目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第42話 3章 最終話 エピローグ。

42話 エピローグ。


 バートへ

 私の大切な人は、何で私の前から居なくなってしまうのだろうね。


 お母さん、それとバート。


 体が弱かった、お母さん


 そのお母さんが命を掛けてくれたお陰で、私は生まれて来たの。


 だから私は、お母さんのことを知らないし、知りたくても知ることが出来なかったの。


 でも、今回は違う。


 約1年バートと過ごしてきて、貴方がどのような人なのか分かり、知れば知るほど、どんどん貴方に惹かれていく私が居ることに気付いたの。


 クリスマスの日にバートに告白をしようと思っていたのに、トンデモナイ告白をバートから先に言われちゃった。(涙)


 バートが居なくなっちゃう。


 バートが、この世界から居なくなっちゃう。


 私の大好きな疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズの世界に、ゲームの世界に戻ってしまう。


 無理は承知しょうちで書いておくね。


 バートは忘れん坊さんだからね。


 バートがこの世界に来た時のことを思い出してみて。


 完全攻略本に書いてあったことを思い出して、試してみてね。


 ジュビルに負けないで! 絶対にルノーン界の未来を守ってね。


 また会えたら、おかえり~って、言ってあげるね。


 叩いちゃってゴメンねって、謝るね。


 バート大好きだよって、言ってあげるね。


 私に初めての恋心を教えてくれて・・・・本当に有り難う。


         美空


「……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」


 走りながら、読めるようになっていたピンク色の手紙をポケットにしまって、全力で走る。

 何故だろう? 俺には周りの景色が、崩れて見えている。

 崩れている景色の中でも、ここだけは見間違えることはない。


「あそこのかどを曲がれば……」


 俺はドアの前に立った。

 上がっている呼吸と涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃの顔と父からもらった服を整えようとしていた。

 だが、もう我慢が出来ず、熱い思いを押さえられないまま、俺は、そのドアを開けた。


〈ガチャガチャ〉


★★★★


玄人げんと美空みそら、トラ先輩、ただいまぁー」


 山島家やましまけのみんなが、一斉に玄関に立っている俺に笑顔を向けた。


「バート、おかえり~『にゃー』・・・・『ニャ~』」


(あっ、あれ? か、家族が……増えている)


 バートに後輩が出来ていた。(笑)


★★★★


 俺が、この世界、現代日本に戻ってから1週間が過ぎた。

 毎日が、なんだかバタバタしていて、あっと言う間の1週間だった。

 俺が、この現代日本から消えて3年が過ぎていたようだ。

 トラ先輩は大人の猫になっていて、可愛かった姿がカッコイイ、イケ猫さんになっていた。

 エリス後輩も俺が居ない間、玄人げんとと美空に可愛がられて、人に慣れているてようだ。

 突然現れた俺にも慣ついてくれていて、朝起きると、何故か俺の布団の中で寝ている……(どうやって入ってきているんだ? エリスは?)

 ビックリしたのが美空に見せられた、お腹の模様だ! 俺の雷の呪力印じゅりょくいんにそっくりだった。

 美空が、俺の母の名前と姉の名前を合わせて名付けてくれたらしい。


 ……美空は大学生と言う学生になっていて、可愛かった美空が何となく大人の女性に見えてしまい、話すのが少し緊張するぐらいだった。

 だが、中身はあまり変わっていないようで、王子だったことをイジられたり、ビックリもさせられたし、以前より、何かとチョッカイと言う、世話をやいてくれている。

「バート、おかえり~」の後、1番最初に確認されたのが、パッと見て、すぐに分る短くなっている髪型ではなかった。

 俺の……俺のゴールデンボールとゴールデンバットを力の加減が分からないのか? 変な汗が出るぐらい……ガッツリと握られた。

「良かったぁ~。ちゃんとついているよ~」と大きく息を吐いて安心していた。(3年で大人になったんだね……美空さん)

 スゲー痛かったが、理由を聞くとゲームのキャラクターは大人用のゲーム以外、描かれていないことのほうが多いようだ。(俺には良く分からん)


