私とエリシアと出会ってから早くも1月程経った頃。屋敷の書物室の扉が一気に開き、室内からエレイナお姉ちゃんとその弟のノービスが入って来た。
エレイナ「遊びに来たわよセリスティア!勉強のストレス発散がてら今日1日、私に付き合いなさい!!」
ノービス「あ、姉上…。また他所様の屋敷の扉を強く開けるのは流石に駄目ですよ。」
エレイナ「うっさいわね!そんな細かい事は別に良いでしょうが!!それよりもセリスティアは何処に居るのかしら?さっきから見当たらないけれど…。」
エリシア「…………お姉様なら、此処には居りませんよ。エレイナ様。」
すると本棚の影からひょこっと1人の人物がエレイナとノービスの前に姿を現す、出て来たのは読書中のエリシアだった。
エレイナ「エリシアじゃない。お前も此処に居るって事は貴女もセリスティアに用事?」
エリシア「お姉様に愛用している本の読み聞かせをして、下さりたかったのですが、何でも、自分磨きの為にお付きのレイラさんと御一緒にピクニックに向かわれた様です。」
エレイナ「はぁ!?レイラとピクニックですって!!?」
犬猿の仲であるレイラと共にピクニックに出掛けた事を知ったお姉ちゃんは床に両膝を付いてからショックを受ける。
エレイナ「嘘でしょ…。折角遊べれると思ったのに。と言うか、今気づいたのだけれどエリシアお前、良く人様の屋敷の本を平然と読んでるわよね?逆に怒られないの?」
エリシア「あ、因みに此処の書物を読み下さる許可は既にルーファスおじ様から貰っています。」
エレイナ「………意外とお前って用意周到なのね。」
エリシア「少しでも、セリスお姉様を支えるに、頑張りたいので。」
そう言いながらエリシアは今読んでる本を読み終えると、隣に置かれた薬学に関する本を読み始める。
エレイナ「負けられないわね、ノービス!私達もエリシアに負けない様に1冊でも多く沢山と本を読みまくるわよ!!」
ノービス「えええっ!?ぼ、僕もですか!!?」
エレイナ「つべこべ言わない!!少しでも知恵を付けて、セリスティアやエリシアに負けない様にしなさい!!」
ノービス「は、はいいいっ!!?」
姉に逆らえないノービスはトホホと大人しくエレイナと共に本を読み始めるのであった。
ノービス{はぁ、何でこんな眼に合わなくちゃならないんだ僕は……。}
エリシア{少しずつ、少しずつでも良い、1日でも早く、お姉様の役に!そしたら、お姉様に頭撫で撫で二へへェ……。}
エレイナ{私だって負けられない!セリスティアのお姉ちゃんとして、妹を守る為に頑張らなくっちゃ!!}
其々の面々はセリスティアを助ける為に日々自分自身を磨き極めるのであった。
同時刻。
アオーン、と、何処からか獣達の雄叫びが茂みの奥深くへと響いて来る。
此処は領地から少し離れた森林の中、革の鎧を身に付けた私は1人、左手に鞘で納められた剣を握り持ちながら、複数の足音が私に狙おうと茂みの中から飛び出し姿を現す。魔物だ。数は3匹。
現れたのは狼を模した魔物ガルフ。単体相手ならば対した事は無い、しかし、ガルフは常に群と共に集団で連携しながら獲物を狩る習性を持つ。
セリスティア「
私の『鑑定』の技術は3年間磨き切った事により現在の数字は『8』まで上がった。最近では上級者向けの本すらスラスラと読める様になったからね。
セリスティア「3匹共、レベルは5。相手に取って不足は無いわね。」
鋼の剣つるぎを鞘から抜き、剣先をガルフ達に向けた瞬間、ガルフ達は一斉に私を逃がさ無い為に三角形の包囲陣を作り私を挟み撃ちにする。
ジリッ、と私は左足を1歩だけ退かせた瞬間、前方のガルフが私と言う獲物に向かって飛び掛かろうと左手を振るいながら仕掛けて来る!ガルフの手足に生えた爪は肉をも切り裂く程の切れ味を持つと生物学の本に記されている。
セリスティア「受け流し!!」
私は振るい掛かったガルフの左爪での攻撃を剣で素早く横へと受け流し攻撃の軌道を変える。
セリスティア「からの〜っ!回転斬り!!」
同時に私は身を右回転させてからカウンターの居合斬りを流されたガルフの胴体目掛けて素早く斬り込む!!斬り込んだガルフの上下半身は2つに別れそのまま絶命する。
私の背後に居る2匹のガルフは突然、私に仲間を殺された事に予想しなかったのか数歩引くも、私はこのまま逃げ始める!私が逃げた事に我を取り戻したのか2匹のガルフはそのまま私を殺しに掛かろうと追撃する!!
