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第3話 Let's ダンジョンメイキング

319.名無しのダンジョン好き

MyTubeで配信してくれよスレ主

リアルタイムで見たい


320.名無しのダンジョン好き

>>319 いや俺たちだけで独占しよーぜw


321.名無しのダンジョン好き

このスレ、無名なおかげでいい人しか集まってないからな


322.名無しのダンジョン好き

>>320 あーあれよ、限定配信?ってやつ


323.名無しのダンジョン好き

あー、なる


324.名無しのダンジョン好き

たしかにそれならワイらで独占できるか


325.名無しのダンジョン好き

天才かよ


326.名無しのダンジョン好き

ってことやスレ主! 頼む!


327.名無しのダンジョン好き

>>321 MyTubeにすればこのスレを浮上させる必要も無くなるしな


328.名無しのダンジョン好き

まぁ『おぅおぇ』とかいう名前のスレのせいで人来てないだけなんだがな




 というスレ民の会話を見て、早速三脚スタンドやらなんやらを買ってきた俺は、限定配信とやらをやってみることに。


「んでもこれ、どうすんだ?」


 勢いで買ってきたけど、一般無名スレ主でしかない俺が、コレの使い方分かるわけねーじゃん。


 というか買うときに、


『お、かなりお高いやつですね。何か配信でもやられてるんですか?』

『はへ!? あ、あ〜〜いや……ね? ハハ……』


 って不審者になっちまったじゃねーかよ……。

 ネットで買えばよかったぜ……。


 とりあえずダンジョンに持ち込むことはできた。

 既にそこから心配だったが、手荷物は持ち込めるらしい。


 まぁ、考えてみれば服着てるもんな……。


 それはそうと。

 三脚は設置して、そこにスマホとなんか遠くの音も綺麗に拾ってくれるマイクを接続する。


 音質とか知らん。機材とか知らん。

 ただのスレ主ぞ?????


 んでもって、限定公開の設定をしてライブ配信を始め、そのリンクをいつものスレに貼った。


「……あと何すんだ? もう始まってんのか? いやでも画面くらいしな……」


 もうちょっと単純化してくれよ……


「おーいお前ら。もしもう配信始まってんならスレッドで教えろよー」


 俺はスマホとは別に持ってきたノーパソでいつものスレを見張るが、動く様子は無い。


 えぇ……?


:これさ、もう準備できてるって言わないほうがいいかな

:当たり前じゃ

:この方がおもろい

:いつ気づくんかなぁ

:スレ主の顔ドアップで森

:ってか普通に顔よくてしんどい

:泣けてくるよな

:スレ主俺たちの敵かもしれない

:ダメージ受けてる奴らいるってw

 ……ほなワイもか

:ってか、なんでスレ主はこうもみんなネット弱いんだ。どこのラノベでもそうじゃん

:おっとすごくメタい話な気がするぜ……


「くっそマジできん」


:いい加減かわいそうでは?

:おい、こいつの顔見ろ。イケメン枠ぞ?

:たしかに。もっと甚振いたぶらねば

:裏切るの早すぎて草

:これには鱗◯さんもびっくり

:「判断が……えっ、速くね?」

:懐かしいネタ持ってきたなw


「──おっ、できたな! お前ら見えるかー?」


:見えるでー

:(5分前)

:おい、嘘言うなってw

:そうやぞ、もう10分経ってる

:まさかの短い方の嘘www

:わり、確認不足だったわ

:いぇーい、見ってるぅー??


「はは、お前ら何言ってんだ。俺はちゃんとスレ確認してたんだぞ?」


:おもろいからスレに報告するわけないじゃん

:新規メンバー来なくなってからもう5年の付き合いじゃねーか

:ワイたちのこと信頼しすぎやで(^^):

:ワイたちはスレ主が困ってることよりも面白さを選ぶ生物やで(^^)


 それからも続けて、(^^)という絵文字付きの煽りコメントが送られてくる。


 あぁ──俺のスレッドの民たちだな。この荒れてはないけど適度に煽ってくる民度は。


 こんな方法でしか確かめられないうち、終わってんだろ。


「ハッ、おいおい、俺にはこの配信を止めるという権限があるんだぜ」


:くっ

:それを言われると何も言えねーんだよな

:今回は許してやる

:なんで上からなんだよw

:あまり強い言葉を遣うなよ。抵抗できねーぞ

:じゃあいいじゃんw

:でも俺らがいなくなったらその喜びを共有する相手はいなくなるのでは?

:いやいや、1人でも楽しめるからそれは反論にならんて


「…………ぐ」


:効いてるな

:効いてるね

:スレ主チョロくねえか?

:なんで負けたか明日までに明日までに考えといてください。何も変わらへんですから


「あーやかましやかまし! さっそくLet's ダンジョンメイキングと行こうじゃねえか!!」


:おー!!

:待ってました!

:マジで楽しみすぎる


 俺はカメラにすべて映るように、例のダンジョン管理画面を開いた。


 相変わらず、めちゃくちゃ量が多い。


:うおおおおおおおおお

:すげー管理者って感じ!!

:なんかすごい

:やっば:

:おいこのスレ民語彙力ゴミじゃねえか!

 ……ほな俺もか


「なんかマジでいろいろできそうな感じなんだけど、なにからする?」


 せっかく一緒に作るんだし、どうせならまずはスレ民の意見を聞くことに。


:何を目指すかによらね?

:そうやな

:最強のダンジョン作ることもできるんやろ?

:はたまたガチで開拓したりもできると

:開拓いいなw

:それな。強いダンジョンとかだったら探せばあるもんな

:国作ろうぜww


 なるほど、国は行き過ぎだけど街を作るっていう発想は俺には無かったな。


 ──うん、それおもろそうだな!


「街、作ってみるわ!」


:国な

:国やぞ

:国作れ

:日本征服じゃー!


「おいお前ら物騒すぎるって」


:でもそれなら住人とか欲しいよな


「あーたしかに。なんかあるんかな」


 俺はなんかそれっぽい場所を探してみる。

 すると、さっき一瞬見かけた【魔物】という文字に目が留まる。


 そこをタップしてみると、ズラーッと魔物の一覧が表示された。


 ものすごい数に圧倒された。

 あと、一番上に『強い順』とか『大きさ順』とかソート順の並び替えがあった。

 いや現代すぎんだろ、おい。


:なぁこれさ……ワンチャン未発見の魔物とかもいるんじゃね?

:あっ

:何も見てない。いいな?

:うっす先輩


 俺はコメント欄を見ることなく、魔物一覧に見入っていた。


 ──そして、ファンタジーでは有名なあいつの名前を見つけた。


「えぐ、ドラゴンいるんだけど!」


:ファーwwwwww

:そんなのも設置できるん!?!?

:現代ダンジョン最強種じゃねえかw

:せっかく伝家の宝刀「何も見てない」を使ったのに

:それはさすがにもうちょい良いもの継いでくれよ


 コメントが流れる中、俺は1つのことに気づいた!


「ドラゴンってさ、デカくて移動も早いよな」


:おっ………………そうだな

:流れ変わったな


「ってことはさ────畑仕事が適任だよな!」


 うんうん、広範囲を一気に耕せるし、移動速いから一瞬で終わる。


 最適すぎないか!?

 なぁ、スレ民!!


:過剰すぎるって

:過剰すぎるって

:過剰すぎるって

:全国の農家を泣かせないでもらって

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