俺が突如習得したスキル:
俺がこの世界で人を助けられた事に喜びをかみしめているとおっさんが俺とミミに礼の言葉を言ってきた。
「助かったぞ
「いえ、私では治しきれなかったので。これはユーイチ様のおかげです」
ミミは自分があまり役に立てなかったと思っているようだから、今回の事をしっかりと説明してあげないとな。
「そうでもないさ、まずはあの人、ええっと……」
「俺はダンカンだ、キッコの街で果物屋をやっている」
「その、ダンカンさんの怪我をミミが先に治してくれたから俺はダンカンさんの後遺症を取り除けたんだ」
「それってどういう事ですか?」
ミミの中に疑問があるようだし、俺はしっかりと順を追って説明した。
「ええっと、さっきダンカンさんは怪物に足をやられて相当なダメージを負って、ミミは魔法で治療しただろう、怪我は治ったけど足そのものは想像以上のダメージを受けて動かなくなった。これは後遺症といってひどい怪我や病気になった時にある事なんだ」
「それってつまり私の魔法が失敗したわけではないって事ですか?」
「そういう事、ちなみにミミは今までこれほどのダメージを受けた人の治療はした事はあるか?」
「いいえ、ありません」
ミミやガンケルさんの話から色々合点がいった。もしかしたらこの世界そのものにリハビリという概念は無いかもしれない。
俺が学生時代に習った事だが、リハビリは正確にはリハビリテーションと呼ばれており、中世辺りでは領地や身分を取り戻すという意味合いが語源だ。
そこから近代になっていくにつれ、様々な意味のリハビリテーションが生まれていった。
俺達理学療法士や、リハビリテーションの専門医が関わるのはいわゆる医学的リハビリテーションと呼ばれている。
そんなリハビリという概念が無い、いやもしかしたら発達していないだけかもしれないこの世界で俺があのスキルを得た事には何か意味があるかもしれない。
元の世界に戻る手がかりが見つかるまではこの世界で生きていかなくちゃいけなかったし、何とかこのスキルを活かしていこう。
そんな事を密かに決意している俺にダンカンさんが声をかけてきた。
「
ダンカンさんが俺達にお礼をしたいと言ってきたので、俺とミミはこのままダンカンさんが住む、キッコの街にあるダンカンさん宅に赴くこととなった。