「ヒャッハー!!!!!」
:うっざ
:んだこいつ
:死ねよ
「『死ねよ』はアウトよ」
時刻は午前1時。
現実世界はすでに真っ暗だが、ダンジョンの中は不思議と明るい。
ふっ、だが明るさ程度じゃ俺の深夜テンションは抑えられないぜ!
「さてさて、今日は何しようかな……って。お?」
管理者ボードを眺めつつ何するか考えようと管理者ボードを開くと、『無名のダンジョン』の右上が赤く点滅していた。
間違いねぇ……レベルアップだ!!
:そっか、草原作って海作って山作ったもんな
:え、てかさ。前レベル上がった時って草原ちょこっと作って畑始めただけだろ? もしかして今回めっちゃ上がったりするんじゃね?
:でもゆーて地形変更しただけだもんな……
:さて気になるところ…………
ポチッ
テレテレテン♪ テレテレテン♪ テレテレテレテン♪
『間もなく、ダンジョンレベルの報酬を受け取れます』
「クッソ、やっぱスシローすぎるって」
やめろ、現実がチラつく。
──────────
無名のダンジョン(変更可) Lv2 → 10(MAX)
召喚可能魔物数 +16(合計24体)
使用可能となる新機能……
︙
︙
──────────
「うぉいえ?」
:ふあ!?!?
:えっえっ???
:10!?
:地形変更の範囲なのか……?
めっちゃ上がった。
つーか、『MAX』ってとこまで上がったんだけど……え?
俺が困惑していると。
『YO!YO!YO! 久しいなマイブラザー!!』
「うっわぁ……」
この頭に響く感じ、そしてただの言葉なのに煽りみたいな口調。
間違いねぇ、いつぞやのスキル野郎だ……。
:!?
:なんだこいつ!?
:え、どこにいるんだ?
おいマジかよ。頭に響くように言ってるだけで、スレ民たちにもめちゃくちゃ普通に聞こえてるのかよ。
じゃあ響くようになってるだけ損じゃん。あれ頭痛くなるんだけど。
「帰ってくんね? あ、スレ民。こいつ俺のスキルくん」
:は?スキル???
:何言ってんだ……?
:スキルは自我ないし喋れんぞ……?
…………え?
「でもこいつ喋ってる……え?」
『おいお前、俺が喋ってるからって他のスキルも喋れると思ってたわけ??w マジで?w』
ならお前、「いや、これ普通よ?」みたいに話しかけるなよおおおおお!!!!
とことん!! 人を!! バカにしやがって!!
正直、だいぶ慣れてきたけど。こいつの煽りには。
:なんだこいつうざいな
:一発殴りたい
:おいお前ら、煽りに負けて喋ってることへのツッコミがなくなってるって
:もういいよ。新スキルにいちいちツッコんでたら老衰するもん
:↑100年くらいツッコミ続けるレベル
:↑人生100年生きる宣言してるのにほっこり
:こいつバカニキじゃね?
:なんでバレたんだよ……『100年くらいツッコミ続ける』って言っただけでバレるのヤバすぎるって……
:マジで当たってて草
バカニキの安直さにほっこりしつつ、スキルに話しかける。
「んでマジでなんで来たんお前」
『いやお前、
……は?(猫ミーム)
待ってこのスキルにチュートリアルとかあったんか?
くっ、でもここで「チュートリアルって?」って聞いたらまた煽られるな……。
状況から判断するに、『ダンジョンレベル10にする』ことがチュートリアルの完了条件なのだろう。
事実、『MAX』って書かれてるしな。
……そういうことにして合わせてみるか。
「……おう! 終わらせたぜ!」
:何言ってんだスレ主
:チュートリアルとかあったっけ
:スレ主嘘ついてる????
うるさいぞコメント。バレたらどうすんだっ。
『だよな! いやぁ、お前普通にすげーよ。この短期間で『召喚できる魔物数が少ない』から『魔物を使ってレベルを上げるのは難しい』ことに気づいて、さらに『まだ一度も地形変更、していない土地の地形変更は経験値が多い』ことにも気づいてそれを即座に実行する…………なかなかできたもんじゃねえぜ!』
──はぁ! 深夜テンションによるドーパミンを利用し、脳内辞書を展☆開っ!
メモメモメモメモメモ…………
ダンジョンレベルについて
・基本的に魔物を使って発展させることが主軸
→多分1番経験値が多い?
・地形変更は初回のみ経験値にボーナスがつく
ふむふむ、新情報はこんなところか。
「おう!! 全部知ってたぜ!!」
よし、完璧だ。
:スレ主……
:スレ主くんさぁ……
:煽られないように必死でちゅね
うるさいぞお前ら。