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44.5『アレックス・ザイザール②』


 僕は、さ。

 魔族が本当に憎い。それは揺るぎない事実なんだ。


 ザイザールを攻められた事も滅ぼされた事も覚えてないけど、僕の中には魔族への憎しみが強く――、ううん、僕には魔族への憎しみしかなかったんだ。


 でも今はね、ロンみたいな変な奴が魔王デルモベルトだった事も知ってる。


 聞く限りロンみたいな魔族は他にはいないらしいし魔族を全部殺すつもりなのは変わらないけど、その『つもり』が弱くなってるみたいなんだ。


 だって、ウルの二人には悪いんだけど、僕はザイザールのこと全く知らないからね。

 両親も国民もみんな魔族に殺されたけど、知らないんだ。全く覚えてないんだもん。


 でも、今の僕はロンの奴がなんだか良い奴なのも知ってるし、何より、リザの事も知ってる。



 リザはさ、大きくて強くて、照れ屋さんで優しくて、整った筋肉に逞しい顎。緑のお肌によく合う紅髪。

 どこを取って見ても最高な女の子。


 これは譲れないよ!


 誰がなんと言おうと!


 僕はリザを諦めない!


 そんなリザにキスニはなんて事を言うんだよ!

 キスニのバカ!


 ……キスニもアネロナの王キスニのお父さんに言われただけなのに、なんであんな、泣くほど僕にこだわるんだろう。


 の結婚相手なんて嫌じゃないのかな。


 大国アネロナの姫で、百人が百人とも美しいって言うキスニ。

 僕みたいな祖国を失った流浪の王子よりもっと良い人いると思うんだけど。



 もちろんキスニがなんと言おうと僕はリザを諦めない。けど、勇者認定を取られるのは辛いなぁ。

 もし勇者認定を取られちゃうと、今の力を百としたら多分……、良くて二十くらいまで落ちちゃう、かな。


 それでも魔族と戦えなくはないけど、魔王クラスだとお手上げだよね。

 ジンやレミのバフも一緒になくなっちゃうし、戦力ガタ落ちだよ。


 まぁ、まだどうなるか分かんないし、認定取られてから考えよ!



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