。


お花見が初めてだって言ってた龍也に

楽しんでもらわなきゃいけないからな。


「李雄は家族でお花見来たことある?」


二人の心配をしてたら何の前触れもなく訊かれた。


「中二までは毎年来てたな中三からは

受験だなんだで来なくなったけどな」


普通の家よりは多分仲が良かったと思う。


「桜香は?」


聞き返してみた。


「僕は毎年、うちの家族と透の五人で来てたんだよ」


そぉ返事が返って来た。


そぉ言えば透ん家は父子家庭だったな。


片親ってのも大変だよな……


桜香と透は幼馴染みって言うより家族なんだなぁなんて思った。


何時か、俺も桜香の家族の一員になりたいと思った。


*------------------*



ー透視点ー


俺達が戻ると桜香は李雄先生に抱き着いていた。


最近は常に"四人"で居るのが当たり前に

なっていて二人っきりというのが

なかったなぁと最近を振り返ってみた。


「なんだか、桜香君嬉しそうですね」


隣に居た龍也がそぉ言ったから俺はわざと聞き返してみた


「龍也は嬉しくないのか?」


「そんなはずないじゃないですか//////」


年上なのに可愛いな♪


「ごめんごめん、冗談だよ」


「もぉ!! 透はイジワルですね」


照れながら桜香達の方に走って行った……


俺はゆっくりと歩きながら三人の所へと向かった。


その後、お弁当を食べ、今度は四人見て回り桜の写真を沢山撮って

来た時同様俺は桜香と、龍也は李雄先生と帰ることとなった。


龍也と李雄先生がナンパされるという

アクシデントが起きたけどその後は知り合いに誰にも会わずに帰れて良かった。


来年もまた四人で来られますようにと心の中で祈った……

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