「おはようございます」
どこか聞いたことある声に起こされた。
「……」
目を開けると天蓋付きのやたらデカいベッドにむくみまくって2、3倍くらいになった手が見えた。
昨日は早めに寝たし、むくむようなことはないはずだが。
てかこの銀髪碧眼の娘、エロゲーの『ティンクルフィーバー』のヒロインの一人であるメイド娘シルヴィアにそっくりだな。
2.5次元と言っても差しつかえない。
こんな上玉なコスプレ娘に平凡を擬人化したような俺が甲斐甲斐しくしてもらえる状況などあれしかない。
パパ活だ。
全く記憶にないが、このラブホにしかないようなロイヤルな空間と目の前のコスプレ女からしてそれ以外にありえない。
夢遊病発症と共に初パパ活とか昨日の夜の俺フリーダムすぎる。
記憶が全くないのが悔やまれるな。
「いくらくらいかな?」
「はい? 何をおしゃっているのですか、スラン様?」
うん、スラン?
俺のことをスランと言ったかこの娘。
名誉毀損だぞ。
あの豚野郎と一緒にされるのは流石に性格がクズだと自覚のある俺でも嫌だ。
というよりもどこにも似てる要素ないだろ。
視界の隅ある姿鏡に顔を向けて確認するとやけに太った男の顔が見えた。
悪役豚野郎スランの顔だ。
俺の動きと連動して動いている。
あれ、これ、スランになってね俺。