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【行方不明者リスト】
200×/7/10(火)より行方不明
男性 当時18歳 B-2ブロック高校3年生 出席番号 20番 魔力属性 炎
得意分野 魔術
大殺戮事件発生から行方不明。
恐らく関連があるが、本人の魔力、戦闘経験からするに不可能と断定。
両親は大殺戮事件当時に何者かに襲撃されている。父は現在、うつ病の妻の付き添い。事件当時、「七瀬」と息子が叫び家を飛び出すのを最後に記憶がない。なお、七瀬 実と祖父で校長は当時の事件にて死亡していることを確認済み。
200〇/10/2(水)より行方不明
女性 当時16歳 C-3ブロック高校1年生 出席番号1番 魔力属性 水
得意分野 魔法
当時、満干大病院にて難病の治療中に行方不明。関係者曰く、筋肉が弱る病気だった。なので、自力での移動は困難。何者かに誘拐されたとみて監視カメラの映像を確認するが、異常なし。しかし、入院患者から事件後時々中庭で見ると報告有り。美船 葵のライブを境にその目撃情報は消える。
ミルザム=ガゼルフォード
2020/7/21(水)より行方不明
男性 当時60歳 Aブロックで動物病院を営んでいた 魔力属性 風
得意分野 魔法
当時、部屋が荒らされて何者かが窓から出入りした痕跡有り。親戚が挨拶に来た時に事件が発覚。部屋には、過去に研究してた資料が一部とカルテが紛失。恐らく何者かが資料を盗みに窓から部屋に入った時に鉢合わせそのまま連れ去られたと思われる。現場の床や机には本人の血がついており争った形跡も見受けられた。
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パソコンを閉じた星々はうなった後にもう一度、今の情報を確認する。
「共通点とかあるのか……?学生、闘病人、老人……男性2名女性1名……炎、水、風……何も共通点はない…皆バラバラだな……ん~」
うなる星々の横に紅茶を入れた夢希が座り、星々の分と自身の分の紅茶を置く。
「お兄様、少し休憩をされては?」
「そうするよ……ん~それにしても、君らは一体、今どこにいるんだぁ?」
星々は紅茶を一口飲むと肩を伸ばしながら、机から離れた。
満干内───取り壊し予定 廃工場───
ボロボロの衣服を身にまとった青年は銀色の使徒の三人から少し距離を置いて歩いている。
四人は人気のない廃工場まで来るとエファとサソリは青年の体を触る。青年が何か特別な機械を持っていないことを確認すると話を始める。
「こいつ、人間だよな?」
「何か何とも言えない魔力量ですね……」
青年へ視線を向ける二人。ギンロは青年へ直接質問をするが、青年は無口で何にも答えずに止まったままだ。
「本当に晴山優吾を…あの石を奪うことが可能なのですか?この人。」
「試してみないと分からないねぇ……」
「俺らが薬を渡した人間たちはもういないしな…とにかく、晴山優吾をおびき寄せる必要があるな……」
それじゃ、と言ってギンロは青年へ何かをつぶやくと青年はここで初めて首を縦振った。
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少年は一枚の紙を睨みながらうなる。そして、立ち上がりそのまま左へ右へ修繕工事の終わったばかりのリビングを歩き回る。その様子を瞳に映す一匹のカラスに似た魔獣は少年が移動した後を追うように首を動かす。少年は止まったかと思えば、また動き出し、うなり、歩き、そのくりかえしをする。少年はカラスの魔獣に近寄りその体を潰さない程度に掴み揺らす。
「なぁ!どうしたらいいと思う?!」
「
晴山優吾はペットのクロスケを放し項垂れる。その時、優吾はいきなり勢いよく顔を上げると、いきなり紙を持って何かを書き始める。それを終えると、紙を封筒へ戻しポケットに入れる。それと同時に、次は先ほどよりも慌てた様子で家を出る支度を始める。クロスケへ目を向けると「ちょっと行ってくる。ご飯は帰ってきてからな!」と言って家を飛び出していった。その後ろ姿を見届けたクロスケは窓の方へ近づき空を見上げた。
「
一言鳴いたクロスケは、ぴょんぴょんと移動してエアコンを操作してテレビを点けて棚にしまっているドライフルーツのおやつを丁寧に取り出すとソファの上に置いて、その横に座りドライフルーツを一口ついばんだ。
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『第一班 出動要請。Sブロックにて魔族が町の破壊活動をしている。死傷者の報告は今のところ上がっていない。迅速に対処求む。なお、魔族は元協力者の
はだいぶ衰弱しきった様子。』
第一班は珍しく固まり顔を見合わせる。
