何とか夕方にはダンカンさんが俺達に提供してくれた倉庫の掃除を終えて俺達は一息ついていた。

　そんな時にダンカンさんは俺達に声をかける。

「じゃあ、俺にできるのもここまでだな、あとは2人でいいようにすればいい。何か必要な物があったら言ってくれ」

「はい、ありがとうございました」

　俺の礼の言葉を聞いてダンカンさんはその場をあとにした。

　ダンカンさんがいなくなったのを確認した後、俺達は今日の寝床について話す。

「ミミ、まずは今日の宿だけど、どうする？」

「一応空き家をお貸しいただけるお話を事前にしているんですが、私1人を受け入れる為にご用意して下さったので寝床は1つしかないとお聞きしています」

「そうか……、仕方ない、俺は今日はここで寝る」

「ええ⁉せめて宿をお探しになってはいかがですか？」

　ミミが心配してくれているが俺も自分の今の状況を伝える。

「実はな俺、無一文で昼間に渡した弁当も元の世界から持ってきたんだ」

「そうだったんですか」

「だから今日はこのまま寝る。明日に改装するついでに俺のベッドか何かを組み立てれればいいから」

「そうですか、じゃあせめてご飯だけでも一緒に食べましょう、明日の朝迎えに来ますから」

　ミミの言葉に俺は返事をする。

「そうだな、じゃあまた明日な」

「はい、ではゆっくり休んでください」

　ミミが去っていくのを確認して俺はとりあえず掃除を終えた倉庫に入る。

　改めて見ると殺風景だが座って、もう1度自分のスマホを確認すると驚きの事実を確認した。

　まず異世界に転移する前、正確にはスキル：最適化リハビリを習得する前の俺のスマホは確か電池がもう50パーセントを切っていたはずだったが、今見ると100パーセントであり、しかも充電器をさしていないにも関わらず、充電中のアイコンが表記されている。

　一体どういう事だ？少し使えそうな機能がないか調べてみたが、やっぱり電話、メール、ネット、その他多くのアプリは使用できず、結局何度見てもスキル一覧のページとスキル取得のお知らせのページしか閲覧できない。

　ん？スキル一覧？という事はまさか他にも何かのスキルを獲得する可能性があるのか？

　まあいいや、今考えるのはそういう事じゃなく、明日以降の暮らしをどうしていくかだ、少し床はゴツゴツするが、さすがにもう寝るとするか。

　とりあえずの仕事場と寝床は確保できた。ここから俺にとっての異世界生活の幕開けだ。

　不安もあるが、ミミという協力者、正確には俺がミミの活動を手伝うという形ではあるが、そう考えているうちに俺は睡魔に襲われ眠っていた。