「準合格?」
手紙を開いたメアリーは、1番初めに目に飛び込んできた言葉を口にした。
そんなメアリーの様子が気になり、黒猫がどこからともなくするりと現れて手紙を覗き込んむ。
「下に詳しく書いてるにゃ、読むにゃ読むにゃ」
「えっとなになに……」
手紙の内容を要約するとこうだった。
メアリーは試験の結果、合格ギリギリの点数を取ったため一般合格の新入生よりも早くに学校に通い、特別講習を受け課題をこなさなければならない。
「こ、これって……」
「ま、まあ、ほぼ合格みたいなものにゃし、気を落とさないようににゃ」
声を震わせるメアリーに、黒猫は珍しく気を使って言葉を選んだ。
黒猫が肩をポンッと優しく叩いてやろうと手を伸ばした、と同時にメアリーがぴょんっと飛び跳ね意気揚々に言葉を連ねた。
「私が学校に一番のりってこと!?やったー!!」
「ポジティブにゃのかバカにゃのか」
気を使ったにも関わらず、空振りに終わってしまった黒猫はいつものように呆れた口調でボヤいた。
「それにしても、いつから登校なのにゃ?」
「えっとね、花下の、二十夜?あ!明日ね!」
「忙しいですな」
「前にもこんなことがあったようにゃ……」
つい八日前のことを思い出して呟く黒猫を、梟が笑い飛ばす。
そんな2匹をメアリーは気にせずに、鼻歌を歌いながら服や杖などをチェックしている。
「今日は早く寝なくっちゃ」
「それなら外の看板を裏返しておかないとにゃ、夜に起こされるにゃよ」
「そうね、忘れてた」
扉を開き、外側に掛けられている『悩み事はおまかせ』の看板を『休憩中』に裏返した。
「おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
「おやすみにゃー」
そしてメアリーは、膨らませた明日への期待を抱きながら眠りについた。