「そっか、潮野先生は
死神だったんですね」
夜の学校の屋上に私と潮野先生はいた。
小さい頃から病気がちだった私は
十八歳まで生きられるかわからないと
医者に言われていた。
そして今日、私の十八歳の誕生日に
彼は“死神”の姿で現れた。
「ごめんな」
何故、先生が謝るのだろう……
死神だから?
「こんなこと言ったら変ですけど
私の魂を狩る死神が先生でよかったです」
月明かりに照らされた先生の顔は泣きそうだった。
「来世では普通に出会いたいです」
人と死神でもなく、私が病弱でもなく
教師と生徒でもない普通の出会い方がいい。
「美千」
先生が私の名前を呼んだ。
「来世で会おう」
大鎌を下ろす前に言った。
「はい」
私は静かに目を閉じた。