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4章 暗躍

第42話 今更だが覚悟を決めてくれ!


 トウカの洋館に行き寝室に入りベッドに座る。

 今更聞くの? と言う遅すぎる質問をラビに聞く。

 我ながら、まったく気にしていなかった。

 遊びたい本能が優先して泣ける。


(ラビ、今いい?)

『はい』


(探索や鑑定等で私達が人間で無いと分かる方法ある?)

『鑑定という魔法があります』


(やっぱり有るのか…… 

 今まで外を無警戒に歩いていたのは危険だったよ。

 泣けた。

 その仕様教えて)


 無知で馬鹿な私だけど今から挽回だ!


『はい、

 鑑定はLv1−10(MAX)で接触して鑑定。

 Lv1で30秒の連続接触が必要でHPのみ見えます。

 Lvが上がると1Lvに付き3秒減り情報が増えます。

 Lv10で3秒の連続接触が必要でほぼ全ての情報が見えます。

 小、中、大、極は有りません、その分のLv上げはとても大変です』


(意外と微妙な感じですね、それも使い方次第か。

 これなら外を自由に歩いて見つからないのも分かる。

…………

 ラビ、鑑定を誤魔化す方法無い?)


『あります、偽装と言うスキルです。

 偽装LvMAXで鑑定LvMAXを誤魔化せます。

 ただしマスターか元マスターしか使えません。


 モンスターも使えるステータス密閉と言うスキルもありますが、高Lv鑑定で見えますし、低Lv鑑定でも隠してるのがバレるので意味が薄いかもしれません』


 有るのか!

 まるでネット小説の設定だ。

 しかし、マスターと元マスターだけ? 何となく作為を感じる……



(ラビ、私に偽装LvMAXと鑑定LvMAXを追加。

 そして情報ありがとう)

『追加しました、そしてはい』


 私はLv1保持者の人間に偽装した。

 ただし、年齢だけは12歳にする。

 120身長のぎりぎりのぎりぎりな範囲にした。

 この身長なら8歳ぐらいの平均です。(泣)

 さすがに17歳にしたら怪しすぎて目立つよ。




 次に、これからの暗躍や工作に人間の協力者が必要。

 ラビに聞いてみる。


(ラビ、魔法か何かで人間を眷属か協力者に出来る?)


『可能です。

 人間眷属スキルが人間を眷属にできます。

 Lv1で20人、Lv9で90人、MAXで100人まです。


 これもさせたい人に人間眷属魔法を使い、本人が了承しなければ眷属になりません。

 同意する人は少ないでしょう。


 これもマスターか元マスターのみ使える魔法です』


(有ったのか! 制限付だが。

 人間の眷属がこちらの情報を漏らすのを防止できる?)


『基本主人の命令は絶対ですが、安全のために情報を流出防止の呪い魔法を掛けるのが良いでしょう。

 呪いの条件に違反すると体が動かなくなり、強引に何かをしようとすると即死します』


(よし、それで行こう。

 人間眷属と呪いをLvMAXで取得)

