時に、この世の中には誰にも予期せぬ
そう、例えば。
令嬢「ふぎゃん!!?」
この、私の様になるとか。
庭師「ギャアアアアア!!!?近くの花壇で花に水を上げていたら、何時もながらに御転婆おてんば行為をやっていたお嬢様の頭上に植木鉢が直撃したあああ!!?」
とある令嬢の頭上に植木鉢が落ちて来て、そのままバタリと倒れてしまう。
メイドA「キャアアアアア!!!」
上のテラスを掃除していたメイドが家主の娘たる令嬢が一気に地面に倒れると頭から血が流れ出す。メイドの悲鳴が屋敷中に届いたか使用人達は一斉に駆け付けると大絶賛大混乱中。
そのまま血塗れで倒れた私は、脳に電流が流れた瞬間。
頭を強く打った衝撃のせいか、自分が前世の記憶を思い出してしまった。
私の名前はセリスティア・K・クラリスロード。年齢はまだ7歳になったばかり。
鍛冶師の家系貴族であるクラリスロード家唯一の1人娘として生を受け。両親から蝶よ花よと育てられてしまった結果、周りに迷惑ばかり起こす傍若無人な性格を持った我儘お嬢様として育った筈が……。
いや、それよりもどうして私が貴族令嬢になってるのさ?
そうよ、問題は其処だ。そもそも私は四六時中、乙女ゲームをドハマりしまくっていたゲームヲタ女子の筈…。
ああ、駄目だこりゃ、この状況に頭が全く追い付かないや。
この時の私は転生しまったばかりでまだ知らなかった。
父の声『身体を動かすな!脳震盪は疎か脳内出血の恐れもある!』
母の声『セリス!セリスティア!確り!』
微かだけど、お父様とお母様の声が聞こえる。けど、やっぱ無理と心の中で認めると自分の意識をシャットダウンしてしまった。
こんな事、今までプレイして来た乙女ゲームにだって無かったわ。いや、寧ろトーストを口に咥えての出会いパターンよりはまだマシかもしれない。
???1の声『全く。お前は昔っから変わらないね、でも、そんなお前の事を惚れてしまったのも無理も無いよね。』
男勝りだけれど、私の事を本当の妹の様に接してくれた幼馴染の彼女の声が聞こえる。
???2『そんなアタシもセリスっちの事が好きになっちゃったのかも。ま、その時はさ!アタシがいっぱい働いてお金稼いでセリスっちの事を楽にしてあげるよ!!』
海色の髪と小麦の肌をし、お金に難癖付けるけれど本当は性格明るく友達思いの彼女の声が聞こえる。
???3『君の剣を振る姿を見て、学生時代に忘れてしまった筈の恋心を思い出してしまったよ。この責任、必ず取らせて頂くとするよ、この私がね。』
炎の様に勇敢なる強い心を持った。乙女達の憧れの的である王国騎士団長様の娘である彼女の声が聞こえる。
???4『私、姉様の事、好き、物語に出て来る王子様の様な、立ち振舞や仕草も綺麗に、凛々しくて、好き。』
大人しく、弱気だけれど、お気に入りの物語の中のお姫様の様な恋に憧れながら、私の事を恋する歳下の幼馴染の優しい声が聞こえる。
4人『私、貴女の事が好き。大好きです!』
そして、彼女達が4人揃うと笑顔で私に愛の告白をする。
だから改めて自己紹介をしよう。
私の名前はセリスティア・K・クラリスロード。
この乙女ゲーム『
もう一度答えよう。私は。『悪役令嬢』だ。
そして、この時の幼かった私はまだ知らなかった。
後に私は、これから起こり続ける