★★★★


 仕事のほうも、玄人げんとに頼んで次の日から一緒にさせてもらった。

 常連さんのお客様に帰国した報告と、『また、宜しくお願いします』と挨拶をして回った。


「お待たせいたしました。次のお客様どうぞ~」


 俺が声を掛けると、見覚えのあるお母さんと女の子が車に近付いてきた。


「バートちゃん、おかえり~。わたしのことわかる?」


 俺に声を掛けてくれたのは、黄色い帽子を被り、青い上着と水色のスカート、黄色いバッグを肩から斜めに掛けている女の子だった。

 俺を、そのように呼ぶのは1人しか居ないことを、すぐに思い出した。


「ただいま~ みよちゃん。おっきくなったね~ かわいいレディーさんになったね! またヨロシクしくね」


「バートちゃん……もうさぁ~……だまってさぁ~……かえらない?」


 ……返事を返すのを一瞬ためらってしまったが、大人なら、このように言うのだろうと考えて、みよちゃんに笑顔を向けた。


「またバートちゃんが国に帰る時は、みよちゃんにも『じゃ、またね!』してから帰るからね」


 ニッコリ笑顔になったみよちゃんは、玄人げんとと俺に頭を下げて、お母さんと手を繋いで帰っていった。


★★★★


 ……昨日、とうとう美空から……告白をされた……今の俺は、人間なのかも知れない。(ちゃんと大事な物は、ついているようだし)

 だが、フェンリル神に命を15年分も食べられているし、この先、俺はどうなってしまうのか、分からないことを告げた。

 すると美空は、こう俺に教えてくれた。

 この世界は、色々な分岐点で構成されていて、1秒先の世界でさえ数えられないぐらいのパターンが存在する世界に分岐していると……。


「バートと私が出会った世界は、その中の1つで、私達が出会っていない世界もあるんだよ。私達が出会えたのは、奇跡なんだよ」と言った。


 美空は、大きく深呼吸をしてから、顔を赤くしながらも、俺に思いを伝えてくれた。


「私が大学を卒業したら結婚しちゃおう。私は元気だからバートの子供をい~ぱい産んであげるよ。この世界のバートは、本当の人間のお父さんになっちゃえばいいじゃん」と、笑顔で言ってくれた。


 その笑顔を〈覚悟〉を見せられて、俺もウジウジ考えることをやめて、本当の気持ちを伝えた。


「俺は美空が大スキなんだ……大切な人なんだ。俺は死ぬまで美空の笑顔を守れる男になる」と伝えると、美空は大粒の涙をポロポロと流して「宜しくお願いします」と、返事をもらった。


