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Ep.40 第四任務 そろそろ

尾行を開始した四人は不破家へ向かうと驚愕した。大きなアーチ状の門、その先にある学校の校舎と見まがう程の大きさの建物…最初は何かの施設かと思い、歩みを進めようとしたが表札があるのに気づき足を止めて四人は門の前で家全体を見る。


「これ、アイツの家?あのお嬢様のかけらもないアイツの?」


「人を見かけで判断するのは良くないですよ。あの様子からして両親は相当の親バカで、甘やかしているんでしょうね。」


「それも、偏見ではないか?」


「三人とも、まずは報告だ。話はそこからだ。」


王手が電話を取り出すと同時にインターホンから声が聞こえてきた。


「焔戸 燃様、難場 十三様、黒瀬 零様、皇 王手様、ご用件は分かっております。中へどうぞ……」


門が自動で開き、招き入れようとする。焔戸は堂々と門をくぐっていくと残って困惑している三人の方へ向く。


「どうしたんだよ。早く来いよ。」


「いや、どう考えてもおかしいですよ。」


「むぅ、罠のような気がする。」


「二人の言うとおりだ。きな臭い。それに、連絡もせずに失礼だ。今日は帰ろう。」


「なぁに言ってんだよ。入っていいって言ってんだから入ろうぜ。その方が手っ取り早いだろ?」


三人は顔を見合わせてどうするか目配せしあう。しかし、その間にしびれを切らした焔戸は三人に何も言わずに歩いて入っていった。三人は有無を言わされずに焔戸を追いかけて不破家へ入っていった。ドアを開けたのはメイドの市松だった。その後ろにはメイトもいる。焔戸はメイトに気軽に挨拶をする。



「よっ!」


「ヨッ。」


メイトは焔戸と同じように挨拶をしてみる。その様子に市松は少し微笑みながら軽く注意する。


「メイト様はしたないですよ。では、私はお茶と茶菓子を持ってまいりますので、お部屋に案内をしてください。」


王手は市松が振り向く前に挨拶をする。


「突然の訪問でしたのに歓迎ありがとうございます。」


「いいえ、ご友人さまでしたらいつでも歓迎でございます。では…」


そして、メイトが四人を部屋へ案内しようとした時、急に目の前が真っ暗になった。


「はぇぇ…?」


「やっぱり……」


「罠だったようだな……」


「……」


四人は薄れる意識の中、メイトも倒れていることに気づきそれぞれがメイトを守ろうと手を伸ばした。


─────────────


催眠ガスを換気で排出すると奥からガスマスクを着用した市松と、ECHOの陰の番人アーミーナイフが出てきた。


「うまくいきましたね……それにしても随分とあっけないものでしたね。BLACK D.O.Gと言う子たちは。」


「こ、これだけで安心してはいけないですよ。本番はここからです。さぁ、彼らの手足を縛って逃走準備をしてください。この子は私が見ておきます。」


市松はうなずき四人の手足を結束バンドで縛り上げて陰の番人アーミーナイフへ合図を送る。陰の番人アーミーナイフは四人を運び出すようにそこらへんに転がっていたチンピラへ合図をする。チンピラたちは四人を抱えてすぐに逃走用の車へ載せ始める。


「そ、それでは行きましょう……出してください。」


ECHOと市松は不破家を出た。車の後部座席で横たわっていた四人のうち王手は目を覚ます。そして、加えていたハンカチを口から外して臀部のポケットから器用に携帯電話を取り出して車が跳ねると同時に番号と発信を撃ち終わった携帯電話を顔の前で投げる。


『我楽だ。どうした?』


「皇です……隊長……まずいことになりました……」


『どうした……?!』


「敵の罠にハマりました。敵はECHO…メイドの一人もグルで仲間も複数います。」


『王手、君がいながらなぜ……』


「すみません、焔戸を制御できませんでした。」


『あいつは……』


「大丈夫です。この作戦が終わったら俺からきつい罰を考えてますので……」


『分かった。許可する……それではこっちから位置を調べておく。そっちは任せた。』


「了解。」


王手は携帯電話を切るとそのまま窓の外を見ようと見つからないように後ろを気にしながら体を若干起こす。


Ep.40:FIN

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