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第74話 昼からのお仕事!

 《12:00》


 太陽の昇りきった頃、私とアオイは仕事に取りかかった。


 お屋敷にはいつ誰が来るか分からないので常にフリフリのついたメイド服を着させられている......可愛い服なのだが露出も多い。


 まぁ……奴隷にこんな服を着させるのは目的は1つでしょうがね。


 「さ、一部屋ずつシーツやティッシュを片付けて、掃除をするわよ」


 「はい」


 基本的に他の部屋も私たちの部屋と同じ構造だ。


 少し違うのは一つの部屋に1人ずつ奴隷が待機している事だろう。


 そんな事をしてる理由としてはマスター……つまりこの町の町長の維持が目的だろう。


 人間の性欲を利用し自分が町長であり続ける事、つまり味方を増やしている。

 おかげでブールダ町長を支持するのは男ばかり。


 「まずはシーツからね、基本変な臭いが......いや、百パーセント変な臭いがするから息止めながら片付けた方がいいわ」


 「......はい」


 「まぁとりあえず見て覚えなさい……うわ!このシーツ濡れすぎ、何したらこうなるのよ......シーツを取ったらまず魔法でベッドを乾かすわ。あなた魔法使える?」


 メイド服には主に掃除関連で役にたつ魔法陣が組み込まれている。

 普段ならそれらを使って掃除をするのだが……


 「すいません......」


 やっぱりそっち側だったわね……


 装備の魔法を使うのは自転車に乗るのと同じ。

 少しコツが居るのだけど元々奴隷として育ってきた子だったら魔法を使えない子が多いから驚く事じゃ無いわよ。


 「そ、気にしなくていいわよ、奴隷の子は魔法が使えないのは良くあること、私がしとくから洗面所やお風呂掃除してなさい」


 「はい」


 とりあえずアオイには誰でもできる仕事をしばらく優先してもらい、空いた時間で少しずつ使い方を教えて行く方向だわね。


 「はぁ......聖なる水って良くいったものよね......」


 暖かい【風魔法】を発動させてベッドを乾かしていく。

 こんなものは慣れたものだ。


 でも、ほんとこんな生活がずっと続くと考えると__


 「まじ、最悪......」


 はぁ......どうしてこんな事に......そういえば、アオイはどうして奴隷になったんだろうか?ちょっと気になるわね。


 元々奴隷商で産まれた子?

 もしかして一国の隠し子だったりして?何不自由なくやってもらってたら服の魔法も必要ないもんね。

 まさか美の神様だったりしてハハハ。


 「よし、こんなとこかしら?」


 シーツ、ベッド共に乾かして消臭魔法をかけた後、アオイの方を覗きに行く、と


 「......」


 「ん?」


 アオイはシャワーを持たずに自分のスカートで一生懸命床を磨いていた。


 「ち,ちょっと待ちなさい!?」


 慌ててアオイを止める。

 脱いではないので何かに悩んで悩んだ末の結果なのだろう……もしかして……


 「あんた、もしかして水も出せないの?」


 「......はい」


 「あんた......今までどうやって生きてきたのよ」


 そのレベルなの!?


 本当どっち!?今まで立ってるだけで良かった生活送ってたの!?いや!そもそも日常魔法すら使っちゃいけない奴隷商なんて商品をなんだと思ってるの!?


 「そ、そう言えば昨日も夜お風呂に入ったはずなのにシャワーの音もしなかったし髪も乾かさないで出てきたわね……」


 「……すいません」


 「う〜ん、日常の家具を使う魔法の感覚なんて物心ついた時から出来てるから説明難しいのよね……ちょっとこれ持って、はい」


 シャワーを持たせ、アオイの肩に手を置いて目を閉じる。


 「私の適性魔法は少し特殊で人の魔力の流れを見ることが出来るのよ【マジックシーリング】って言うんだけど......まぁ適性ってだけで私は鍛えてないから相手の身体に触れて集中してやっと見えるくらいよ」


 「......」


 目を閉じてアオイの身体の魔力の流れを感じとる。


 うーん......


 「あなた、もともと魔力がかなり少ないわね、普通の人以下よ......それでえーっと、あ、ここね、心臓の方に魔力の元があるわ、まず心臓に魔力が宿ってるとイメージしなさい?」


 「......はい」


 「いい?魔力はイメージよ、心臓にある魔力を少しずつ手に流れさせるのを想像して?」


 「…………!!」


 そこまで言うとアオイの持っているシャワーから勢いよく水が出てきて私にかかった!もう!


 「まだ説明してるでしょ!離して!」


 「は、はい」


 アオイは急いでシャワーを手放すと水が止まって床に落ちる。


 「あーあ......びしょ濡れになったじゃない、一回帰って着替えないと......」


 この服、濡らすのが趣味のお客様もいるから自分の服を乾かす機能はないのよね……他にもいらない様な性癖の機能もあるし……


 「もともと低い魔力で出るようになってるんだから加減が必要よ?感覚を掴みなさい」


 「はい」


 ふたたびアオイはシャワーを握り直し、少しだけ水を出した後にシャワーの水を止めたりしている。


 まぁ、大丈夫そうね......


 「私は部屋で着替えてくるから掃除しときなさいよ?」


 「解りました」



 とりあえず、濡れてる感覚が嫌なので脱いで下着姿になり廊下に出る。


 お客様もお昼時にはよほどな事じゃないと来てない。

 と言うか、来てたとしても私も何人か相手はしているから慣れている。




 あれ?



 「そういえばアオイ、一瞬シャワー出したとき嬉しそうな顔した様な......?気のせい?」










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