 あと、美空が大学を卒業するまでに、俺は1人前の職人になることを伝えて、お付き合いと言う生活が始まった。


★★★★


 ……そして今、俺は玄人げんとと仕事を終えたが、新たにまきを入れて、焼き台にイモを入れられるだけ入れて、ある公園に向かっている。

 玄人げんとは、俺が頼んでいたことを週に1回、3年間も続けていてくれた。

 公園にはテントが張られて屋台のようになっていたが、お祭りのような賑やかさはなかった。

 ただ、大勢の人達がうつむきながら列をつくっていた。


「バート……これが、この国の現状だ。ほんの一握りだがな」と玄人げんとは言った。


 俺は以前、玄人げんとに聞かされた『この国には、今日の飯も食べられない人達が居るんだよ』の言葉が……とても辛い言葉だった。

 玄人げんとに救われなければ、以前の俺も……だから、俺は頼んでいたんだ。

 もし俺がこの世界から消えてしまったら、俺が貯めた給金で、玄人げんとが焼いた焼きイモを、その人達に食べさせてあげてくれ……と。

 俺が残した給金では半年間ぐらいの分で終わってしまったようだったが、俺の師匠ししょう玄人げんとは続けてくれていた。


「バート、旗を立てろ! 配給の準備をするぞ! あっ、旗は紫のほうだぞ!」


 玄人げんとは俺に声を掛けると、少しでも多くの人達にいき渡るように、焼きイモ半分に切り始めた。

 言われたように紫の旗を立てると……≪刃痕バアトの明日に笑顔を繋ぐ、最高にうまい焼きイモ≫と書かれていた……嬉しかった。

 俺は、この人に救われて……弟子でしにしてもらえて本当に良かったと、心の底から思った。

 目から流れる心の汗は止められなかったが、俺に出来る最高の笑顔で『頑張がんばってね。じゃ、またね!』と声を掛けて、配れる全部を渡し続けた。


「なるべく早く、自分のお金で買いに来させてもらうからね。今日は本当に、ありがとう」の言葉が、俺の頭の中で巡っていた。


★★★★


 帰りの車の中で玄人げんとに感謝の気持ちを伝えると、逆に玄人げんとから聞かれた。


『バートはトラビス国の王子で、ルノーン界の未開の地へ探索の旅に出たんだろ? 何故、現代の日本へ戻って来れたんだ』と。


 玄人げんとが言うには、ゲームでの俺のエンディングは、俺が未開の地へ探索の旅に出て終わったようだ。

 どうやらゲームのシナリオと言うやつと、俺がしていた行動は、微妙に合っているようで? 微妙に違っているようだ。

 盤内井ばんうちいパプコさんには悪いが、俺が居たゲームにだけ? なんらかの不具合と言う奇跡が起きていたのかも知れない。

 でも、俺からすれば、この世界、現代の日本も、ルノーン界ではないが、まだまだ未開の地で間違いではないのだ。

 それに、タクマ兄さんが開発したしん転移薬てんいやくも、場所のイメージが出来ないと転移が出来ない薬だしな。

(なんらかの不具合がある中でも、自分を信じて行動したことにより、俺は奇跡を起こしたんだ)と、視界に広がる光景を見て思った。

 現代日本に戻って色々とあった1週間のことを、頭の中の整理して、よく考えて、気持ちを落ち着かせて、心からの思いを伝えた。


「俺はトラビス国の王子だったことを知る前に、山島家やましまけの人間にしてもらえたんだ! 山島家やましまけに帰って来たかったんだ。師匠ししょうの、玄人げんとの後を継ぎたかったんだよ」


山島やましま刃痕バアトとして、玄人げんとのように、日々の小さな幸せを心から喜び、それを分け与えられるような家庭を、美空と玄人げんととトラ先輩とエリス後輩と築きたいんだ」


「この前も言ったが、ロギー師匠ししょうとの約束で、俺は暗殺が禁じられているので死導しどうには入れない。だが、アサシンの技術で救える命を守ることに使うのは、禁じられてはいない」


「アサシンの技術は必要ではないが、元アサシン、暗殺者の俺でも、うつむいていた人達に、前を向いてもらえる行動が出来ることを、玄人げんとが今日、教えてくれた」


 玄人げんとに車を停めてもらい、旗筒から紫の旗を取り出して、車の前に立って旗を開いた。


「ルノーン界は俺達と現代日本の人達のおかげで平和な世界になった。なら今度は、俺でも出来る任務にんむを現代日本で以前のように続けたいんだ。玄人げんとには、まだまだ、教えてもらいたいことが、たくさんあるんだ」


「バート服部は現代日本で、山島やましま刃痕バアトとして、明日に笑顔を繋ぐ、最高にうまい焼きイモ屋さんだよね。と、思われる職人を目指したいんだ!」 


「あぁ~、何を言っているのか自分でも分からなくなってきたよ玄人げんと玄人げんとから聞かれたことに俺はちゃんと答えられたのか? うまく伝えられなくてスマン」と、笑顔で告げた。


 この世界、現代日本の師匠ししょうであり、俺のオヤジになる人は『そうか……分かった!』と言って、照れくさそうに笑っていた。




GAME(現実世界)

疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2

ウエルス国 侵略しんりゃく戦争編せんそうへん


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(バートルート) 勅令ちょくれい クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(バートルート終章)帰郷ききょう クリア。


バートルート クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(タクマルート)ルノーン界、始まる決戦 クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(タクマルート)最終決戦と解毒の希望 クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(タクマルート終章)運命の再会 クリア。


タクマルート クリア。



GAME(現実世界)

疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ3

最終決戦!

妖術ようじゅつ薬師やくしジュビルの逆襲ぎゃくしゅう


(通常版)服部はっとり流派りゅうは奥義おうぎ 実体じったい分身ぶんしん 習得しゅうとく クリア。


(通常版)母と姉から受けぐ 呪力印じゅりょくいん クリア。


(通常版)集結! ルノーン界 アサシン連合部隊 クリア。


(通常版)覚醒かくせい 俺式おれしき 服部はっとり流派りゅうは 究極きゅうきょく 奥義おうぎ クリア。


(通常版)ジュビルの野望やぼう 阻止そし クリア。


(通常版)アサシンとしてのケジメ クリア。


(通常版)さらば! また会う日まで クリア。



     Thank You

    All Clear Player


     Presents by

     盤内井ばんうちいパプコ



(バグ版)アサシンとしてのケジメ 巣立ちの時 クリア。


(バグ版)さらば! 俺達のルノーン界 クリア。



REAL (現代日本)

疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ外伝!

