目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第22話 深夜テンションメイキング

「ヒャッハー!!!!!」


:うっざ

:んだこいつ

:死ねよ


「『死ねよ』はアウトよ」


 時刻は午前1時。

 現実世界はすでに真っ暗だが、ダンジョンの中は不思議と明るい。

 ふっ、だが明るさ程度じゃ俺の深夜テンションは抑えられないぜ!


「さてさて、今日は何しようかな……って。お?」


 管理者ボードを眺めつつ何するか考えようと管理者ボードを開くと、『無名のダンジョン』の右上が赤く点滅していた。

 間違いねぇ……レベルアップだ!!


:そっか、草原作って海作って山作ったもんな

:え、てかさ。前レベル上がった時って草原ちょこっと作って畑始めただけだろ? もしかして今回めっちゃ上がったりするんじゃね?

:でもゆーて地形変更しただけだもんな……

:さて気になるところ…………


 ポチッ


 テレテレテン♪ テレテレテン♪ テレテレテレテン♪


『間もなく、ダンジョンレベルの報酬を受け取れます』


「クッソ、やっぱスシローすぎるって」


 やめろ、現実がチラつく。



──────────


無名のダンジョン(変更可) Lv2 → 10(MAX)


召喚可能魔物数 +16(合計24体)

使用可能となる新機能……

 ︙

 ︙


──────────



「うぉいえ?」


:ふあ!?!?

:えっえっ???

:10!?

:地形変更の範囲なのか……?


 めっちゃ上がった。

 つーか、『MAX』ってとこまで上がったんだけど……え?


 俺が困惑していると。


『YO!YO!YO! 久しいなマイブラザー!!』

「うっわぁ……」


 この頭に響く感じ、そしてただの言葉なのに煽りみたいな口調。

 間違いねぇ、いつぞやのスキル野郎だ……。


:!?

:なんだこいつ!?

:え、どこにいるんだ?


 おいマジかよ。頭に響くように言ってるだけで、スレ民たちにもめちゃくちゃ普通に聞こえてるのかよ。

 じゃあ響くようになってるだけ損じゃん。あれ頭痛くなるんだけど。


「帰ってくんね? あ、スレ民。こいつ俺のスキルくん」


:は?スキル???

:何言ってんだ……?

:スキルは自我ないし喋れんぞ……?


 …………え?


「でもこいつ喋ってる……え?」

『おいお前、俺が喋ってるからって他のスキルも喋れると思ってたわけ??w マジで?w』


 ならお前、「いや、これ普通よ?」みたいに話しかけるなよおおおおお!!!!


 とことん!! 人を!! バカにしやがって!!


 正直、だいぶ慣れてきたけど。こいつの煽りには。


:なんだこいつうざいな

:一発殴りたい

:おいお前ら、煽りに負けて喋ってることへのツッコミがなくなってるって

:もういいよ。新スキルにいちいちツッコんでたら老衰するもん

:↑100年くらいツッコミ続けるレベル

:↑人生100年生きる宣言してるのにほっこり

:こいつバカニキじゃね?

:なんでバレたんだよ……『100年くらいツッコミ続ける』って言っただけでバレるのヤバすぎるって……

:マジで当たってて草


 バカニキの安直さにほっこりしつつ、スキルに話しかける。


「んでマジでなんで来たんお前」

『いやお前、終わらせただろ?』


 ……は?(猫ミーム)


 待ってこのスキルにチュートリアルとかあったんか?

 くっ、でもここで「チュートリアルって?」って聞いたらまた煽られるな……。


 状況から判断するに、『ダンジョンレベル10にする』ことがチュートリアルの完了条件なのだろう。

 事実、『MAX』って書かれてるしな。


 ……そういうことにして合わせてみるか。


「……おう! 終わらせたぜ!」


:何言ってんだスレ主

:チュートリアルとかあったっけ

:スレ主嘘ついてる????


 うるさいぞコメント。バレたらどうすんだっ。


『だよな! いやぁ、お前普通にすげーよ。この短期間で『召喚できる魔物数が少ない』から『魔物を使ってレベルを上げるのは難しい』ことに気づいて、さらに『まだ一度も地形変更、していない土地の地形変更は経験値が多い』ことにも気づいてそれを即座に実行する…………なかなかできたもんじゃねえぜ!』


 ──はぁ! 深夜テンションによるドーパミンを利用し、脳内辞書を展☆開っ!


 メモメモメモメモメモ…………



ダンジョンレベルについて

・基本的に魔物を使って発展させることが主軸

 →多分1番経験値が多い?

・地形変更は初回のみ経験値にボーナスがつく



 ふむふむ、新情報はこんなところか。


「おう!! 全部知ってたぜ!!」


 よし、完璧だ。


:スレ主……

:スレ主くんさぁ……

:煽られないように必死でちゅね


 うるさいぞお前ら。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?