そんなある日、王城では王太子シルヴァン・ローランの
十八歳の誕生日パーティーが開かれた。
華やかなドレスに身を包んだレイラは、
心の中で浮気野郎のことを忘れようと必死だった。
彼女は一人でいると、隣国の皇太子ルチアーノ・ブロットに声をかけられる。
「君、どうしたの?そんなにかしこまらなくていいよ。」
ルチアーノの笑顔は、レイラの心を少しだけ和ませた。
彼は優雅で、どこか魅力的な雰囲気を持っていた。
レイラは彼と話すことで、少しずつ心の傷が癒されていくのを感じた。
「ありがとう、ルチアーノ。ちょっと考え事をしていたの。」
レイラは微笑みを返しながら、心の中で浮気野郎の影を振り払おうとした。
「考え事?それは大事なことなのかい?」
ルチアーノは興味深そうに問いかけた。
彼の目は真剣で、レイラは思わず心を開きたくなるような気持ちになった。
「実は…」レイラは言葉を選びながら続けた。
「最近、私の周りで色々なことがあって、少し疲れてしまっているの。」
ルチアーノは頷き、彼女の話をじっと聞いていた。
「それは辛いね。誕生日のパーティーなのに、
そんなことを考えなければならないなんて。」
彼の声には優しさが溢れていた。
「でも、こうして話せて少し楽になったわ。」
レイラは心の中で感じた温かさに驚いた。
ルチアーノの存在が、彼女の心の痛みを和らげているのを実感した。
「それなら、今夜は楽しもう。君の笑顔を見ることができれば、僕も嬉しいから。」
ルチアーノは彼女の手を軽く取り、優雅に踊りの輪へと導いた。
音楽が流れ、周囲の人々が楽しそうに踊る中、
レイラはルチアーノとともにリズムに合わせて体を動かした。
彼の手の温もりが心地よく、
少しずつ彼女の心の中に新しい感情が芽生えていくのを感じた。
「どう?楽しい?」
ルチアーノが微笑みながら尋ねる。
「ええ、とても楽しいわ。」
レイラは心からの笑顔を返した。
彼女の心の中で、浮気野郎の影は徐々に薄れていき、
代わりにルチアーノとの新しい思い出が生まれようとしていた。
その瞬間、レイラは自分の心が新たな一歩を踏み出そうとしていることに気づいた。
彼女は、過去の痛みを抱えながらも、未来に目を向ける勇気を持ち始めていた。