セリスティア「狼さん達、ただ単に逃げると思ったら大間違いよ!」
そう、これも作戦の内の1つ、私が走っている数百m先には太い
けど、これも作戦の内の1つ、私は大木を一気に蹴って身を反転させて高くジャンプすると同時にこんな事予期しなかった2匹のガルフは避ける事も出来ずにそのまま飛び掛かったまま、大木へと頭から衝突する。
この好機を私は逃さなかった私は急降下しながら一気に混乱状態のガルフの首元目掛けて一気に剣で突き刺す。
セリスティア「2匹目っ!後は…っ!!」
混乱状態から我を取り戻した残り1匹のガルフは不意討ちがてら爪で私に斬り掛かるも。『回避動作』と『反応速度』の
セリスティア「もう、
自分の体内に秘めた魔力を鋼の剣の刃に集め、魔の炎を生み出し纏う!
セリスティア「私自己流技術、
更に私は
斬られると同時にガルフの全身は私の魔力の炎によって燃えながら、そのまま地に伏せ息絶えると私は片膝を地に崩してしまう。
セリスティア「ふぅ………。」
この『魔法剣』は名前の通り、剣身に使用者の属性魔力を纏わせ一時的に
高威力でありながらMP消費量が『10』と言う通常の魔法よりも強力な為に多い、もう1つ、私の最大MPは38だから1日で3発しか使えないと言う2つのデメリットがあるからだ。これは慎重に使った方が良いわね。
セリスティア「さて、魔法剣の疲れが取れたし、早速だけど解体して素材を取らないとね。」
この『CRYSTAL SYMPHONIA』は乙女ゲームは只の恋愛ゲームだけでなくダンジョンRPGゲームの役割を持つ。
魔法学園在学期間中、主人公アリサと攻略対象の4人と共にダンジョンを攻略しながらレベルを上げるだけでなく、各攻略対象の親愛度ゲージを上げなければならない、ゲージが一定の地点かそれ以上へと到達すると攻略対象のイベントが発生する事となっている。
ダンジョン内に住みつくモンスターを倒すとドロップアイテムが手に入る。また。ダンジョン内を捜索すると宝箱も見つける事、一応言っておくけれど、中身は何が入ってるかはランダムで決められている。
しかし、これはゲームでも何でもない異世界=現実。つまりだ。自分が倒したモンスターの素材は自分で解体して採らないと行けないからだ。
セリスティア「しっかし、自分の手でバラして素材を取るのって面倒なのよねぇ……。どうしょっか。」
レイラ「お嬢様。」
突然と私の事を呼び掛けられ後ろを振り向くと、茂みの奥から焚き火用の枝の束を両腕で抱え持ったレイラが姿を現し、私の元へと駆け付ける。何時ものメイド服の上に私と同じ革の鎧を装備している。
セリスティア「あらレイラ、その腕に抱え持ってるのは焚き火用の枝かしら?御苦労様。」
レイラ「ついでに言いますと、枝集めの最中に食用のキノコや野草とかも発見し採取致しました。処でお嬢様、お召し物がまた魔物の血で汚れていますが。」
セリスティア「あら本当、さっきのガルフを斬った時にやっちゃったかしら?まあ仕方無いわよ、何たって訓練の一環だし。でも丁度良かったわレイラ、私が倒した魔物の解体をお願い出来ないかしら?こう言うのってまだ慣れてなくてさ。」
レイラ「畏まりました。ではその代わりに私が抱え持っているこの枝の山をキャンプ地点までお願い致します。」
そう言うとレイラは枝の山を私に受け渡すと、レイラは何処からかナイフを取り出し、直ぐ様に私が倒したガルフの解体を始めた。
さて、私もキャンプ地点に戻るとして、え?どうして私達が森の中でキャンプをしているのかって?