「聞き違いじゃありませんよね?」
「うん……ボクも聞き間違いだと思う……」
夢希と凪の双子は聞き違いだと思い、そのまま動こうとする。
「いや、聞き違いじゃない……」
「はっきり聞こえたよ僕も……」
班長と副班長はしっかりと聞いて現実を受け入れる。夢希は奥歯を食いしばる。
「あの人は、あの時に死んだはずじゃ……」
凪は、そんな夢希の様子を見て瞬きが増える。
「第一班ははっきりと見たでしょ?班長も副班長も」
彩虹寺は入り口付近で止まり、渋っている双子へ視線を向ける。
「本部が言っている。たとえ、死んでいても私たちは彼を助ける義務がある。」
星々は双子を説得するために双子へ近づく。
「いいかい?彼がどんな姿でも僕らには彼を助ける義務…いや、責任がある。仲間として……ね?」
双子は星々の顔を見ると渋々首を縦に振る。そして第一班は部屋を後にして、現場へ向かった。
Sブロックは、ビルが立ち並び人々が途切れることを知らない町の中心。そんなビルの立ち並ぶ大きな交差点にて、魔族が三人、人間が一人歩いており、魔族の三人は適当なところに攻撃をして、ゆっくりと人間が逃げ惑うのを観察する。そこへ、逃げる人間と逆方向につまり、こちらへ向かってくる人影が四つ。魔法術対策機関 第一班の面々だった。班長 星々琉聖は人々へ声をかけながら、魔族と対峙する。星々は三人の中にいる人間と目が合うと唾を飲み込む。
「玲央君……本物だ……」
魔族たちはその発言に、ボロボロの玲央と呼ばれた青年に視線を向ける。
「なんだ~この子君らの仲間だったんだねぇ……」
「面白いこともあるもんだな。」
「まぁ…今、彼は我々の駒ですけどねぇ……」
サソリのニヤニヤに彩虹寺は手を構えて魔法を撃つ準備をする。
「どういうことだ!!」
魔族たちは互いに顔を見合わせたまま何も言わず、町へ攻撃を繰り返す。その攻撃を夢希と凪の双子は防ぐ。
「やめてください……」
「目的はなに?」
ギンロはため息をつき攻撃を止める。
「目的は、晴山優吾だ。彼をここへ連れてこい。それだけだ……」
星々はその要求にため息をつく。
「僕らが連れて来なくても、彼ならもうすぐ来るはずさ……ここまでの被害、彼には何かしらのことが起こっているはずだからね……」
星々がそういうと、一班の後ろから一人こちらへ走ってくる影があった。
晴山優吾だった。
「来たみたいだ。」
優吾は、一班のところへ来ると星々へ近づく。
「琉聖さん。俺、決めました。」
懐から紙を一枚だし、星々へ渡す。そして、一班の前に出て、胸の石を握る。
「決めましたよ…覚悟……!この町の平和を守る覚悟…………魔装!!」
鉄の塊があたりに現れる。優吾はその中を歩き始め、鉄の塊は優吾へと突き刺さり始め、鎧を形成していく。優吾はやがて早歩きになり、そして、走り始める。鉄の塊も鎧を形成しながら、優吾へ突き刺さる。そして、魔族三人へ拳を構える。
「
白き狼の戦士がその姿をあらわした。三人はその姿に驚きそして、歓喜する。
「これが、伝説の戦士の力……」
優吾は真ん中のギンロへ拳を振ろうと足を踏み込む。そのまま真っすぐ拳を伸ばしギンロの顔面へ拳は当たったかと思われたが、その拳は何者かに掴まれる。その手を目で追うと、先にはボロボロの身なりの玲央と呼ばれた青年だった。青年は無表情のまま、手に力を込めて魔装した優吾の拳を動かし、そのまま片手で投げ飛ばす。そして玲央は三人の魔族の前に立ち盾となる。一班の面々はその目を見開き驚愕する。
「何をしているんだ……玲央君……」
玲央は一班の全員と目を合わせて最後に優吾と目を合わせる。そして、ボロボロの布をひるがえすと優吾と似たような石が胸にかかっていた。紫色の石、日の光に照らされるが、紫は日の光を一切貫通させずに周りが鈍く光るだけだった。優吾もそうだが、一班の面々もその石にさらに驚愕する。
「対象補足……これより、マスターの任務を遂行する……魔装……」
玲央の周りに黒い鉄の塊が現れて次々に玲央を突き刺し、優吾の様に鎧が形成されていく。黒い霧がかかり、瞳は赤く光る。霧を払うと、その姿をあらわした。
例えるならば、獅子。
全身真っ黒の鎧。瞳は真っ赤に光、黒い鬣をたなびかせる。
「
「魔装戦士……なのか……?」
対峙した白き狼と黒き獅子。その間には緊張が流れる。
報告書 2018/12/1(金)
対象連続殺人魔族を追い詰めた任務にて、初の協力者
事件当時、班員の夢希を庇い魔族の起こした爆発に巻き込まれ死亡と断定。
なお、死体がないため行方不明届を出そうとしたが、事件当時の爆発規模Rブロックの稼働中の工場が半壊したため人間は生きられないと断定し、死亡報告とした。現場検証等も行ったが、人間があの規模の爆発を受けて生き残る可能性は0.1%と演算も出たのでここに改めて
29:了