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正しい不思議の遣い方
正しい不思議の遣い方
仮称猫
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年04月28日
公開日
2,866字
連載中
 不思議と呼ばれる超常現象やその力を操る生き物を処理する仕事をしている志東は、1人で仕事をするのにそろそろ限界を感じていて、一人利用出来そうな人物に話をもちかけてみることにした。  その人物は、たくさんの人を殺してしまった少女で、それだけに強さは折り紙つきである。 しかし、利用出来ればよかっただけなのに、ひょんなことから世話を任されて。二人で過ごすことに……。  闇に隠された過去を抱える志東と、血にまみれた過去を持つ少女の、お仕事とその日常のお話。  終わった世界で、終われないものと、終わらないものと。命が紡ぐ。いつか終わりゆく為の、少しづつ、真実に、辿り着くための、その過程。  終わりが決まっている二人は、終わりから目を背けているけれど。 けれど、少しずつ、終わりは追いついてきて。 けれど、少しづつ、真実から目を背けることが出来なくなって。  仕事の中で色々な人と出会って、色々な景色を見て、色々な思いに触れて。  幸せになるのが下手なふたりは、幸せになることはできるのでしょうか。

第1話 『プロローグ』

 この世界には不思議なことがたくさんある。

 空を飛ぶプリンだとか、喋る猫だとか、赤い空だとか。


 まあ、とにかく様々ある。

 一括りに不思議と言っても、楽しい不思議や悲しい不思議、暗い不思議や明るい不思議、苦しい不思議、小さな不思議、大きな不思議。


 そして、何においても危険というものは存在していて。

 危険な不思議というのも、当たり前のごとく存在している。

 そして、それらを処理、無力化するのが僕達の仕事である。

 まぁ、そういう事なのでね、そこら辺の話と世界情勢ら辺の話と。あと僕の夜ご飯の話もしようか。



      〇



 僕たちの仕事は、一般の市民にはあまり知られていない。


 不思議は僕たちの仕事の業界では不思議と表記され。

 場所や現象、物や擬似生物・人間で分けられる。


 不思議の認知度はそこまでは高くはないが、その存在をとして認知している者も少なからず存在している。

 ただしそれはあくまで危険性の高くない不思議に限ってのことだ。


 危険性の高い不思議の存在を知る者は一般人ではほぼ居ないだろう。

 理由は様々だ、政府が隠していたり、目撃者が生存していなかったり、不思議そのものが自身の存在を隠していたりと。要因は様々挙げられるが、とにかく見つけにくいというのは伝わっただろう。


 そして、それをどうやって発見するのかと言うと。

 噂を辿るのだ。

 目撃者が生存している場合も、もちろんあるだろう。その場合には必ず、真実と違えど噂が立つだろう。


 噂を拾い現地へ行き、目撃者などに証言を取り、探さなければならない。

 かつその噂が本当に不思議のものだという確率も低く。非常に効率が悪い。


 だがしかし、これ以外に良い方法がないのだ。

 故に僕達は、毎日結構頑張っているということだ。



      〇



 世界情勢は、そうだな。

 十年前に大きな世界規模の地形変動が起きたのだ。

 そして、その地形変動が起きる前に世界各国の政府が『魔学』という、科学に当てはまらない不規則性の法則を発表した。


 そのおかげで、地形変動の際やその後の死者が大幅に減ったと評価されているらしい。

 個人的にはもっと前から発表すればよかったと思うのだけれど。

 その辺は結果オーライということで目を瞑ろう。そもそも話したところで後の祭りというものか。


 この魔学のおかげで、危険な不思議の処理が幾分か楽になっている。

 今や学校の授業に『魔学』があるのは当たり前だ。

 ちなみに中学生の時の魔学の成績は2だった。

 懐かしい。


 少し話がズレたが、とにかくそんな感じだ。

 あとは、最近僕たちの仕事の中で問題になってることでも話そうか。

 黒灰ホールスという、よく分からない黒いのが暴れているらしい。

 これに見られる特性が非常に面倒くさく、ほかの不思議やらを含めた生き物との濃厚接触により感染し、凶暴化を引き起こすというものだ。

 そして、凶暴化し暴れたあと絶命する。感染源は未だ不明。

 これのせいで先日、お土産にシュークリームを買ってきてくれた同期の社員の鈴木さんが犠牲になった。

 一刻も早くどうにかしなければならない。



 その為に、今日大きな賭けに出ようと思っている。

 僕が処理の担当を任された、をどうにか利用できるのではないかと。そう、考えた。


 今後、戦力が必要不可欠になるだろう、彼女との協定をどうにかして結びたいところだ。

 実際、不思議を用いた危険な不思議への対処の例がいくつかあるのだ。

 僕もそれに習おうと思う。


 おっと、もうこんな時間か。

 夜ご飯の話をするのをすっかり忘れていたよ。

 まあ、話せてよかったよ、急いでカフェに行かなくちゃならない。


 いや、別にお茶しに行く訳じゃあない、今から行くカフェに僕の仕事を手伝ってくれてる人がいるんだけど……。

 ちょっと性格に問題があってね。


 急いで行かなくちゃだ。

 では、また機会があれば、また会おう。


 あぁ、それと。

 僕の名前は志東しどうっていうんだ、覚えて帰ってくれると嬉しいな。


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