私は東○を卒業したエリート、勉学だけでは無く私自身も磨き上げ、美人だと自負している。
誰もが羨む大手総合商社に入社、社長や重役等のサポートを行う秘書課に入る。
給料も高くステータスも高い。
最初は本社の受付や各種イベントの秘書としてサポートを行う顔となる。
そして、重役の専属秘書となり。
国際的な会議の通訳も務める。
数年後、社長専属の秘書に抜擢され、世界中を社長と回る。
実力を認められ、頼られ、信頼された。
多くのいい男が私に話しかけ、誘われ、お話をした。
浅い付き合いは普通にしたが、私は仕事に生きがいを感じ、仕事に生きた。
私の黄金時代であった。
……
…………
十数年後には、秘書課のトップになり、数十人の秘書の采配を行う。
責任ある仕事を采配し信頼される上司となる。
しかし、40代になると外見上の年齢が隠せなくなる。
もう男は誰も声を掛けない。
影でお局様と囁かれ始めた。
そして、度々配置転換の噂が流れてくる。
仕事に何の問題も起こしていない、全て順調だ。
なのに噂は消えない。
ある日、人事部長に呼ばれ配置転換を言い渡される。
地方にある工場の工場長秘書。
ここは総合商社だ、確かに工場もそれなりに持っている。
だが、ここは総合商社だ。
私は何を間違えた?
いったい何を間違えた?
理解できない!
仕事一筋が駄目だったのか?
いい男の求婚を受ければ良かったのか?
愛嬌のある仕草が必要だったのか?
男性の様に厳しさを仕事に求めた事が駄目なのか?
でも、甘い顔で上司は出来ない!
仕事は回らない!
理解できない、理解できない、理解できない。
後悔してももう遅い、40代の元エリート・オフィースレディに声をかける人は居ない。
私は一人だ、一人になってしまった。
あの頃の栄光はもう何処にも無い。
何が違っていたのか?
最悪の気分を忘れるため、行き付けの銀座高級BARに一人で行く。
高級酒をこれでもかと飲みまくる。
フラフラになりながら店を出て深夜のビルの谷間を歩く。
気持ち悪くなり、ビルの隙間に入り、嘔吐する。
寒い冬の日だった。酔で寒さを感じなかった。
酩酊が酷くそのまま立ち上がれず横になる。
……
…………
………………
私は立っていた、酔も無く、頭もはっきりしている。
白黒のチェックの床が見える。
顔を上げれば人が等間隔に並んでいた、とても多い。
空は青空。
「ここは何処ですか?」
返事は無い。
しばらくすると管理者という者の声が聞こえる。
死んだ記憶がある?
私に死んだ記憶は無い。
管理者が色々言ってるが、私は死んでない。
空にタイマーが出て、カウントダウンする。
カウントが0になると意識が闇に沈む。
気が付くと森の中に居た。
これは夢だ、光る玉と会話している。
まあいい、このまま玉の話に合わせよう、目が覚めるまで…………