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第8話 AI > スレ主

「さて、と」


 俺が視線を送る先には、ゴブリンジェネラルが一体とゴブリンが5体並んでいた。


 Dランクであったジェネラルは難なく召喚できた。


 農業の【1からお任せ】の条件であり、今俺がこのダンジョンに召喚できる魔物の上限でもあるのが、この5体だ。


「今度こそ使えるんかな?」


:ワクワク

:早速やってみよーぜ!

:気になりすぎて昼しか寝れんから

:ちゃんと昼夜逆転してるじゃん


 スレ民の期待も背負いつつ、チーフ役になるであろうジェネラルの頭に触れた。



──────────


無名のゴブリンジェネラル1(変更可) Lv1


行動コマンド

→農家

 ・1からお任せ

 ・土作り

 ・肥料散布(別に肥料が必要)

  ︙

  ︙


ステータス


──────────



「んで、【1からお任せ】をタップする、っと……」


 ポチッ

 シュポッ


:ツイッターかな

:おっ通知か

:あれ、通知無い。ワイのスマホ壊れたんやが

:俺にも通知きた

:お前らいにしえの音に大歓喜すなw


『ジェネラルの近くにいる5体のゴブリンを使用して、【1からお任せ】を起動しますか? YES or NO』


 すると、前回の警告文とは違い、確認画面のようなものが表示された。


「あんま生命体に『使用』って言葉は使わないほうがいいぞ? あ、はい起動します」


 俺がそう言うと、ついに【1からお任せ】を起動することに成功した。

 6体のゴブリンが持つ棍棒が光出す。


:草

:たしかにw

:奴隷じゃん。…………奴隷か

:何も間違ってないんよな

:人聞き悪すぎるけど


:お!?

:なんか棍棒が光りだしたぞ

:ざわ……ざわ……

:わく……わく……

:ワクワク隠しきれてないやつおったな

:おー!?


 棍棒を纏っていた光が収まると、なんとになっていた。


「えっ……待って、そんなんできんの?」


 こう……棍棒で耕すんじゃないんか……?


 俺の驚きもスルーされ、今度はジェネラルが、いつの間にか持っている設計図をもとに、空中を指でなぞり始めた。


 四角を描くようになぞり、そしてそれが終わると……


「ごめん詳しくなくて何もわからん」


:草

:そやった、この前までただのスレ主だったもんな

:大出世すぎるな

:ジェネラルの指先光ってるから多分魔力込めてるんだと思うで

:あれが魔力

:分かるか? スレ主

:赤ちゃんに教えてるみたい


 大の大人を赤ちゃんとか言う無礼者もいるが、どうやら今は魔力を込めてるらしい。


 ……えっ、魔力込めてる?


「待って、農業する前に俺にそれ教えてほしいんやが」


 ブーブー


『【行動コマンド】の備考にて【意思】が選ばれてません。そのため、意思疎通は不可能です』


「そのくらい教えろやああああああ!!」


:弄ばれてんじゃん

:ざーこざーこ♡

:ワイはそこ行きたいからなんも言わへんで!

:スレ民も奴隷にされかけてるって

:仕事しててなんも知らんけどとりあえず……ざーこざーこ♡

:サボりニキ……せっかく頑張ってたのに最悪のタイミングで……w

:ん? ワイがサボりニキやで? そいつはワイじゃないで?

:なぬ!?

:このスレ、真面目ニキいたんか!?

:して……サボりニキは何を?

:ワイはサボりニキやぞ? サボってるに決まってるじゃねえか

:フッ……じゃないんよ


 ジェネラルが魔力を込めだしてから、少しして。


「おわいうぇ?」


 地面に、白い枠組みが浮かび上がってきた。一辺が100mほどの正方形である。


 なんだこれ、と思っているとその枠に沿うように5体のゴブリンが並び──土づくりを始めた。


 これは……なんというか…………


「待って、お任せすぎるって」


『そりゃあ、【1からお任せ】、ですから』


「そうだけどさあああああ!!!!」

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