そうね、事の始まりは数日前、私は自分磨きに何か物足りない事を感じた。物足りない物、それは実践経験だ。何時もならエレイナお姉ちゃんと外で戦いごっこをするも勝敗問わずに経験値は会得するも私のレベルが段々と上がる毎に獲得量が減少してしまう始末。
なら、どうするかと考えた私はお父様に実践経験を積む為の野外訓練の許可を申し出た。
ルーファス「近くの森で野外訓練をだと!?もう直ぐ10歳になるお前がか?」
セリスティア「はい、どうしても魔物との実践経験が必要でして。」
お父様は椅子から立ち上がり、執務室の窓の外の景色を見つめ悩み考える。
ルーファス{まさかセリスティアがこの様な頼みを聞いてくるとはな…。だが、まだ9歳の娘を街の外、とくに魔物達の住処である森の中へ行かせる訳には……っ!}
その時、ルーファスは驚愕した。セリスティアの覚悟を込めた眼差しを見て、娘は何か理由があって強くならないと行けない事情がある事に気付いた。
ルーファス「………念の為に確認しておくかま、どうしてもその野外訓練に行くと言うのだね?訓練の途中に魔物に襲われて死ぬ事になる、それでも行く積りかね?」
セリスティア「命を賭して、強くなる為に行かなければなりませんので。」
ルーファス「………分かった。但しセリス1人だけを行かせる訳にはいかない、念の為に補佐としてレイラを同行させる。それが野外訓練を行う条件だ。良いかね?」
セリスティア「はい。分かりました。」
確して、レイラの同行を条件に何とかお父様に野外訓練の許可を貰えた次の日もとい当日の朝、屋敷の前にて旅立つ私達2人は両親と使用人達に見送られる最中。お母様は悲しげな顔をしながら私の事を心配する。
リリアナ「ああ、セリス、今からでも遅くは無いわ、もしも怪我とかしたら、直ぐに訓練何か止めて家で過ごしても良いのよ…。」
セリスティア「大丈夫ですよお母様、こう見えて私は結構強いんですから、魔物相手に不足は有りませんから。」
リリアナ「ああっセリスティア!貴方っ…。」
お母様は泣きながらお父様に抱き付く。
シーナ「お嬢様の事を宜しく頼むわよ、レイラ。」
レイラ「はい、必ずや御守り致します。」
ルーファス「そうだ。セリスに渡しておきたい物がある。」
お父様は左手に握り持った鞘で納められた剣を私に受け渡す、これって確か家の工房で作られた…。
ルーファス「我が家の鍛冶工房で作り上げた『鋼の
セリスティア「有難う御座いますお父様、大切に使わせて頂きますわ。」
お父様から鋼の剣を受け取り自分の左腰に剣を納める。取り敢えず防具装着良し!武器収納良し!フル装備完了!これで何時でも魔物と戦えるわと、心の中でガッツポーズをした。
レイラ「お嬢様、そろそろ…。」
セリスティア「そうね、それじゃあお父様、お母様、皆、行って参ります。」
こうして私達2人はお父様達に見送られながら、領地から少し離れた近くの森にへと7日間の野外訓練と言う名の破滅√回避の為の修行の旅へと向かったのであった。
ルーファス「………行ってしまわれたな。」
リリアナ「貴方、やはり私はまだ心配です。愛しいセリスの身に何か合われでもしたら…。」
ルーファス「何、もしもの時にレイラを同行させたんだ。それに、今のセリスの
今の娘の去る後ろ姿から強さを感じたのか、父・ルーファスは大丈夫だと愛する妻を元気付けながら屋敷へと戻ったのだった。
そして時間は戻り現在、野外訓練と言う名のサバイバル生活を始めてから早くも3日目の夜、私とレイラの2人は森の中で野宿をしながら夕食を食べていた。
レイラ「お嬢様、此方のガルフ肉の串焼きの焼き加減が良好ですので冷めない内にどうぞ。」
セリスティア「有難うレイラ、御免なさいね貴女に料理を任せてしまって。」
レイラ「その為のお付きのメイドですから。……それはそうとお嬢様、良くこの様な行為を旦那様から許可を頂けましたね。」
セリスティア「人間時には経験を積まなきゃならないからね、この本の様に!」
そう言いながら私は『初心者でも出来る、初めての野営学・初級編』と表紙に記された本をレイラに見せると、レイラは啞然とした表情をしながらこの本が何処にあったのか私に問い出す。
レイラ「………何処の本棚にあったのてすか?その本は。」
セリスティア「ど、何処だったかしらね?はむっ。」
適当に誤魔化すと私はガルフ肉の串焼きを一口食べる。うんっ!生だと臭いけれど焼きたては本当に美味しいわ!味付けは塩味だけれど。
セリスティア「レイラも食べなさいよ!美味しいわよこのお肉!」
レイラ「い、いえ、私はお嬢様の後から食べますので。私の事はお気になさらず……。」
セリスティア「駄目よ!私の後で食べる何て流石に気が引けるわ。それによ、流石の貴女の主である私も使用人相手に冷めた食事を出させる訳には行かないわ、だからレイラ、私と一緒に食事をしなさい!これは当主の娘としての命令よ!!」
レイラ「お嬢様。………畏まりました。」
レイラは私の命令通りに焼きたての串焼きを1本手に取り、笑顔で食そうとする。
レイラ「では、頂きます…。」
串焼きを食べようと口にする。しかしその時だった。
………ガサッ。と、近くの深い茂みの中から何者かの足音が響く、その音に気付いた私達2人は食事を手に止め、料理を皿に置いて直ぐに地面に置かれた其々の武器を手に取り警戒する。
セリスティア「今のは足音!?あっちの茂みの方から聴こえたわよ!」
レイラ「もしや魔物の夜襲では!?お嬢様、念の為に私の後ろにお下がりを、最悪の場合、私を切り捨てて逃げて下さいませ!」
レイラは構えながら私を戦わせずに下がる様にお願いする。
セリスティア「何を言ってるの!?貴女を置いて逃げる何て冗談じゃないわ!」
ガサッガサッ!ガッ……ガッ……!
セリスティア「………。」
レイラ「………。」
足音のあった方角の茂みに向け、私達は武器を構えながら警戒しながら、茂みの中から足音の主が姿を現す!
騎士「………。」
2人『………へ?』
しかし、私達の前に出て来たのは魔物ではなくまさかの人間、しかも、背中に大型盾を背負いながら、剣を杖代わりにし甲冑で身に纏った騎士様だった。