『了解』


 しかし、一人最大100人は微妙に少ない。

 5人で500人までか…… 上手くやるしかない。




ーーーー




 その後4人に人間の眷属化と呪いの仕様を話す。


 そして、鑑定と偽装の仕様を話して、全員に鑑定と偽装、人間眷属、呪いをLvMAXで取得。


 特に、私達1人毎に人間眷属が最大100人までなので、使う時はアサカとトウカに相談すこと。


 特に、アサカが多く必要なので、みな協力する様に決める。



 また、偽装は人化の外見に合ったLv保持者の人間に偽装した。


 私の偽装年齢を聞いたザンガに思いっきり笑われたが、瞬時に飛行金属球になりボディブローした。


 ザンガが床で呻いている。


 乙女の気にしている事を突いてはいけない。




ーーーーーー




 【インビジブル】状態の飛行球で深夜の東京を飛ぶ。


 都内の新しいく大きいマンションを探して飛んでいた。

 手頃なマンションを見つけては床下に入り、誰も入れない場所を探す。


 十数件探した結果、小さな空気穴以外は上下も前後左右も厚いコンクリートの約4畳半の空間を見つける。


 床のコンクリートに人一人が潜れそうな小さな穴を下に5メートルほど闇魔法で切り取る(収納)。

 穴の下にダンジョンを生成する。



 翌朝、トウカ、タケル、アサカ、ザンガを新しく作った東京ダンジョンのコアルームに呼ぶ。


 ハイエルフを召喚しニイトイチと命名し、サブマスターに登録後アサカの眷属にする。


「タケル、ここも監視ダンジョンと同様をおね。

 管理領域は半径100キロ」

「おk」


「このダンジョンの目的を話す。


 この場所はほぼ東京都の中心近くに有り、ダンジョン管理領域は100キロ。


 ほぼ東京都を管理視点で調査可能、人員さえ有れば日本の重要な会議や会話の多くを透視、盗聴できる。


 そして、結界がない限り何処でも転移で侵入が可能だ。

 もちろん転移で逃げる事もできる。


 この利点を利用して、日本の内部調査や日本を裏から操る事もできる。

 これが目的だ、この場所を大阪や大都市に作る」


 続ける。


「私達はダンジョンマスターだ、そして人間の間引きが使命だ。

 管理者が人類を10分の1にする決定は私達に変えられない。

 抵抗しても消されて代替わりするだけ。

 代替わりで無差別な間引は私の目的に合わない。

 したがって間引きの対象を決めている。


 1、犯罪者

 2、日本に不利益を行う者

 3、老人

 4、日本人以外の人間


 この決断は私の罪であり地獄に落ちるだろう。

 今から1と2を行う、今更だが覚悟を決めてくれ!」


「畏まりました、お嬢様」

「わかってる」

「身にしみて理解しています」

「おぅ、任せろ」


「よし、まずアサカに高Lvの魅了を追加する。


 前に北海道の全ての刑務所を襲った。

 その後、東北、関東と南下した。

 しかし、関東以後の刑務所に囚人が少なく、九州では刑務所に人が居なかった。

 全日本制覇後、全国の刑務所を巡ったが囚人がほぼ居なかった。


 日本は受刑者を他の場所に移動して保護している。


 その情報と場所をアサカに調べてもらう。


 方法は簡単だ。

 まず、警察のトップをアサカが特定し、ニイトイチに管理視点で追跡してもらう。

 一人で寝る時を見つけ、アサカがここから警察のトップが寝ている寝室に転移。

 その場で魅了を行い、続いて眷属化を行う。

 これで警察のトップが私達の味方だ。


 その後、刑務所や囚人の情報を貰う。

 これで受刑者の動向が全て分かる。

 アサカにしかできない事だ。

 頼む」


「了解しました、出来る秘書アサカにお任せください」


「アサカの情報を元に、私とザンガが受刑者を襲う。

 ザンガは私の護衛もだ、いいか?」

「もち!」



「よし、これで目標1を行う!