バート 服部 JAPAN編


現代日本での人生をスタート。


山島やましま刃痕バアトになる クリア。


イベントでウエルス兵のコスプレイヤーと会う クリア。


ミソラの救出と強盗犯の捕縛 クリア。


新商品の開発 クリア。


仲良く花火大会 クリア。


美空とりょうの救出 クリア。


美空への告白 クリア。


山島家との別れ クリア。


奇跡は起きるのではない! 俺が起こすんだあぁぁー クリア。


⇒ ルノーン界、トラビス国の王子で元アサシンのバート服部は、山島やましま刃痕バアトとして、現代日本で、明日に笑顔を繋ぐ、最高にうまい焼きイモ屋さんだよね! と思われる職人を目指す。


      完



キャラクター紹介3


トラビス国 ラシン王

バートとフェリス姫の本当の父である。

本編にも説明がありましたが、若い頃はバートの母、エリーが所属していたアサシン部隊の隊長でした。

2人の子供とエリーを救えなかったこともあり、2人の子供が無事であることを確認した上で、名乗り出ることはせず、2人の成長を見守っていました。

夫婦関係にあったエリーを亡くした後は、妻をとらずに1人身でした。

トラビス国は気候が良く、作物が育て易いこともあり、ルノーン界の食料供給国として栄えました。

ラシン王は、王になっても農地の開拓や新しい作物を育てる研究をしていました。

農夫のランさんとしてですが。

彼の呪力印じゅりょくいんは風である。



トラビス国 エリー

バートとフェリス姫の本当の母である。

トラビス国のラシン部隊のアサシンとして所属していた。

エリーは奴隷どれい救出きゅうしゅつ勅令ちょくれいを受けて、捉えられていた女の子達の救出には成功していました。

ですが、最後に逃げていた女の子をかばって、大怪我おおけがを負ってしまい、絶命ぜつめい寸前すんぜんでした。

援護に来たロギー師匠ししょうに救われましたが、時は既に遅く、大怪我おおけが致命傷ちめいしょうとなり、絶命ぜつめいしてしまいました。

エリーの呪力印じゅりょくいんは雷である。

この物語では、バートをそらから見守り、支えてくれた、強くて優しい母でした。



タガーイ国 デル国王

ジュビルが潜んでいた森は、かつてパーム国があった場所で、タガーイ国とは隣国だったこともあり、ルノーン界の全てを終わらせるために最初に狙われた国の王である。

タガーイ国は金属類が多く採掘する事が出来た国で、ルノーン界の工業の国であった。

各国の兵士が使用している武器や防具や民が使う日用品は、タガーイ製の物がほとんどだった。



山島 エリス (やましま エリス)

刃痕バアトが居なくなり、美空と玄人げんとが落ち込んでいた時に、玄人げんとが譲渡会に行って保護をした猫である。

物語では最後に一鳴きしただけですが、山島家では刃痕バアトの後輩として元気に暮らしています。

玄人げんとは譲渡会の時に気付きませんでしたが、お腹に雷のいんのような模様があることを美空が見付けました。

玄人げんとはサクラと名付けようとしていましたが、名付け親は当然! 美空さんです。

バートもビックリしていますが、朝起きるとエリスはバートの布団の中で寝ているようです。



後書き。


この物語がここまで来られたのは、読者の皆様のおかげです。

異世界転移者のアサシンは、現代世界で、売れ残りでも最高にうまい焼きイモを食う。

最終話までを読んで頂きまして、心からの感謝を申し上げます。

貴方の応援が私の創作活動の励みとなりました。

これからも、刃痕に負けないように努力していきます。

引き続き応援して頂けると嬉しく思います。

あっ! 疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ3のバグ版は、著者である私が所有しています。〈大丈夫です!〉

あとは、盤内井ばんうちいパプコさんが何かをしなければ! ですが……。 

では、本当に最後です。

有り難う御座いました。


著者

  一二八   八二ー

 (イイニワ) (ワニー) 


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?