 これを機会にアサカの強化を行う。

 種族をエンシェントエルフにする。

 トウカも同じくエンシェントドワーフに。

 タケルも悪魔王にする。

 各耐性を最大値に、あとは好きな物を強化しろ」


「有難う御座います」

「了解しました、お嬢様」

「おおーー、大悪魔に近づく!」


「タケルは勇者だからな! 忘れるなよ!」

「はい…………」


「今後、他のモンスターや他のダンジョンマスター、場合によってはダンジョン対策部隊と戦う可能性もある。各自戦闘の強化と訓練をしろ。

 最低でも逃げて生き延びる力を持て」


「はい」

「了解しました、お嬢様」

「おk」

「おう!」



ーーーー



 この会議の後、アサカが管理視点で警察のトップを探す。


 発見後ニイトイチに監視を引き継ぎ、転移しても安全である場所と時間になったら眷属リンクで連絡をもらう。


 深夜、ニイトイチより連絡があり、東京のダンジョンコアルームにアサカが転移する。


 アサカもターゲットの周囲を隈なく管理視点で調査で安全を確認する。

 転移前に人化し、壮年の男が眠るベッド横に転移。


 壮年の男を揺すり起こす。


「うーーん」と呻きながら壮年の男の目が開く。

 アサカが隙かさず【魅了】を行う。


 途端に壮年の男の目がトロンとなり、アサカを最愛の恋人のように見る。


「目が覚めたかしら?」

「はい、最愛の人」


「貴方を私の眷属にしたいけどいいかしら?」

「はい、貴方のためなら何にでもなります」


「では今から眷属の契りをします、了承してくださいね」

「はい、光栄です」


 アサカは壮年の男に【眷属】を使う。


 頭の中に《眷属の魔法を使いました》と聞こえる。

 数秒後 《相手が眷属を受け入れました》と響く。


 男はアサカの眷属となる。


『もしもし、聞こえる?』

『あ、頭の中に声が…… 聞こえます』


『これ、距離に関係なく眷属間で念話、テレパシーみたいなもので会話ができる。

 覚えておいてね』

『はい、とても素晴らしいです』


 アサカは男に条件が決められた【呪い】の魔法を行う。

 そして、魅了を解く。


 男のトロンとした目が大きく見開き、すぐにアサカを厳しい目で見る。


 アサカは真剣な目で男の目を射抜く。


『声を出さない!』


 開こうとした口が止まり閉じていく。


『念話で話しなさ』

『お前は誰だ!』


『アサカ、貴方の主です』

『主…… 主…… 分かる、私は貴方の眷属だ!

 なぜだ!』


『日本を守るため』

『日本を守るだと!』


『そうです。

 信用するしないはあなたの自由ですが、私に協力してもらいます。

 命令には従ってもらいます』


『…………』


 アサカは左に持つカバンから紙とペンを出し男に渡す。

 男は嫌そうな顔で受け取った。


『その紙に私の名前と話した内容を書いてみてくだだい』


 男はアサカの名前を書こうとした瞬間、体が固まり動かない。


『か、体が動かない!』


『それは呪いです。

 それ以上強引に動くと死にます。

 書くのを辞めてくだだい』


 途端に男は力が抜けて動くようになる。


『私の情報、私と貴方に関係する情報を全てを他に出す。

 記録に残す。

 等の行動をすると呪いが発動し最悪死ぬ。

 呪いが理解できましたか?』


 男は肩を落としながら『分かった……』と言う。


『呪いと命令の違いを実感させる。

 命令、呪いを発動させるな!』

『はい』


『どうぞ、もう一度私の名前を書いてください』


 男はペンを持たず、呆然と紙を見る。


『不思議だ、心から書いては駄目だと思っている』


『それが、命令の効力です』

『なるほど、眷属とはそう言う存在なのか』


『命令、私の情報、私と貴方に関係する情報を全てを秘密にしろ』

『はい』


『命令、私に心から協力しなさい』

『はい』


『以上が現在の命令です。

 私達に関する秘密の保護に、主からの命令と、呪いによる制限。

 この2つで保護されています。

 分かりましたか?』

『はい』


『私の日本を守る、を信じて協力をお願いします。

 注意点は、日本は何としても守りますが、個々の日本人を守る事はしません。

 警察としては納得できないかもしれませんが、私は大局的に考え行動しています。

 よろしくお願いいたします』


 そう言って男の前に深々と頭を下げるアサカだった。


 壮年の男は思う。

 この女を殴りたいと思う反面、殴る事ができないと強く思ってしまう。

 そして理解した。

 眷属は主に害意を持てないと。





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